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第8章 氷の精霊、星の妖精神と次期龍神
"アイスル"という事は
しおりを挟む『ガロ~、ほんと、ヤミルそっくりだなぁ』
「…………………………」
氷の精霊・シヴァは泣きながらガロを抱きしめた。
精霊、妖精神……………………ここに来る前に、勉強した。
様々な自然を司る神様と、ボクたちが唱える魔法を使えるようにする霊であると。
クリスさんとエリーさん、フランさんはその神々と契約をしているからその神の魔法が得意だったり、その神の宿る物に敏感だったりする。
アル様は契約をしてないらしいけれど、よく太陽神を呼んでいる。ラフェーさんが「契約と似たようなものだ」と言っていた。
神々と契約をしている人が周りには多いボクにはそこまで珍しいモノではないけれど、それはとっても凄いことだとリーブさんが言っていた。
そして
___ボクの"ゴセンゾサマ"はその"精霊"だったのだ。
すごく、驚いた。
そんなこと夢にも思ってなかったから………………奴隷だったボクに尊い血が流れてるなんて、ボク自身未だに信じられない。
『ぐずっ……………ガロ、お前、人間に沢山酷いこと、されたんだな…………可哀想な我が子よ………………』
「!こころ、よんだ、レイヴさんと、いっしょ?」
『レイヴ?………ああ、ダーインスレイヴか……………アイツも永く生きてるからな…………』
シヴァは1度離れて、テッシュを鼻に当て盛大に鼻水をかんだ。ゴシゴシと鼻を擦りながら続ける。
『俺は精霊だけど、星の妖精神・ゼグスとマブダチだからな、これくれぇ朝飯前だぜ。
そんなことより、100年前人間に連れ去られた人狼の産んだ子供がこのような仕打ちを受けてるなど思わなんだ。人間は怖くないか?なんだったら一生このアイスバーンにいればいい、無理に龍神と旅しなくていいんだ。
そうだ、俺の秘書にならねえか?』
「………………………」
ゴセンゾサマはとてもボクを気遣ってくれているのがわかる。今日初めて出会ったのに、ボクを見つめる瞳は優しくて、温かい。奴隷の時であればきっとその手を取っていただろう。
……………だけど。
ガロは、そんなシヴァに申し訳なさそうに言う。
「ガロ、人間、怖い。
けど、アル様、離れるの、もっと怖い。
_____ガロ、ずっと…………アル様、守りたい」
『そうか…………………そんなに、あの龍神に感謝しているのか。
その姿はまるで俺と生涯を共にするっていったヤミルと一緒………………ヤミル~!』
「…………………」
シヴァは再び号泣する。
ガロはオロオロしながら、シヴァの頭をぎこちない手つきで撫でた。
「だいじょぶ、だいじょぶ、痛いの、ないない。
………やみる、だれ?」
『ヤミルは、俺と同様お前のご先祖様だ。……………永い事生きた中で俺の唯一愛した、美しい毛並みの狼だった……………
自分の姿を鏡で見てみろ、そこに映っているのはヤミルの幼い時の顔だ…………グズッ、人狼は長寿だけど、いずれ死んでしまうんだ…………………………8万年というところで静かに息を引き取って………お前は色濃く俺の血を受継いでるからもっと長生きするだろうが……ヤミル~!』
顔面を濡らしながら、図太い男がわんわん泣いているのだから、普通はドン引きするような光景である。しかし、ガロはその"普通"を知らないのでただただ心配する。
アイスル、ってなんだろう。
こんなに泣いちゃうことなら、きっと悲しいことなんだろうな。
…………………なんて、ガロの中での"愛"が"とても悲しいもの"だと誤った解釈をしてしまったのは別の話。
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