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第11章 "宿命"を変えるには?
聖女発案『ラブラブ』大作戦!
しおりを挟む「それはいいな」
クリスティドは爽やかな笑顔で頷く。ダーインスレイヴはそれをみて思う。
………好きな女と親友のために自らの気持ちを押し殺したコイツは、やっぱり凄いのかもしれないな。伊達に契約している妖精神はもちろん、ほかの妖精神達とも良好な関係を持てるわけではないようだ。
そんな強い王子に一種の敬意を持ちながら、言葉を紡ぐ。
「いいんじゃないか?どうせ満月まで10日もある。……………死ぬ前に思い出作りも悪くないだろう」
「ラフェエル様は!死にませんし!ハッピーエンドで終わるんです!」
「はいはい、わかったわかった。で、どうすんだ?アルティアはともかく、ラフェエルが2人で出掛けるなんてしないと思うが?」
街を歩くのが大好きなアルティアと違いラフェエルは極度の面倒臭がりだ。そして若干街に住む人間を総じてよく思っていない。それは、良くも悪くも目立つくらい特殊で美しい顔に起因する。ましてやサクリファイス大帝国で紅銀の髪と紅い瞳を見て誰だかわからない、などということはないだろう。
そんな疑問に答えたのはフランだった。不気味な笑みを浮かべている。
「ふっふっふっ……………それは私に任せて!とびっきりいい方法があるの!」
「……………いい方法、ですか?」
「ええ!要は2人が出掛けるよう仕向ければいいのです!ラフェエル様のスケジュールの調整はリーブに任せましょう、リーブには私から作戦内容を話しておくわ!
で、この仕掛けに使うのが____貴方よ!」
「…………!」
フランはビッ、と指さした。その先には_____ガロ。ガロは肩を跳ねさせて金色と赤色の瞳を大きく見開いた。
「………ガロ?」
「そうよガロちゃん!あなたの力が必要なの!」
「ガロ、の、チカラ?」
キョトンとするガロは、さながら女の子だ。これで髪が少し伸びたらきっと可愛い女の子に化けれる。下手したら私やアルティア先輩を超える逸材かもしれない。だがしかし悲しいかな、男の子。まあそれも萌えるんだけど…………じゃなくて!
そんな雑念溢れるフランは颯爽と歩いてガロの元に来た。そして、肩を掴んで言う。
「ガロちゃんが居れば、きっと上手くいくわ!やってくれない!?」
「……………………」
よくわからない。
けど、アルさまに幸せになって欲しい。
そのためならなんでもやると決めたんだ。
ガロはそう考えてから、黒と白の髪をツインテールにしたフランの顔を見た。
「ガロ、やる。なに、やれば、いい?」
「うん、いい返事!えっとね____」
フランの紡がれる言葉に、1人は呆れ、1人は笑い、1人は絶賛し、……言われたガロはこくん、と頷いた。
____こうして、"ラフェエル様とアルティア先輩をくっつけちゃおう大作戦"の幕が上がった。
* * *
「んーーーー……………」
アルティアは、部屋_初めてサクリファイス大帝国に来た時と同じ部屋_のベッドの上で寝転がりながら分厚い本を読んでいた。
…………少し前は絵本しか読めなかったのに、こんな難しいものまで理解できるようになった。
勉強というのは決して無駄ではなく、やればやるだけ理解が深まり、それを通じて別の事柄も考えられるようになる。
前世でもそれに気づけず、毛嫌いしていたのに……………人間ってここまで変われるんだな。人間じゃないけど。
で、話を戻そう。
私が今読んでいるのは"龍神について"という題名の伝承本だ。サクリファイス大帝国の書庫にあった。
色々な歴史、龍神の存在、その力、…………よくもまあここまで"嘘"を記せると感心してたところだ。
歴史に関しては、星の妖精神・ゼグスが言っていた事_龍神は10万年前に生まれたものだという内容だった_が本当の歴史だろうし、龍神の存在は尊いというのもゼグスが言ってた事に基づいて考えると全然違うし、龍神の力はガーランド以外の龍神を知らないからわからないけど、少なくとも"生命を生み出す"なんてことはしてなかった。
できるのはアンデッドを生み出すことぐらいだ。まあほかにも諸々あるんだろうけど私は知らない。
それを面白おかしく記してる人間がとても滑稽に思えた。
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