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第11章 "宿命"を変えるには?
秘密の作戦会議 #1
しおりを挟む「ではでは、みなさん!作戦会議開始です!」
サクリファイス皇城、応接の間。立派で煌びやかな赤いカーペットの上でフランは人差し指を天に掲げるポーズを取りながら大声でそう言った。
クリスティドはそれを見て呆れる。
「作戦会議というのは、もう少し静かに行うものだろう?フラン嬢。
前のようにアルティア様が突然いらっしゃったらどう言い訳するのだい?」
「それはその時考えます!」
「フランはいつも元気だな~、もう尊敬の域だ。あー面白い。
で?なんの作戦会議なんだい?」
ダーインスレイヴはソファに深深と座り、優雅に紅茶を飲んでから尋ねた。するとフランは待ってました!と言わんばかりに言う。
「勿論、ラフェエル様が死ななくて済む方法を考えるんです!」
「それはみんなそれぞれやってるだろう?リーブは伝承を、私は妖精神達に話を、エリーは魔法書を、ガロは動物達に聞いて……………………フラン嬢は聖女の力を使ってセイレーン皇城の禁書庫から禁書の持ち出し……………それとも、何か情報を得られたのか?」
「まったく!これっぽっち!情報はありません!」
「…………断言…………」
威張るように胸を張ってそう言うフランに、ガロは眉を下げる。ガロは動物と話せる能力を使っているが、動物達もそんなに長くは生きない。龍神のことを知らない動物の方が多いほどだ。
それもあって落ち込むガロの頭をダーインスレイヴは撫でる。
「つまり、何も情報を得られない状態で作戦会議をする、と?
破綻しているなぁ」
「ダーインスレイヴ様がワールドエンドのことを話してくださればこんなに頭を悩ませることはないんですけどね」
クリスティドはじろ、とダーインスレイヴを睨む。ダーインスレイヴはふい、と顔を逸らした。
ダーインスレイヴの言うことが正しいのであれば、彼は5000年前現龍神と共に旅をして、ワールドエンドに到達した、…………この世でワールドエンドを詳しく知るのはダーインスレイヴだと言っても過言ではないだろう。
けれど当人は揺すっても叩いても口を割らなかった。『行けばわかる』などという適当な言葉しか並べないから頼りにならないのだ。フランの執拗な取り調べでも笑って流している。どうしても口を開く気は無い。
何をそんなに頑なに話したがらないのかさえわからず、聞く時間が勿体ないということでもうダーインスレイヴに話を聞こうとする者はいなかった。
「……………じゃあ!それ以外を考えましょ!改めて題して!ラフェエル様とアルティア先輩をくっつけちゃおう大作戦!」
「はあ?」
急な方向転換に、ダーインスレイヴはいつものポーカーフェイスを崩した。勿論、それを聞いていた全員も。クリスティドは戸惑いながら聞く。
「何を言っているんだ?フラン嬢」
「クリスティド様も知ってますでしょう?あの二人!5日前からとっても距離が近いの!…………きっとラブコメ展開があったんですよ!」
5日前____ファーマメント王国の神殿に泊まった時だろう。確かに、あの日からアルティアとラフェエルは一気に距離を縮めていた。人目を憚らずくっつき、なにかと互いの世話をしているのは仲間内に周知されていた。
フランは続ける。
「あの二人、絶対デキてるし、いっそくっつけちゃえば『やっぱり死にたくない、生きよう』ってなると思うんですよ!
何より、小説的にはそろそろ2人にくっついてもらわないといい話を書けないのです!」
「小説?」
「私が書いている小説です!転生した少女は龍神で、ヒロインで………ヒーローと幸せを掴む溺愛ストーリー………フィクションてんこ盛りですけど、ちゃんと忠実に基づいているんですよ!ヒロイン役であるアルティア様は漫画みたいなチート能力持ってるし………だから………で……」
フランはペラペラと饒舌に語るが、仲間達は全員首を傾げていた。………フランはいつもこういう訳の分からないことばかり言うから慣れてはいるが。
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