106 / 270
第5章 聖女、聖の精霊と次期龍神
聖女の挑発
しおりを挟む龍神の言葉に、私は怯む。
その言葉は完璧なヒロインである私が1番言われたくない事だった。
聖女で、養子だけど皇女で、顔面偏差値の高い男達に狙われるこの私が使役する聖の精霊・カーバンクルはとても強い聖の魔法を宿してるけど____見た目がとっても、格好悪い。
リスって…………リスってなに……………?
カーバンクルといえばさ、小さくて可愛くて………って言うのが相場なのに、もはや怪獣なのである。顔はなかなかに可愛いけれど、とてつもなく格好悪いのだ。
でも!
「見た目に惑わされるなんて愚かよ!カーバンクルはとっても強いんだからッ!」
「あー…………はいはい、わかりました。でも私はこんな弱そうな見た目の生き物と戦う気にはならないわ。
大人しく降参してくれない?することしてくれたらもう関わらないわ」
女はそう言って魔法を唱えすらしない。完全になめている。腹が立った。
「…………あらあらあらあら、ビビってるんですかぁ?実は龍神って言うのは嘘で、ラフェエル様を誑かしたのでは?ラフェエル様はとってもイケメンですし?その身体と顔で惑わすなんて下劣な女ですねえ?やはりあなたにラフェエル様は相応しくないのですよ。おわかりですか?」
『な、フラン様、おやめ下さい………!』
負け惜しみのような言葉を並べているとカーバンクルが私の言葉を遮って守るように大きな手で隠した。
『この御方は本当に、本当に龍神です、とっても恐ろしい力を持った……………!"隠された真実"に関わる御方で……………』
「そんなもの知らないわよ。だって私は見てないもの。そうやってラフェエル様を誑かす悪女から救う為に私は無理やり契約解除の儀を行ったんですわ!最高でした、あのクールなラフェエル様の驚く顔、怯えた顔、眠る時に見せた悔しそうな顔…………………今思い出してもうっとりしてしまうわ……………!
これから龍神とやらを始末して、ラフェエル様を起こして………………私色に染めて差し上げないと…………それこそ、私がいないと何も出来ないダメ男に…………………ここに監禁してもいいわ、媚薬やありとあらゆる道具を駆使して、私の虜にして差し上げるのです……………嗚呼、考えるだけでドキドキしてしまいますわ…………………
そうだ、ラフェエル様にも龍神が死ぬところを見せて差し上げなければ………………フライ」
私は浮遊魔法を唱えた。寝ているラフェエル様を無理やり浮かせてステンドグラスに貼り付けた。すやすやと寝ているお姿も美しいのですから、罪な御方_____「……………………るな」………………?
「…………………!」
ラフェエル様を眺めていると、小さな声が聞こえた。声のした方を見ると______龍神の黒髪が宙に浮いていた。黒い粒子を纏い、黒い光を発している。黄金色の瞳がこれでもかというぐらい見開かれてて……………………猫の瞳のように光っていた。
「ふざ……………けるなあ!!!」
「きゃあっ!!」
『フラン様!』
室内であるにも関わらずゴオッ、と強風が吹いた。立ち込める黒い光_いえ、魔力?_を纏って下を向いたまま、龍神は言った。
「私の居ない時にラフェエルを攫い、手を加え、あまつさえ私利私欲の為に苦しめるとこの私に向かっていう………………………?この私をここまで侮辱するなんて…………………………
________覚悟は、出来てるわよね?」
「_____!」
ゆらり、顔をあげた。
黄金色の瞳が____妖しく、美しく光っていた。
0
お気に入りに追加
98
あなたにおすすめの小説

雪解けの白い結婚 〜触れることもないし触れないでほしい……からの純愛!?〜
川奈あさ
恋愛
セレンは前世で夫と友人から酷い裏切りを受けたレスられ・不倫サレ妻だった。
前世の深い傷は、転生先の心にも残ったまま。
恋人も友人も一人もいないけれど、大好きな魔法具の開発をしながらそれなりに楽しい仕事人生を送っていたセレンは、祖父のために結婚相手を探すことになる。
だけど凍り付いた表情は、舞踏会で恐れられるだけで……。
そんな時に出会った壁の花仲間かつ高嶺の花でもあるレインに契約結婚を持ちかけられる。
「私は貴女に触れることもないし、私にも触れないでほしい」
レインの条件はひとつ、触らないこと、触ることを求めないこと。
実はレインは女性に触れられると、身体にひどいアレルギー症状が出てしまうのだった。
女性アレルギーのスノープリンス侯爵 × 誰かを愛することが怖いブリザード令嬢。
過去に深い傷を抱えて、人を愛することが怖い。
二人がゆっくり夫婦になっていくお話です。
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
転生モブは分岐点に立つ〜悪役令嬢かヒロインか、それが問題だ!〜
みおな
恋愛
転生したら、乙女ゲームのモブ令嬢でした。って、どれだけラノベの世界なの?
だけど、ありがたいことに悪役令嬢でもヒロインでもなく、完全なモブ!!
これは離れたところから、乙女ゲームの展開を楽しもうと思っていたのに、どうして私が巻き込まれるの?
私ってモブですよね?
さて、選択です。悪役令嬢ルート?ヒロインルート?

【完結】魔女令嬢はただ静かに生きていたいだけ
こな
恋愛
公爵家の令嬢として傲慢に育った十歳の少女、エマ・ルソーネは、ちょっとした事故により前世の記憶を思い出し、今世が乙女ゲームの世界であることに気付く。しかも自分は、魔女の血を引く最低最悪の悪役令嬢だった。
待っているのはオールデスエンド。回避すべく動くも、何故だが攻略対象たちとの接点は増えるばかりで、あれよあれよという間に物語の筋書き通り、魔法研究機関に入所することになってしまう。
ひたすら静かに過ごすことに努めるエマを、研究所に集った癖のある者たちの脅威が襲う。日々の苦悩に、エマの胃痛はとどまる所を知らない……

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。
新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、
捨てた騎士と拾った魔術師
吉野屋
恋愛
貴族の庶子であるミリアムは、前世持ちである。冷遇されていたが政略でおっさん貴族の後妻落ちになる事を懸念して逃げ出した。実家では隠していたが、魔力にギフトと生活能力はあるので、王都に行き暮らす。優しくて美しい夫も出来て幸せな生活をしていたが、夫の兄の死で伯爵家を継いだ夫に捨てられてしまう。その後、王都に来る前に出会った男(その時は鳥だった)に再会して国を左右する陰謀に巻き込まれていく。
タイムリープ〜悪女の烙印を押された私はもう二度と失敗しない
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
<もうあなた方の事は信じません>―私が二度目の人生を生きている事は誰にも内緒―
私の名前はアイリス・イリヤ。王太子の婚約者だった。2年越しにようやく迎えた婚約式の発表の日、何故か<私>は大観衆の中にいた。そして婚約者である王太子の側に立っていたのは彼に付きまとっていたクラスメイト。この国の国王陛下は告げた。
「アイリス・イリヤとの婚約を解消し、ここにいるタバサ・オルフェンを王太子の婚約者とする!」
その場で身に覚えの無い罪で悪女として捕らえられた私は島流しに遭い、寂しい晩年を迎えた・・・はずが、守護神の力で何故か婚約式発表の2年前に逆戻り。タイムリープの力ともう一つの力を手に入れた二度目の人生。目の前には私を騙した人達がいる。もう騙されない。同じ失敗は繰り返さないと私は心に誓った。
※カクヨム・小説家になろうにも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる