【完結】転生したらヒロインでも悪役令嬢でもなく世界征服してる龍神の後継者だったのでこの世界の常識をぶっ壊してみようと思います!

Ask

文字の大きさ
上 下
186 / 270
第10章 生贄皇子救出大作戦、始動

太陽神は心の底から屈服する

しおりを挟む






『ほーん、つまり、また攫われた契約者を助けに行きたい、で、俺にお鉢が回ってきた、っつーことか』



 訳を話すと、太陽神・ドゥルグレは4本の腕で腕を組みながら空中に座っていた。いつものアルティアであればそんなことを許さないのだが、怒る余裕もないらしく見上げながら言う。




 「そうなの。アンタ、腐っても太陽神でしょ?空の妖精神と仲がいいんじゃないの?」




 空と太陽は切っても切れない縁のはず。なぜなら空があって、太陽見えているのだから。アルティアなりの考えだった。そしてそれは、物の見事に的中していた。





『誰があんな頭の固い古臭いババアと仲良くするかよ。…………まあ、それなりに交流はある。場所も朧気ながらならわかる。


 だが』




 ドゥルグレはにやり、と笑う。


 _____簡単に教えてやるのは癪だろう?


 太陽神・ドゥルグレはにやり、と笑ってて言った。




『教えて欲しければ俺に土下座しろ。で、"太陽神様、どうかこの醜い龍神にお知恵をお貸しください"と懇願して見せろ。


 そうしたら、考えてやらんでもないぞ』



 「…………………………」




 アルティアは黙る。自分の体内に宿るアルティアの魔力がグダグダ言っているがそんなのもう慣れた。しかし、いつもの癖で手を前に出し、落とされる心構えを見せた。




 だが_____いつもの乱暴な言霊呪文は降り掛かってこなかった。


 それどころか。



『なっ……………!』





 アルティアが、地面に膝をついたのだ。
 無表情で黙って俺の言うことを聞いている。


 巫山戯るな!いつもの生意気な態度はどうした!?らしくねえじゃねえか!


 俺はこいつが大嫌いだ。
 理不尽が皮を被った性格で無理難題ばかり出して、おまけに俺を自在に操れるようにして。こいつに受けた屈辱はもう数えきれない。………………けれど。




『待て!』



 「………………?」





 アルティアが頭を下げようとしたところで地面に降りた俺はすぐさまアルティアの頭を抑えた。身体中が痛くて、悲鳴を上げている。主人に攻撃を向けることは勿論触れる事すら許されないのはわかっている。



 だが、それ以上に_____この女が頭を垂れる姿は見たくなかった。



 そんな矛盾したことを考えるドゥルグレに、アルティアは睨みつける。





 「………………なによ、土下座でしょう?


 邪魔しないで」



『なんでッ…………なんでそんなに素直なんだ!いつもみたいに俺を貶せよ!俺に頭なんか下げんなよ!


 なんで俺の言うことを黙って聞くんだ!?』




 「命令しといて逆ギレ?………何がしたいのよ。



 でも、そうね…………………」



 アルティアはそこまで言って、俺の手を掴んだ。か細い腕、自分のソレより小さく細い指が食い込む。


 アルティアは俺を真っ直ぐ見て、言った。




 「ラフェエルを救うためなら私はいくらでも頭を下げる。いくらでもアンタの言う通り言葉を紡ぐわ。



 ___全て、ラフェーの為に私は動く」




『っ……………!』





 真剣な言葉に、怯む。
 俺と戦った時とは違う。騒いだり、喚いたりしていない。

 けれど………………あの時よりも怒っていると感じる。静かに、溢れる怒りを滾らせている。


 そこまで、あの人間が大事なのか………………?

 そう考えると胸が痛くなった。呪いの力じゃない。



 俺はいつから、この女に懐柔されていたんだ?


 俺はいつから、この女の為に自ら動くようになったんだ?



 俺はいつから_____この女に心から屈服していたんだ?




 ドゥルグレはそこまで考えて、首を振った。

 簡単には認めてやらねえ。
 簡単にはこの気持ちを口にしねえ。


『_____気が変わった。


 教えてやるよ。…………ファーマメント王国がある所を』





 ドゥルグレは飲み込んだ言葉の代わりにそう言ったのだった。












しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

できれば穏便に修道院生活へ移行したいのです

新条 カイ
恋愛
 ここは魔法…魔術がある世界。魔力持ちが優位な世界。そんな世界に日本から転生した私だったけれど…魔力持ちではなかった。  それでも、貴族の次女として生まれたから、なんとかなると思っていたのに…逆に、悲惨な将来になる可能性があるですって!?貴族の妾!?嫌よそんなもの。それなら、女の幸せより、悠々自適…かはわからないけれど、修道院での生活がいいに決まってる、はず?  将来の夢は修道院での生活!と、息巻いていたのに、あれ。なんで婚約を申し込まれてるの!?え、第二王子様の護衛騎士様!?接点どこ!? 婚約から逃れたい元日本人、現貴族のお嬢様の、逃れられない恋模様をお送りします。  ■■両翼の守り人のヒロイン側の話です。乳母兄弟のあいつが暴走してとんでもない方向にいくので、ストッパーとしてヒロイン側をちょいちょい設定やら会話文書いてたら、なんかこれもUPできそう。と…いう事で、UPしました。よろしくお願いします。(ストッパーになれればいいなぁ…) ■■

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

私、確かおばさんだったはずなんですが

花野はる
恋愛
不憫系男子をこよなく愛するヒロインの恋愛ストーリーです。 私は確か、日本人のおばさんだったはずなんですが、気がついたら西洋風異世界の貴族令嬢になっていました。 せっかく美しく若返ったのだから、人生勝ち組で楽しんでしまいましょう。 そう思っていたのですが、自分らしき令嬢の日記を見ると、クラスメイトの男の子をいじめていた事が分かって……。 正義感強いおばさんなめんな! その男の子に謝って、きっとお友達になってみせましょう! 画像はフリー素材のとくだ屋さんからお借りしました。

前世では美人が原因で傾国の悪役令嬢と断罪された私、今世では喪女を目指します!

鳥柄ささみ
恋愛
美人になんて、生まれたくなかった……! 前世で絶世の美女として生まれ、その見た目で国王に好かれてしまったのが運の尽き。 正妃に嫌われ、私は国を傾けた悪女とレッテルを貼られて処刑されてしまった。 そして、気づけば違う世界に転生! けれど、なんとこの世界でも私は絶世の美女として生まれてしまったのだ! 私は前世の経験を生かし、今世こそは目立たず、人目にもつかない喪女になろうと引きこもり生活をして平穏な人生を手に入れようと試みていたのだが、なぜか世界有数の魔法学校で陽キャがいっぱいいるはずのNMA(ノーマ)から招待状が来て……? 前世の教訓から喪女生活を目指していたはずの主人公クラリスが、トラウマを抱えながらも奮闘し、四苦八苦しながら魔法学園で成長する異世界恋愛ファンタジー! ※第15回恋愛大賞にエントリーしてます! 開催中はポチッと投票してもらえると嬉しいです! よろしくお願いします!!

旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】 ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

雪解けの白い結婚 〜触れることもないし触れないでほしい……からの純愛!?〜

川奈あさ
恋愛
セレンは前世で夫と友人から酷い裏切りを受けたレスられ・不倫サレ妻だった。 前世の深い傷は、転生先の心にも残ったまま。 恋人も友人も一人もいないけれど、大好きな魔法具の開発をしながらそれなりに楽しい仕事人生を送っていたセレンは、祖父のために結婚相手を探すことになる。 だけど凍り付いた表情は、舞踏会で恐れられるだけで……。 そんな時に出会った壁の花仲間かつ高嶺の花でもあるレインに契約結婚を持ちかけられる。 「私は貴女に触れることもないし、私にも触れないでほしい」 レインの条件はひとつ、触らないこと、触ることを求めないこと。 実はレインは女性に触れられると、身体にひどいアレルギー症状が出てしまうのだった。 女性アレルギーのスノープリンス侯爵 × 誰かを愛することが怖いブリザード令嬢。 過去に深い傷を抱えて、人を愛することが怖い。 二人がゆっくり夫婦になっていくお話です。

タイムリープ〜悪女の烙印を押された私はもう二度と失敗しない

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
<もうあなた方の事は信じません>―私が二度目の人生を生きている事は誰にも内緒― 私の名前はアイリス・イリヤ。王太子の婚約者だった。2年越しにようやく迎えた婚約式の発表の日、何故か<私>は大観衆の中にいた。そして婚約者である王太子の側に立っていたのは彼に付きまとっていたクラスメイト。この国の国王陛下は告げた。 「アイリス・イリヤとの婚約を解消し、ここにいるタバサ・オルフェンを王太子の婚約者とする!」 その場で身に覚えの無い罪で悪女として捕らえられた私は島流しに遭い、寂しい晩年を迎えた・・・はずが、守護神の力で何故か婚約式発表の2年前に逆戻り。タイムリープの力ともう一つの力を手に入れた二度目の人生。目の前には私を騙した人達がいる。もう騙されない。同じ失敗は繰り返さないと私は心に誓った。 ※カクヨム・小説家になろうにも掲載しています

処理中です...