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第6章 変化と成長と新たな旅

※R18展開の描写はアウトです

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 「は、は、…………ラフェー、待って、…… 」




 アルティアは息を荒らげながら、涙目でラフェエルを見る。


 ラフェエルは冷たい目で、私を見つめる。  その瞳には、怒りの色が見え隠れしている。


 「……………待たない。


 もう、私は____いく」



 「あっ、ラフェー______」




 アルティアはそう言って、手を伸ばした______






 「ふべっ!」



 ドシャ、と私は顔面から地面に落ちた。


 え?文脈おかしいって?  やだぁなんだとおもったの?  私の物語はR18モノじゃありません。


 じゃあ何をやっているのかと言うと_____


 私はちらり、上を見た。

 そこには………………生意気な顔をした目つきの悪い黒馬。ブルル、と嘲笑うように鳴いた。  ムカツク。


 「はあ………………アル、お前はどれだけ落馬すれば気が済むんだ?」



 ラフェエルはそう言いながら、白馬に乗って私に近づいてきた。その顔には呆れた、って書かれてるように私には見えた。






 答え  :  乗馬です。


 ……………1から説明しましょう。

 セイレーン皇国を後にした私達は、セイレーン皇国皇国よりもっと北_最北端らしい_にある"アイスバーン"という国に向かうことになっている。


 でも、アイスバーンへの道程は治安が悪いらしい。今までのように馬車で移動していた恰好の的になる、というか目立つ。それでも私と共に旅をする人間達はエリアスを除いてみんな強いから問題はないのだが、距離を考えてここから先は馬での移動という流れになった。  




 でも私は乗馬の才能が無いらしい。
 ラフェエルが準備してくれた私の黒馬・ライディーン号は全く言うことを聞いてくれない上に何かとすぐ地面とキッスさせようとするのだ。


 「うぅ……………やっぱり私、自分で馬を作るよ………もっと言うことを聞く子を………」



 「ダメだ、なんでもすぐ魔法に頼るな。



 仮にも私の婚約者である以上普通の馬くらい乗れぬなど許さん」




 と、こう突っぱねるラフェエルさん。ライディーンに似た馬を作ってもすぐバレるからそれも不可能だし詰んでいるのだ。



 「アルティア様、お手を」



 「あ、うん、ありがとう」



 そんな私に手を差し伸べてくれたのはクリスティドだった。それはもう爽やかな笑顔で口を開いた。



 「乗馬は数をこなしていけば徐々に慣れますよ、なので焦らないでくださいね」



 「本当に慣れるのかな?少なくともこの生意気な顔の馬を好きになることは無いと思うんだけど」



 「その気持ちが馬に伝わってしまっているのかも知れません。まずは仲良くなってみては?」




 そういうものなのか。
 私はクリスティドから離れてライディーンに触れる。  …………が。




『ブルルン!』


 「きゃっ!」


 思いっきり首を逸らされた。は?喧嘩売ってんのこのクソ馬?



 「馬肉にするぞコラ!」



『ブルルン!』
  




 ライディーンと睨み合っていると、甲高い笑い声が聞こえた。見なくてもわかる、聖女・フランだ。



 「あはは~!!先輩馬に乗れないんです………ふぎゃっ!!」




 そう言い終わる前にフランも落ちる。それを空中から見ていたダーインスレイヴはけたけた笑う。



 「聖女はアルティアを笑えないからな~?同じくらい落ちてるぞ、似たもの同士は違うねえ」




 「一緒にしないでよ!フランと比べたら私の方が乗れてるわ!」


 「そんなことないですし!先輩が落ちてる回数の方が多いじゃないですか!」



 「はぁ~?」



 「私だってこればかりは譲りません!」



 「あ、あの、アルティア様、フラン様、どうか喧嘩はよしてくださいまし…………」






 言い争う聖女と龍神をおどおどしながら止めるエリアス。騒がしい女性陣を見ながらリーブは言った。




 「今日も皆様、元気ですね」


 「………………頭が痛いな」






 ラフェエルは頭を抱えた。







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