【完結】転生したらヒロインでも悪役令嬢でもなく世界征服してる龍神の後継者だったのでこの世界の常識をぶっ壊してみようと思います!

Ask

文字の大きさ
上 下
215 / 270
第11章 "宿命"を変えるには?

好きって、難しい

しおりを挟む
 





 「やっぱり、ワールドエンドの手がかりはないなぁ」




 アルティアはベッドに本を投げ出す。ベッドはもう本が散乱していて寝返りすら打てやしない。


 こんなに本を読んだ理由はただ一つ、ラフェエルを死なせない方法を探す為だ。1人くらい生き残れた第1皇太子がいて、伝承を残してくれてるかもしれないと思って始めたけど…………わかったのは、生き残った第1皇太子が"いない"という事実だけ。



 全員もれなく死んでいるのだ。


 そう考えると………………心が痛くなる。それを強いたのが私達龍神なんだと思うと泣きたくなる。


 こんな馬鹿げたことを私達はしてきたんだ。誰も疑問に思わなかったのかな?


 だって、一緒に旅をしていた契約者になんの情も抱かないなんて無理でしょ。すくなくとも私は無理だった。



 最初は『なんだこいつ?』って思ってたけど、旅を重ねて、話を沢山して、色んなことを一緒にして……………いつの間にか居なくてはならない、そんな相手になっていた。



 というか、龍神って私と同じ女もいたのかな?ガーランドは女の姿にもなれるけど、基本男の姿をしていたし、男の口調だったし、次期龍神時代は男だったと私は思っている。



 で、ゼグスとラフェエルが瓜二つということは、ああいう顔の血筋なのだろう…………いや、それは言い過ぎか。弟だか虫だかわからないけどヤイバルとクシュスという男達は紅銀の髪ではあったけど色は薄いし瞳もラフェエルほど紅くはない。顔も平凡だと思う。


 というか、第一皇太子って呼んでるけど、第一皇太子の胤は第一皇太子なのかな?ラフェエル若いし、子供いないし……………いや、あれだけ女慣れしてるんだから他所の女に種付け済みかもしれない。





 「……………………それは、やだなぁ」





 アルティアはぽつり、そう呟いて枕を抱きしめる。

 私、相当ラフェエルに腑抜けているのかもしれない。独り占めしたい。他の女なんて見て欲しくない。




 前世でも男の人を好きになることなんてなかった。男は暴力と性欲だけの生き物だと思っていた。でも………………今は、本当にラフェエルが好きだ。


 そりゃ、罰という名の暴力はあるし、滅茶苦茶キスするし性欲がないのかは微妙なところだけど、1度も嫌だとは感じていない。





 でも…………………どこか優しいというか。不器用ながら大事にはしてくれてる………と信じたい。


 っていうか、好きなのにいい所を見つけられないっておかしいな?誰かを好きになると相手のいい所しか見えなくなるって聞くけどそんなことなくないか?


 ………………………そもそも、ラフェエルは本当に私のことが好きなのだろうか。最近同じベッドで寝て、キスはしてくれるけど……………好き、とは言ってくれないし。なにより!同じベッドで寝てるのに!手は出されない!いや出されたいかと言われるとそうじゃないけど!…………いや!やっぱり嘘!ほんの少し期待してたりする!




 「あぁぁぁ~~~!」




 アルティアは枕に顔を埋めながら叫ぶ。ポスポスとベッドを殴っているが、悔しいことにベッドはとても柔らかく、殴ってる感は半減だ。




 物凄くモヤモヤする!なんだこれ!




 「…………………人を好きになるのも、楽じゃないってか………………ん?」





 そう呟いたら、コンコンとノック音が聞こえた。私は起き上がりどうぞ、と声をかけた。


 ガチャ、と音を立てて開いた扉の先には____銀色のベリーベリーショートヘアの、金色と赤色のオッドアイの子供。私の側近のガロだ。


  

 「ガロ?どうしたの?」



 「おはなし、したいこと、あった」




 ガロはそう言って、とてて、と駆け寄ってくる。私はそれを見て本を退かしガロの座れるスペースを作る。


 しかしガロは座らず、代わりに言葉を紡いだ。



 「______ガロ、アルさま、ラフェーさん、おでかけ、したい」  






       


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】 ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

【完結】婚約破棄されたので国を滅ぼします

雪井しい
恋愛
「エスメラルダ・ログネンコ。お前との婚約破棄を破棄させてもらう」王太子アルノーは公衆の面前で公爵家令嬢であるエスメラルダとの婚約を破棄することと、彼女の今までの悪行を糾弾した。エスメラルダとの婚約破棄によってこの国が滅ぶということをしらないまま。 【全3話完結しました】 ※カクヨムでも公開中

【完結】召喚されましたが、失敗だったようです。恋愛も縁遠く、一人で生きて行こうと思います。

まるねこ
恋愛
突然の自己紹介でごめんなさい! 私の名前は牧野 楓。24歳。 聖女召喚されました。が、魔力無し判定で捨てられる事に。自分の世界に帰る事もできない。冒険者として生き抜いていきます! 古典的ファンタジー要素強めです。主人公の恋愛は後半予定。 なろう小説にも投稿中。 Copyright©︎2020-まるねこ

転生した元悪役令嬢は地味な人生を望んでいる

花見 有
恋愛
前世、悪役令嬢だったカーラはその罪を償う為、処刑され人生を終えた。転生して中流貴族家の令嬢として生まれ変わったカーラは、今度は地味で穏やかな人生を過ごそうと思っているのに、そんなカーラの元に自国の王子、アーロンのお妃候補の話が来てしまった。

悪役令嬢?いま忙しいので後でやります

みおな
恋愛
転生したその世界は、かつて自分がゲームクリエーターとして作成した乙女ゲームの世界だった! しかも、すべての愛を詰め込んだヒロインではなく、悪役令嬢? 私はヒロイン推しなんです。悪役令嬢?忙しいので、後にしてください。

(自称)我儘令嬢の奮闘、後、それは誤算です!

みん
恋愛
双子の姉として生まれたエヴィ。双子の妹のリンディは稀な光の魔力を持って生まれた為、体が病弱だった。両親からは愛されているとは思うものの、両親の関心はいつも妹に向いていた。 妹は、病弱だから─と思う日々が、5歳のとある日から日常が変わっていく事になる。 今迄関わる事のなかった異母姉。 「私が、お姉様を幸せにするわ!」 その思いで、エヴィが斜め上?な我儘令嬢として奮闘しているうちに、思惑とは違う流れに─そんなお話です。 最初の方はシリアスで、恋愛は後程になります。 ❋主人公以外の他視点の話もあります。 ❋独自の設定や、相変わらずのゆるふわ設定なので、ゆるーく読んでいただけると嬉しいです。ゆるーく読んで下さい(笑)。

追放された悪役令嬢はシングルマザー

ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。 断罪回避に奮闘するも失敗。 国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。 この子は私の子よ!守ってみせるわ。 1人、子を育てる決心をする。 そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。 さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥ ーーーー 完結確約 9話完結です。 短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

処理中です...