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第7章 次期龍神、人狼少年を拾う
人狼少年のイメチェン
しおりを挟む「よし………………や、やるよ……………ガロ………………」
「………は……い………」
アルティアはプルプルと震えながら目の前に座る銀髪の男児___ガロに言う。
ガロも同じようにプルプルと震えながら、頷く。
その空気はとてつもなく重い。アルティアに至っては目が血走っている。
それを見ていたリーブがこそ、とフランに聞く。
「フラン様、アルティア様は何をなさろうとしているんですか?」
「ただ髪の毛を切ろうとしているだけよ。あの子_ガロといったっけ?_は、先輩がラフェエル様に直談判して同行を許された子でしょ?」
フランは未だに見窄らしい格好をした男児を汚物でも見るかのような目で見る。自分も平民上がりだけどあそこまで酷くなかった。流石奴隷売買国から連れてきた子供だな、なんて思う。
先輩は物好きすぎですよ。…………あんなに人間を憎む出来事があったのに、その人間を助けて、あろうことか自分の近くに置くなんて。まあ?人助けはヒロインっぽいけどさ………………………
そんなことを思っているフランの存在に気づけないアルティアはごくり、と唾を飲んで_____ガロの銀髪の髪に、ハサミを滑り込ませた。
「______!」
「………………………ぅ」
ジョキン、と音を立てて刃が重なった。ハラハラと長い前髪が落ちる。完璧に切りすぎた。眉上どころの騒ぎじゃない。…………というか。
「うぅ……………………」
「え」
長い前髪が無くなって顔が顕になる。その顔は____多少細かい傷はあるものの___滅茶苦茶可愛いもので。長い銀色のまつ毛と、眩しそうに細める目は右目が金色、左目が赤色というオッドアイ。これにはフランも前のめりになった。
「オッドアイ!?おまけに可愛い系ショタ属性!?ちょ、先輩!?これを見抜いて自分の側近にしたんですか!?ずるくないですか!?」
「わ、私だって知らなかったわよ!オッドアイなのは知ってたけどこれは知らない!は!?ええ!?」
「あ、の、………………?」
「天使だ……………天使が舞い降りた………………カーバンクルも勿論可愛いけど体はもう大人のソレだし、アクアくんはやんちゃ系だし、その上口数少な系のミステリアスショタまで出てきたら小説が混乱の渦になる………………………私ちょっと萌え死にしてきます……………………」
「わかる、わかるわフラン、けど気持ちを強く持って……………………
ごめんねガロ、私達ちょっと頭おかしいの、ちゃんと可愛く………じゃなくて、かっこよくしてあげるから大人しくしてね」
「………………」
ガロは戸惑いながらもコクン、と頷いた。フランとアルティアが萌え死んだのは言うまでもない。
* * *
数時間後。
「………………………………………」
ガロは、顔を赤らめモジモジしていた。
アルティアにかなり不器用な手つきで、何度も試行錯誤を重ねた結果これでもか!と言うほど短く切られた髪に、エリアスの治癒魔法で痣や傷を治されすっきり綺麗になった顔、クリスティドがわざわざシースクウェア大国に伝達魔法を送って取り寄せたお下がりだ。とはいえ綺麗な服を身に纏った自分の姿をフランの持ってきた姿鏡の前に立っている。
でも顔を赤らめている理由はそれではない。姿鏡の後ろに立つ次期龍神一行の反応のせいだ。
「ガロ!可愛い!」
「素敵………です…………」
「可愛いよ~~!」
「サイズがぴったりでよかった、きつくはない?」
…………………沢山の人間に見られ慣れているのに、なんでこんなに恥ずかしいのだろう。顔を隠す髪がないから?こんなに着心地のいい服を身にまとってるから?…………物珍しそうな視線じゃないから?
わからないけれど、とても恥ずかしい。
そんなガロを横目に、リーブはラフェエルに言う。
「教育は私が引き受けましょうか?」
「ああ。だが身の回りの世話はアルにさせる。
おい、小僧。自分のことは自分でやれ。わかったな?」
「は、い………………」
ラフェエルの言葉に、ガロはたどたどしく返事をした。
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