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第12章 "幻の島"・ワールドエンド
次期龍神は降臨する
しおりを挟むこの紙がワールドエンド?何を言ってんだこのワンダフル執事。ワンワンよく見て、これは紙、紙だよ?
「はうっ………久しぶりにアルティア様の侮蔑の瞳をいただきました…………………」
カイテルは自分の体を抱いて悶えている。それを他所にゼグスが言った。
『本当にソレが"幻の島"なんだよ』
「ただの地図じゃない」
『それの絵が書かれている島に触れてみろ。言い伝え通りなら……………』
「わ!」
紙の中に、吸い込まれた。凄い、この紙の中に入れるのか………!
「左様でございます 」
「…………心は読まないでくれる?
これ、帰ってくる時どうすればいいの?」
「帰ってくる時は、"ホーム"と叫んでください。………他の人間はそこで死んでもいいですけど」
「余計なことを言わないで」
「は、申し訳ございません」
私はカイテルを諌めて、祭壇に再び紙を置く。最初に乗り込むのは私_____って!
「ちょっ、ラフェー!」
ラフェエルは無言で先に入っていってしまった。私は慌てて追いかけた。
* * *
「っつ!」
紙をすり抜けたら結構な高さだった。けど、最初に落ちていたラフェエルが受け止めてくれた。それはいい。
けど。
「………………______あ」
周りは______沢山の柱。そして埋め込まれた人々。祈るポーズを取っている人もいる。これは………………ゼグスの星空の空間で見た、光景だ。
つまり。
「龍神に…………呪いをかけた人々…………」
「____おそらくな」
そう言うラフェエルは悲しげだった。
気持ちはわかる。でも…………なんで、ここに_____!?
突然、空間が歪んだ。
アルティアの体に黒い粒子がまとわりつき、分断される。
「ラフェー!」
「アル___!」
手を伸ばすが____2人の手が繋がることは無かった。
* * *
「…………アル………!」
言い終わる前に、アルティアは暗闇に包まれ、消えてしまった。
伸ばした手は空を切っただけ。ラフェエルは自分の手を見てから、考える。
この感覚………知っている。
セイレーン皇国で、夢を見ていた感覚だ。ということは…………
『来たね』
目の前には、夢に出てきた顔の見えない女児_アルティアの前世と言っていた_がいた。
「やはり…………貴様か!」
ラフェエルは剣を抜く。しかし、女児はくすくす笑っている。
『酷いなぁ、せっかく君にここがどういう場所か教えてあげようと思ったのに』
「戯れ言を……………!」
『戯れ言みたいな話だよ。
ここは____元、サクリファイス大帝国だ』
「は………………?」
ラフェエルは目を見開く。女児はひとつの柱に埋まる1人の女の体に触れる。
『サクリファイス大帝国、なんて名前をしてるけど、元々はこの幻の島に住んでいたんだ。争い事から逃げ、ほそぼそとね。
でも、全員じゃなかった。ここでピストルや機械を作っていた人間は、その威力を試して見たくなった。で、過激なサクリファイス大帝国の人間は____沢山人を殺したんだ。
そして、私が産まれた』
そう言って、女は口元をいやらしく歪ませた。そして、理解した。この女児は____
「"亡者の想い"……………か?」
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