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第10章 生贄皇子救出大作戦、始動

聖女は妄想する

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 「ひゃ~~!カーバンクル、もっとゆっくり飛んで~~!」



『ゆっくり飛んだら、皆様についていけませんよ…………………』



 カーバンクルはそう言いつつ少しスピードを下げてくれた。カーバンクルは私に甘いのだ。


 はい、私は聖女のフラン・ダリ・ジュエルズ・セイレーンです!異世界転生者で平民だったにも関わらず聖女の力に目覚めて恋愛小説のヒロイン的ポジションなスーパーウルトラ可愛い17歳の女の子!



 ただいま私は、聖の精霊で相棒のカーバンクルと共に空を飛んでいます!私だけじゃありません。"次期龍神"一行のメンツ揃い踏みで、です!




 フランは前を見る。前には赤を基調としつつもカラフルな彩りの火の鳥___幻獣・リンカネーションと、その上に乗った"魔法剣王子"ことクリスティドさん、リンカネーションを使役する"幻獣姫"ことエリアスさんが居ます。



 そのもっと先にはカーバンクルみたいにリスの姿をした………なんて、間抜けな姿ではない、それこそ"聖獣"!って感じの見た目をした鳥・ヴァルと、その上に乗った"人狼ショタ"ことガロちゃん、"特殊側近"ことリーブ、そして……………………我が一行のリーダーであり真のヒロイン"次期龍神"・アルティア先輩が居ます。




 私達は"天国にいちばん近い島"・ファーマメント王国に向かっているのです!空を飛んで!もはやファンタジーですよ!ハイファンタジー!



 なんでこんなことになっているのかというと、この物語のヒーローであろう次期龍神の契約者でハイスペックな皇子・ラフェエル様が攫われてしまったのです。



 これで2回目ですよ?1回目は私が首謀者なんですけどね!ヒーローというよりもはやラフェエル様がヒロインじゃないかな?って思い始める今日この頃です。あ、私いいこと言った!



 これを誰かに語りたい!………とは思うものの、いつも聞いてくれるアルティア先輩にそんな余裕はありません。ラフェエル様が攫われたとわかってから、とってもピリピリしています。誰とも口を聞かない。ただひたすら前を向いてて…………物理的にも距離が離れてますし、話しかけられないです。



 でも、ですよ?

 ここまでラフェエル様のことを想っているんです、アルティア先輩は。先程、ラフェエル様がワールドエンドに着いたら死んでしまう、と聞いた時は泣いて、喚いて…………………



 これは間違いなく恋愛フラグですよ!というか、ラフェエル様はいつだってアルティア先輩のことを愛おしげに見てたし!ツンデレだから罰を落としてましたけど、確実に脈アリです!



 で、アルティア先輩も無自覚なのか確信的なことは言わないけれど、こんなに必死になって助けに向かっているんだから!両片思いを生で、現実で見れて私はとっても幸せです。…………いけないいけない、今はラフェエル様を助けるという道中なのだからそれらしく振る舞わないと…………




 …………とはいえ、いくら考えてもおかしいのです。
 なんで、ラフェエル様はアルティア先輩を愛しているのに死ぬことを選ぶのでしょうか?普通は一緒にいたい、一生傍に居たいと思うものでは?私は恋愛したことないけれど、少女漫画とかではそういう描写の方が多い。


 なのに、なんで……………




 「聖女さ、お前の頭の中メルヘンすぎないかい?」


 「うわぁっ!」


『フラン!』




 後ろから声をかけられて思わず落ちそうになる。カーバンクルに呼ばれてすぐ毛にしがみついたから落ちなかったけど、怖かった………………






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