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第11章 "宿命"を変えるには?
ハッピーエンド大作戦!?
しおりを挟むすすり泣くエリアスを見て、クリスティドも顔を暗くした。
言いたいことはとてもわかる。
私だってそう思うし、むしろその選択をするのであれば力の限り応援したい。シースクウェア大国で匿ってもいいとさえ思う。
けれど。
「………………………ラフェエルは、納得しないだろうな。
アイツは頑固だから、決めたこと、定められたことを曲げれるような男ではない」
「………………左様です」
「!」
クリスティドの言葉に答えたのは、リーブだった。
「ラフェエルの所にいたんじゃなかったのか?」
「ラフェエル様が"1人にしろ"と。…………様々な事柄があったので、随分お疲れになられています」
リーブはそう言いながら、部屋に備え付けられたティーポットを手に取った。紅茶の匂いが鼻腔を擽る。
「ラフェエル様は、ワールドエンドに行くことを目的としてここまで来たのです。放り出すような方ではありません。………………たとえ、アルティア様に何を言われようと、覆しはしないでしょう。
誰よりもアルティア様を想っておられるのは…………ラフェエル様ですから」
「……………そんなの…………悲しすぎるじゃない…………………!」
とうとうフランまで泣き始めた。
いつもみたいにギャンギャンと吠えるような泣き方ではない、それこそ淑女らしく泣いている。
まるで葬儀だ。
その空気の中、エリアスの膝で眠っているガロが声を出した。
「ガロ、………アルさま、まもる、ラフェーさん、まもる…………」
「ガロ?」
「………………すう………」
………………寝言のようだ。
随分、タイミングのいい寝言だな。私達が騒いでいるせいか?
でも、その寝言にはっ、とした。
私達は何も知らないで、言葉のままに『死んでしまう』と決めつけている。けれども、そうならない方法があるのではないか?ないのであれば作れるのではないか?
私達全員の力と、ラフェエルと、アルティア様の力があれば……………何かを変えられるのではないか?
「………………皆、聞いて欲しい」
そこまで考えて、クリスティドは口を開いた。泣いていた女達は顔を上げ、お盆に紅茶を乗せていたリーブも注目する。
クリスティドは、全員の視線が集まってから、口を開いた。
「私達で、考えよう。アルティア様も、ラフェエルも傷つかない新しい方法を。
私達は今までたくさんのことを全員で乗り越えてきただろう?全員得意分野がある。その得意分野を駆使して考えるんだ。
無くても作ればいい」
「でも、そんなこと……………できるのでしょうか」
「…………………やるしかないでしょ。バッドエンドの小説も好きだけど、私は2人のハッピーエンドを見たいんだから!」
「フラン様はまた面妖なことを……………ですが、恐れながら私も力になりたいです」
「……………わたくしも、沢山魔術の本を、読めば…………なにかヒントが得られるかも………」
全員が顔を上げた。泣いていた者は涙を拭き、立ち上がる。全員がクリスティドに集まって、顔を合わせた。
「色々、探ってみよう。私は妖精神達にもそれとなく聞いてみる。エリーは言ってたとおり魔法方面で、フラン様はセイレーン皇国でそれらしい文献があったら持ってきてください。カーバンクル様に聞いてもいいです。
リーブは私と共に諜報をしてみましょう」
「はい」
「承知致しました」
「私!頑張る!題して!ハッピーエンド大作戦!」
「ハッピーエンド大作戦?なにそれ?」
「聞いてなかったんですか?それは____!」
フランは途中で口を塞いだ。後ろの入口には……………アルティアがいた。
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