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第12章 "幻の島"・ワールドエンド
"幻の島"の入口
しおりを挟む「えぐ、えぐ、アルティア様ぁ………会えて嬉しい私のオアシス…………」
アルさまにカイテル、と呼ばれた男はテッシュで鼻を噛んでいる。敵か?と思って剣を握ろうとしたらリーブさんに止められた。
「ガロ、あの方はアルティア様のお父上・現龍神様の部下様です」
「………!アルさま、おとうさん?」
「変な人かと思ったわ………………」
フランさんも驚いたらしく、汗を拭う仕草をした。みんなも驚いている。けど、ラフェさんはいつも通りの口調で話した。
「……………私達は早くワールドエンドに行きたい。
貴様が案内してくれるのだな?」
「相変わらず口のなってない男ですねえ、アルティア様の契約者ではなかったら殺してますよ。
……と、世間話はさておき、行きましょうか、アルティア様」
「ええ」
アルさまが歩き始めたから、ボクも追いかける。男と目が合った。
「……………流石アルティア様です、"混じり"の人狼をも従えてしまうとは…………」
「まじり?」
「ええ。精霊や妖精神と人間や亜人の間に生まれた子とその血脈ですね。素晴らしいです。ほかの皆様も個性的で……………
旅はどうでしたか?」
「とても実りのあるものだったわ。……………色々しれたと思う」
「それは何よりです。あともう踏ん張りですので頑張ってください。
人間共、"絶対に従「言霊呪文は必要ないわ、カイテル」…………左様ですか、出過ぎた真似を致しました」
男は前を歩きながら、アルさまに頭を下げた。今、男の声が凄いまがまがしい物を感じて、耳が出てしまった。
そんなボクを他所にラフェさんが口を開いた。
「…………サクリファイス大帝国の地下には禁書庫しかない。どこにワールドエンドがあるというのだ?」
「ご自分で答えを言っていらっしゃるじゃないですか」
「!」
男がぱちん、と指を鳴らすと一瞬で景色が変わった。来たことの無い場所、特殊な魔力を感じる場所にいた。目の前に大きな扉がある。
「…………これ、転移魔法…………?」
「ええ。アルティア様とお話出来たので、勝手にご案内させていただきました。
生贄はご存知でしょう?禁書庫にある祭壇を」
「………………ああ」
ラフェエルは思い出す。
禁書庫の真ん中にある謎の祭壇。リーブを連れて調べさせたが何もわからなかった代物だ。
「あれは少し特殊でしてねえ、人間だけでは開けられないのですよ。………ダーインスレイヴはわかりますよね?」
「……………………」
ダーインスレイヴは黙る。
それは肯定を意味しているように思えた。カイテルはくつくつ、と小さく笑って禁書庫の扉に触れる。
「呪術・闇の支配」
「___!」
そう呟くと、禁書庫の扉が黒く染った。そして崩れていくようにボロボロと零れ、白く光る謎の祭壇だけが空間に残った。
カイテルはアルティアを見る。
「ここからはアルティア様のお仕事です。
屈服印_全てを集めるなんて本当に素晴らしい!_にそれぞれ魔力を送り、妖精神を呼び寄せてください」
「?屈服印は契約印と違って呼べないわ」
「いいえ、この空間においては貴方が絶対的支配者。貴方がそれぞれの魔力を送れば姿を表します」
「……………そう。なら、やってみるわ」
アルティアは、白く光る祭壇に触れながら、目を閉じた。
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