【完結】転生したらヒロインでも悪役令嬢でもなく世界征服してる龍神の後継者だったのでこの世界の常識をぶっ壊してみようと思います!

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第6章 変化と成長と新たな旅

次期龍神は考える

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 アルティアは黒馬に揺られながら、考える。

  
 逃げられないとなると、本格的に龍神になることを考えなければならない。いつまで駄々をこねても龍神ということには変わらないのだから。



 なら、こんなのはどうだろう。



 早く私がちゃんとした龍神になっちゃう!龍神の仕事を行いつつ、どこか小さな村で小さな家を作り、一人暮らしをして普通に生活する………………おや?意外といいんじゃないか?これ。



 龍神になんてなりたくない!と言い続けたけど明確になりたくない理由はないし、なったとしても私自身がなにか変わるという訳でもないだろう。ちゃんと受け入れて、役目を果たせばあとは私の自由じゃないか!




 単純な思考回路でそんな答えを導き出し、思わず笑みを零した。





 *  *  *






 「………………………んん?」





 私は目を覚ました。



 今日は野宿ではなく、街道にあった小さな宿屋に泊まることになった。いつものように宿に着くなり寝転んでいた。


 多分、その時に寝てしまった。


 ぽりぽりと頭をかきながら窓の外を見る。まだ薄暗い。夜?でも少し明るいし…………夜明け、ってところかな。じゃあ変な時間に起きたなぁ………なんて思いながら隣のベッドを見る。



 「…………………?」


 隣のベッドにラフェエルの姿はなかった。あれ?もう起きたの?というかどこいったのよ……………



 私は着替え魔法で黒の上着を纏い、部屋を出た。





 *  *  *






 「ほほぉ……………すっごい…………」




 思わず感嘆の声を漏らす。
 宿内にラフェエルが居なかったから外に出たのだ。そしたら、山の隙間から太陽が顔を出していた。静かで、優しい光が大地を照らし出す。まさに夜明けである。こんな時間に起きたことがなかったから、この光景を見るのは初めてで感動した。



 「よいしょーっ!」



 私は草むらに寝転がる。さわさわと揺れる草木はみずみずしくて、思わず笑みが零れる。こんな地面に長時間寝るのは嫌だけど、少しの時間ならただただ気持ちがいい。



 歌でも歌おうかな。





 「~♪」




 私は前世で聞いてた歌を口ずさむ。こんなにゆっくりできるなら、早起きもいいね。




 「………………随分ご機嫌なようだな」



 「うひゃあ! 」



 歌い終わり、目を開けたら頭上にラフェエルがいた。思わず飛び起きる。そうだった、そもそもこの男を探しに来てたんだ! 



 本来の目的をすっかり失念していた上に歌を聞かれて恥ずかしくなる。しかし、ラフェエルはそんなことどうでもいいらしく、呆れ気味に言う。


 「貴様はなんでそう淑女らしくできないんだ。こんなところ他の者に見られたら何を言われるかわからないぞ」



 「い、いいじゃん!こんな朝早くに起きてる人なんてそうそういないし!…………というか、ラフェーは早起きだね?いつも?」



 「…………………まあ、な」



 さぁ、と風が吹いた。心地いい風が私の髪を揺らす。その髪を手で抑えながら、太陽を見た。




 「まあ、この光景が見られるなら、誰だって早起きしたくなるか。

 なんていうか…………すごい、穏やかな世界って感じ。ラフェーと私、二人きりの世界だね!なんて………………」


 そこまで言って、ラフェエルを見た。ラフェエルは、顔を逸らしている。耳が赤い。…………また、この仕草。最近多いな。本当になんというか、こっちも気まずくなるからやめて欲しい。早めに話題変えよ。




 「ラフェエルはさ、この旅が終わったら、何がしたい?」













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