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第5章 聖女、聖の精霊と次期龍神
聖の精霊の聖域・"祈りの間"
しおりを挟む私は太陽神・ドゥルグレから聞いたことを元に、聖女の部屋に来た。暴れても良かったけど、暴れられない"理由"があり、最低限の人間_見回り兵と聖女の部屋を守る護衛_を"気絶"させて、だ。
その"暴れられない理由"というのが………………………
「……………………あのさ、いつまでついてくるの?」
私は後ろを振り返った。
後ろには____クリスティド、エリアス、リーブ、ダーインスレイヴ、ドゥルグレと小さな妖精神と精霊_マリン、アクア、リーファ_陣がRPGゲームよろしく列を作って後ろに控えていて。それぞれが順番に口を開く。
「もちろん、ラフェエルを救いに行くためです」
「わ、わたくしは、聖の精霊様と、アルティア様の戦いを…………」
「私はラフェエル様の側近、助けに行くのは至極当然です」
「俺は魔剣だからな、アルティアのいるところにはどこでもついていくさ」
『折角呼ばれたんだ、結末は見てえよなあ?』
『僕、久しぶりにカーバンクルに挨拶しにいくー!』
『契約者は屈服の儀の後見人でもあるの、けれどその契約者はおねんね………アタシが仕方なく見届けてあげるのだから感謝しなさい!』
『わたくしは…………グランドの言うアルティア様の"素晴らしいお力"を拝見したく存じます』
「………………………………」
これ、実は10回くらい聞いている。
いくら来るなと言っても勝手についてくるのだ。やりずらい、とてもやりずらい。
正直、今物凄く余裕が無いから暴れる気満々である。つまり……………………この人数を守りながら戦うというハンデを抱えて戦うのはちと骨が折れるな、なんて言えるわけもなく。
自殺志願者なのかな?というか神々は帰りなさいよ。ついでに国の重要人物も熨斗つけて返すわ。……………まあ、いいか。
反論するのも面倒になった私はある壁の前に来る。____壁も家具も全部真っ白な部屋に唯一色のある十字架の絵。ここだね。
「下がって、壊す」
『まあまてよ、クソ女』
前に出した手をいつの間にか隣に来ていたドゥルグレが制止する。邪魔するな。私は一刻も早くラフェエルを____
『開け』
私の言葉を遮るように、ドゥルグレは短く言葉を発した。それだけでぱあ、と壁が光った。
『…………………いくら精霊でも上位魔法の聖を使役する者の聖域だぞ?俺の時も思ったが不躾に壊すんじゃねえよ。
ほら、礼を言え』
そう言って胸を張って待つドゥルグレ。………なんかいつもと態度違わない?
まあ、いいか。
「はいはい、ありがとう」
『てめえもう少し心を込めやがれ!大体……………』
私は話を聞かずに光る壁に身を乗り出した。絵の中に入れるなんて、凄い感覚。そして。
「………………!ラフェエル!」
月明かりの入る色とりどりのステンドグラス、教会のような神聖さがある大きな広間の先_____________祭壇のようなベッドの上で、人間が横になっている。遠目からでもわかる、紅銀の髪。
ラフェエル。
ラフェエルだ。
近くで見てないのに確信する。
私は何も考えずに駆け寄ろうとした______が。
「…………………………!」
広間の中央辺りの地面を踏むと、白い大きな魔法陣が現れた。聖魔法の力を感じて後ろに飛んだ。すると、その直後にレーザーのような、雷のような光がズドドドドと落下した。
「_______これを躱すなんて、中々賢いじゃない」
広間に響く女の声。私はステンドグラスの天井を見た。そこには……………………ふわふわと浮いてる、白と黒のごまプリン頭のツインテール、黒瞳、ウェディングドレスのような白いドレスを着た女、"聖女"・フラン・ダリ・ジュエルズ・セイレーンの姿があった。
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