197 / 270
第10章 生贄皇子救出大作戦、始動
誘拐犯と脅迫犯
しおりを挟む「ふぃ~~~」
アルティアは深く椅子にもたれ掛かった。
ニュース番組に出てる人は本当にすごいな。こんなに緊張するものなのか。どっ、と疲れが出たよ。正直、後ろで磔にしているオカマと戦ったより疲れた。
『秘術・映像放送』
まあ簡単に言えばモニターを沢山作りだして映像を見せる魔法だ。魔法というか、やっぱり秘術だね。私の力"想像"で作り出した代物だし。
「やっぱり、アルティア様は凄いです!あんな魔法を使えるなんて!」
「そりゃーヒロインですもん!ですよね?先輩!」
そんなことをきゃっきゃと話しているおふた方、今の光景を見てなかったのかな?どこをどうみたって悪役でしょう。
たかだか男一人のために国滅ぼすとか言っちゃってんだよ?傾国の姫もビックリだよ。物理で傾国しようとしてるんだから。
ましてや、精霊を人質にとってさ。
「そう思わない?風の精霊」
『…………ッ、なにが、目的なのよ…………』
「何度も言ってるじゃない。私は、ラフェエルさえ戻ってくればこんな事しないわ。国も滅ぼす~とか言ったけどそれはハッタリのつもりだし。
だって、貴方たちはラフェエルを守ろうとしたんでしょ?」
私はそう言って、磔る"風"に見せた魔法を解除する。いくら私でも本当に磔なんてしないよ。………………いや、1度したな、太陽神に。
そんなことを考えている私に、地面_私の水と氷と土の魔法で作り出した小さな雲島なんだけど_に転がるオカマは言う。
『そうよッ………………ワールドエンドに、行ったら………………あの子が死んじゃう…………同じこと、繰り返しちゃダメなのよ……………』
「…………なにか勘違いしてるようだけど、私はラフェエルを殺すつもりは毛頭ないよ。絶対死なせない」
『!……………………タチの悪い冗談……………ワタシはスカイ様から聞いてるわ…………今の龍神だって同じことを言って…………殺したって』
「………………!」
ガーランドが……………………?
にわかに信じられなかった。確かにガーランドは龍神の位置にいる。つまり…………本当に、殺したの?
私はダーインスレイヴを見た。
ダーインスレイヴは目を伏せて、口を開く様子はない。………………教える気、ないってわけね。上等よ。
「ねえ、聞いて、風の精霊。
私は絶対ラフェエルを死なせない。…………必ず、ラフェエルを生かして、天寿を全うさせ__『よくもまあぬけぬけとそんなことをいえるものだな』__!」
話をさえぎったのは…………聞き覚えのない女の声がした。私は急いで身構える。
見ると____空色のポニーテール、金色の瞳、鎧を着た女がいた。ピリピリとその場の空気が張り詰めている。それだけで、この女が強い、妖精神だとわかった。
『_____来たぞ、下劣な龍神よ』
「御足労感謝です。………けどおかしいですね。何故ラフェエルがいないのですか?」
『なぜ?簡単だ。貴様はここで____死ぬからだ』
「___!ダーインスレイヴ!」
アルティアはすぐさまダーインスレイヴを呼んだ。ダーインスレイヴは青紫の剣に化け、アルティアの手に収まった。アルティアはすぐさま向かってくる女の剣を受ける。
「ッ…………!」
『ほう……………?ダーインスレイヴ、貴様は噂通り、魔剣になったのか』
……………?知り合い?
『…………………まあ、な』
カキィン、と音を立てて後ろに飛んだ。
ダーインスレイヴとこの女の関係はわからない。今考えることでもない。
風の精霊も、空の妖精神も…………本気だ。
本気でラフェエルを守ろうとしている。
それがものすごく伝わってきた。
だから____私も、ある種の"決意"をした。
0
お気に入りに追加
98
あなたにおすすめの小説

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。
新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、

雪解けの白い結婚 〜触れることもないし触れないでほしい……からの純愛!?〜
川奈あさ
恋愛
セレンは前世で夫と友人から酷い裏切りを受けたレスられ・不倫サレ妻だった。
前世の深い傷は、転生先の心にも残ったまま。
恋人も友人も一人もいないけれど、大好きな魔法具の開発をしながらそれなりに楽しい仕事人生を送っていたセレンは、祖父のために結婚相手を探すことになる。
だけど凍り付いた表情は、舞踏会で恐れられるだけで……。
そんな時に出会った壁の花仲間かつ高嶺の花でもあるレインに契約結婚を持ちかけられる。
「私は貴女に触れることもないし、私にも触れないでほしい」
レインの条件はひとつ、触らないこと、触ることを求めないこと。
実はレインは女性に触れられると、身体にひどいアレルギー症状が出てしまうのだった。
女性アレルギーのスノープリンス侯爵 × 誰かを愛することが怖いブリザード令嬢。
過去に深い傷を抱えて、人を愛することが怖い。
二人がゆっくり夫婦になっていくお話です。

【完結】婚約破棄されたので国を滅ぼします
雪井しい
恋愛
「エスメラルダ・ログネンコ。お前との婚約破棄を破棄させてもらう」王太子アルノーは公衆の面前で公爵家令嬢であるエスメラルダとの婚約を破棄することと、彼女の今までの悪行を糾弾した。エスメラルダとの婚約破棄によってこの国が滅ぶということをしらないまま。
【全3話完結しました】
※カクヨムでも公開中

できれば穏便に修道院生活へ移行したいのです
新条 カイ
恋愛
ここは魔法…魔術がある世界。魔力持ちが優位な世界。そんな世界に日本から転生した私だったけれど…魔力持ちではなかった。
それでも、貴族の次女として生まれたから、なんとかなると思っていたのに…逆に、悲惨な将来になる可能性があるですって!?貴族の妾!?嫌よそんなもの。それなら、女の幸せより、悠々自適…かはわからないけれど、修道院での生活がいいに決まってる、はず?
将来の夢は修道院での生活!と、息巻いていたのに、あれ。なんで婚約を申し込まれてるの!?え、第二王子様の護衛騎士様!?接点どこ!?
婚約から逃れたい元日本人、現貴族のお嬢様の、逃れられない恋模様をお送りします。
■■両翼の守り人のヒロイン側の話です。乳母兄弟のあいつが暴走してとんでもない方向にいくので、ストッパーとしてヒロイン側をちょいちょい設定やら会話文書いてたら、なんかこれもUPできそう。と…いう事で、UPしました。よろしくお願いします。(ストッパーになれればいいなぁ…)
■■
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

お飾り公爵夫人の憂鬱
初瀬 叶
恋愛
空は澄み渡った雲1つない快晴。まるで今の私の心のようだわ。空を見上げた私はそう思った。
私の名前はステラ。ステラ・オーネット。夫の名前はディーン・オーネット……いえ、夫だった?と言った方が良いのかしら?だって、その夫だった人はたった今、私の足元に埋葬されようとしているのだから。
やっと!やっと私は自由よ!叫び出したい気分をグッと堪え、私は沈痛な面持ちで、黒い棺を見つめた。
そう自由……自由になるはずだったのに……
※ 中世ヨーロッパ風ですが、私の頭の中の架空の異世界のお話です
※相変わらずのゆるふわ設定です。細かい事は気にしないよ!という読者の方向けかもしれません
※直接的な描写はありませんが、性的な表現が出てくる可能性があります

婚約者と義妹に裏切られたので、ざまぁして逃げてみた
せいめ
恋愛
伯爵令嬢のフローラは、夜会で婚約者のレイモンドと義妹のリリアンが抱き合う姿を見てしまった。
大好きだったレイモンドの裏切りを知りショックを受けるフローラ。
三ヶ月後には結婚式なのに、このままあの方と結婚していいの?
深く傷付いたフローラは散々悩んだ挙句、その場に偶然居合わせた公爵令息や親友の力を借り、ざまぁして逃げ出すことにしたのであった。
ご都合主義です。
誤字脱字、申し訳ありません。
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる