122 / 270
第5.5章 次期龍神と生贄皇子の再契約
結果、一段と賑やかになりました
しおりを挟む「んっ………………」
聖の精霊・カーバンクルが私の手の甲にキスをすると白い魔力が身体に染み込んできた。苦手な属性だからか、痛い。
腹の疼きも妙だった。チクチクと針を刺されたみたいな、地味に痛いもの。
つまり何が言いたいのかと言うと痛い、だ。お腹には白い縦線が加わっている。キラキラしてて綺麗。…………まあ、どの色も綺麗なんだけど。
「___私の名は、アルティア=ワールド=ドラゴン。聖の精霊・カーバンクル=ユートピア=セイントの屈服を認める。
神聖なユートピアの幸福をもたらそう」
私は口上を口にする。カーバンクルは怪訝そうな顔をしている。…………まあ、気持ちはわからないでもない。闇属性の龍神が神聖だの幸福だの、似合わないよなあ。
多分この場にラフェエルが居たら雷コースだ、いなくて良かったと心の底から思う。
「わ~、こうやって屈服印ってつくんですね~!すっごい綺麗!なんか、アレに似てますよね。
7つのボールを集めて願いを叶える漫画!同じ龍神だし!」
「私は神龍じゃなくて龍神だし、願いを聞く側じゃない。とりあえず世界の大人気作者に謝りなさい」
「やっぱり!あの漫画知ってるんですね!ぜひ語りましょう!今夜は寝かせません!!!」
そう言ってガッツポーズを作る聖女を見て、また大きな溜息をついた。
聖女 がパーティに加わった! ▽
次期龍神 は聖の精霊 から屈服印を貰った! ▽
* * *
「………………………………………で、フランまで連れて帰ってきた、というわけか」
「………………ぁぃ……………」
馬車の中、私はいつものように_こんな日常絶対おかしいけど_全身黒焦げになりながら、通路に正座させられていた。勿論目の前には絶賛不機嫌・ラフェエルさん。
私の予想通り、フランを仲間に入れると言ったらこの有様だ。 強いて予想外だったのは罰の数。 30回も落とされるとは流石に思わなかった。 実は龍神は私ではなくてこの男なのでは?なんて錯覚するほど鬼畜だった。
そんな鬼畜龍神・ラフェエルは足を組んで悠然と座りながら溜息をついた。
「…………………………まあ、聖の精霊の屈服印を手に入れた事に免じて許してやろう」
「許すなら最初から罰を与えないでください…………」
「なんかいったか?」
「いえ何も」
「きゃーーーー!」
そんなやり取りをしてたら、黄色い声が聞こえた。悲鳴のような声に急いで外を見ると___リーブにくっつきながら馬に乗って目を輝かせるフランの姿が。
「馬ってこんなに早いのね!すっごーーーい!」
「フラン様、暴れないでください」
「もっと!早くーーーー!」
キャーキャー言ってるフランの格好は白い巫女のような格好だ。顔も隠していない。だから、街ゆく人は全員座って手を合わせている。とっても目立っています。
フランはクリスティドやエリアスのわうにこっそり隠れて同行してるわけじゃない。話によると、父親である天皇に"行かせてくれないともう祈らない!"と盛大な駄々をこねたらしい。
で、折衷案として『3日に一回セイレーン皇国で祈りを捧げる』事を条件に旅の同行を許されたのだ。
……………無茶苦茶である。
聖女である前に16歳で駄々を捏ねるフランもフランだが、折れる天皇も天皇だ。
血が繋がってないとはいえ似たもの同士というわけか。
そんなことを思っていると、ラフェエルがぽつりと言葉を漏らした。
「ああいう所はアルにそっくりだな」
「はあ!?あんなのと一緒にしないでよ!」
「いや、そっくりだな、どうみても」
「レイヴまで!私はあんなにうるさくないし我儘じゃない!」
「ラフェエル、本人はこう言っているがどう思う?」
「自分の事を分析できない愚図だと思う」
「んだと~!……………っぎゃぁぁ!!」
掴みかかったら雷が落ちました。
0
お気に入りに追加
98
あなたにおすすめの小説
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

雪解けの白い結婚 〜触れることもないし触れないでほしい……からの純愛!?〜
川奈あさ
恋愛
セレンは前世で夫と友人から酷い裏切りを受けたレスられ・不倫サレ妻だった。
前世の深い傷は、転生先の心にも残ったまま。
恋人も友人も一人もいないけれど、大好きな魔法具の開発をしながらそれなりに楽しい仕事人生を送っていたセレンは、祖父のために結婚相手を探すことになる。
だけど凍り付いた表情は、舞踏会で恐れられるだけで……。
そんな時に出会った壁の花仲間かつ高嶺の花でもあるレインに契約結婚を持ちかけられる。
「私は貴女に触れることもないし、私にも触れないでほしい」
レインの条件はひとつ、触らないこと、触ることを求めないこと。
実はレインは女性に触れられると、身体にひどいアレルギー症状が出てしまうのだった。
女性アレルギーのスノープリンス侯爵 × 誰かを愛することが怖いブリザード令嬢。
過去に深い傷を抱えて、人を愛することが怖い。
二人がゆっくり夫婦になっていくお話です。
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。

婚約破棄されたショックですっ転び記憶喪失になったので、第二の人生を歩みたいと思います
ととせ
恋愛
「本日この時をもってアリシア・レンホルムとの婚約を解消する」
公爵令嬢アリシアは反論する気力もなくその場を立ち去ろうとするが…見事にすっ転び、記憶喪失になってしまう。
本当に思い出せないのよね。貴方たち、誰ですか? 元婚約者の王子? 私、婚約してたんですか?
義理の妹に取られた? 別にいいです。知ったこっちゃないので。
不遇な立場も過去も忘れてしまったので、心機一転新しい人生を歩みます!
この作品は小説家になろうでも掲載しています

【完結】番である私の旦那様
桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族!
黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。
バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。
オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。
気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。
でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!)
大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです!
神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。
前半は転移する前の私生活から始まります。

悪役令嬢?いま忙しいので後でやります
みおな
恋愛
転生したその世界は、かつて自分がゲームクリエーターとして作成した乙女ゲームの世界だった!
しかも、すべての愛を詰め込んだヒロインではなく、悪役令嬢?
私はヒロイン推しなんです。悪役令嬢?忙しいので、後にしてください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる