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第9章 次期龍神達の"防衛戦"
アイスバーン"防衛"戦、開幕
しおりを挟む街が、…………国全体が燃えている。
上空にて、アルティアは眼下に広がる惨状を見ていた。
亜人たちは逃げ惑っている。兵士の格好をした人間達はざっ、と10万人は居るだろう。よくもまあこんなに兵士を集められたなと呆れを通り越して感心する。ゴミも塵も積もれば山となる、というか。
勿論、助けるつもりだ。
でもその前にやらなければならないことがある。
ちゃんとそれまで逃げててよね、亜人達。
アルティアは両手を広げて、緑色の光を纏う。膨大な魔力が掌に集まる。そして、小さな声で詠唱した。
「____防御魔法・全遮断」
青色の結界が、国全体を覆っていく。
…………………とりあえず、これでこれ以上の敵の侵入は防げるだろう。
アルティアはふ、と姿を消した
* * *
アルティアが国全体に防御魔法を張っている間に、ラフェエルを含む仲間達が城の前に居た。
「_____ここからは3手に別れるぞ」
「ああ、それが効率がいい」
ラフェエルの言葉にクリスティドは頷いた。そして、リーブを見る。その意味を理解しているリーブは恐れながら進言します、と一言述べてから茶色の瞳を開いた。
「____国全体の状況と力関係を総合して考えますと、クリスティド様とエリアス様は比較的敵の少なく怪我人が多い東、私とガロは様々な付与効果を操る魔導師が多い西、………………歩行兵や騎馬軍団が集中している南にラフェエル様とアルティア様お手製の黒騎士が向かうのが最善かと思われます」
「ラフェエル様が、敵の多い南……………き、危険ではないでしょうか……………?」
エリアスはおずおずと発言する。ラフェエルはそれを聞いて淡々と言った。
「リーブの見解は最善を考えた上でのものだ。私は構わん。雑魚がいくら集まった所でなんの足しにもならないからな。
それに___私にはこいつがいる」
ラフェエルはそう言って隣に目を移す。隣には___全身黒の、鎧を纏った大きなアンデッド。
『呪術・私を守る騎士』
アルティアの作り出したアンデッドだ。アルティアが来れない代わりに、と貸してくれた。………あのアルティアの作り出したものが足でまといになることは無いだろう。
自分がここまで他人_ましてや龍神_を信頼できるなど、昔までの私には有り得なかったことだ。
そこまで考えて、ふ、と笑みを漏らす。
しかしすぐに真顔になって、全員に言った。
「_____この国を守るぞ。
全員、武運を祈る」
「はい!」
「ハッ!」
「お前もな!」
「が、頑張ります!」
「ガロ、いく」
全員はそう言って各方面に散った。
* * *
「よっ、と」
全員がそれぞれ動き始めた頃、アルティアは玉座の間に転移で戻ってきた。玉座の間には魔剣のダーインスレイヴ、聖女のフラン、氷の精霊・シヴァ・そして。
私の黒いベッドで眠る星の妖精神・ゼグスが居た。
アルティアはベッドで眠るゼグスを見ながら、シヴァに聞く。
「____で、私は何をすればいいの?」
『まず、俺とゼグスの魔力を編んで欲しい。ダーインスレイヴから聞いている。嬢ちゃんの特殊能力は"想像"というものなのだろう?』
「魔力を編む………………?」
勿論、そんなことしたことがない。大体、私の"想像"という力は私が"前世で漫画やアニメ、小説、ゲームで見たもの"を具現化するだけだ。魔力の編み方なんてこれっぽっちも知識がない。
首を傾げるアルティアに、ダーインスレイヴはいう。
「だめだなこりゃ。魔力の編み込みは高等技術だし、アルティアがこの顔をしてる時は大抵失敗する」
「んなっ、やってみなきゃわからないでしょ!?」
「そんな悠長にしてる暇もないんだ。それよりも、ゼグスに魔力を注ぎ、回復させた方が早いだろう」
私の言葉を無視して、ダーインスレイヴはそう言う。それはできる気がするけど…………でも。
「そうしたら、ゼグスは私の奴隷になってしまうわ。そんな酷いことできない」
「………………太陽神を奴隷にした癖に、どの口が言ってんだか。だからこそのフランだろう?」
「はい?」
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