【完結】転生したらヒロインでも悪役令嬢でもなく世界征服してる龍神の後継者だったのでこの世界の常識をぶっ壊してみようと思います!

Ask

文字の大きさ
上 下
91 / 270
第5章 聖女、聖の精霊と次期龍神

契約に亀裂の入った音がした

しおりを挟む
 






 アルティアは外を見ながらぼんやり思いに耽る。



 聖なる力とか、聖女とか、平民が王族に養子にはいるとか………………転生小説ではあるあるだよね。乙女ゲームにもそんなのがあったなぁ。ヒロインは実は隠された力がある!男達はそのせいか一目惚れして奪い合う!………みたいな?超王道シンデレラストーリーのテンプレだよね。


 憧れがないとはいわない…………というか憧れしかないです、はい。めちゃくちゃ憧れてます。もう私からしたら"人間"ってだけで羨ましい。


 私の姿は人間だし、ご飯を初めとする全て人間だけど、これも大きな努力の賜物なのです。

 龍の姿は魔力が暴れて制御できないけどありのままでいられるというか。少なくとも人間の姿で寝る時に、寝ぼけて龍化しないように束縛魔法で全身ガチガチに固める必要がなくなる。正気を失ってもガーランドがいれば半殺ししてくれるし。


 こんなことならアトランティスにいる時意地を張らずにちゃんと龍の姿に慣れとけばよかった。だからといって旅の途中龍の姿を見せるわけにはいかないし…………


 やっぱり人間に産まれたかったなー。チート能力持ちと普通の平民どっちが欲しい?と言われたら迷わず平民を選ぶよ。


 もっと我儘を言うなら聖女がよかったよ。聖なる力で国を幸せに~!とか言って神に祈りながら聖なる力を行使したかったよ。イケメンに囲まれて!か弱い乙女に!なりたかった!


 でも現実の私は龍神という人ですらない存在で、聖なる力どころか魔王のようなチート能力で神を崇めず苦しめる存在なわけで。


 イケメンは周りに居るけど____




 横暴理不尽独裁自己中皇子ラフェエルと、

 爽やかだけどポンコツな王子クリスティドと、

 命令に忠実だけど自己主張がない側近リーブと、

 幽霊でプライバシーガン無視の魔剣ダーインスレイヴと、


 ワンワンワンダフル!な龍神大好き悪魔カイテルと、

 親バカ丸出し頭お祭り状態の父親ガーランドと、


 幼稚な太陽神ドゥルグレと……………



 顔を思い浮かべて、1人で吐きそうになる。馬車酔いなのか、頭のおかしいイケメンの顔を思い浮かべたからか…………



 まともなのは水の精霊・アクアと土の精霊・グランドくらい?でもアクアはショタだし、グランドは森の妖精神リーファとデキてるしな……………





 はぁー、ほんと、聖女になりたかった!




 「………………アルティア、君の思考はいつも賑やかだね」


 「ほらもうそういう所だよね、残メン感がもう凄い。顔はレベル高いのに全てをぶち壊すのギャップじゃないからね」



 「……………………んぬん」


 「え?なに、ラフェエル」



 「……………私も龍神がお前ではなく現"聖女"のフランだったらいいと言ったんだ」



 「はぁあ!?なにそれ!」



 思わず大きな声が出た。馬車内に響く。この失礼な言い方も鼻についたけどそれ以上に……………そういった時、ラフェエルの顔がほんのり顔が赤かったから。



 それを見た時、頭が真っ白になって…………気づいたら怒鳴ってて。


 わかんないけど、腹が立ったのだ。
 でも、すぐに目を見開いて私を見るラフェエルの顔が目に入って、我に返った。



 けれど、残念な事にこういう時何を言えばいいのかわからなくて、その勢いのまま言葉を続けた。



 「…………………私だって、聖女の方がよかったわよ。……アンタなんかとキスすることも契約もしなくてもよかったし旅をしなくてもよかったもの!


 ふん!」




 罰覚悟でそう言った。
 でも____罰は落ちなかった。


 代わりに、ラフェエルは一言だけ口にした。





 「_____そうだな」




 「…………………ッ!」




 そう言った時のラフェエルの顔を、私はきっと一生忘れられない。
 いつもの鉄仮面顔に……………初めて悲しい色を帯びていたから。




 私とラフェエルはこの後、一言も口を聞かなかった。




 ____この後、このやり取りを後悔するとも知らずに………………………私達は、セイレーン皇居の地面を踏んだのだった。











しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】 ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

三度目の嘘つき

豆狸
恋愛
「……本当に良かったのかい、エカテリナ。こんな嘘をついて……」 「……いいのよ。私に新しい相手が出来れば、周囲も殿下と男爵令嬢の仲を認めずにはいられなくなるわ」 なろう様でも公開中ですが、少し構成が違います。内容は同じです。

悪役令嬢?いま忙しいので後でやります

みおな
恋愛
転生したその世界は、かつて自分がゲームクリエーターとして作成した乙女ゲームの世界だった! しかも、すべての愛を詰め込んだヒロインではなく、悪役令嬢? 私はヒロイン推しなんです。悪役令嬢?忙しいので、後にしてください。

働かなくていいなんて最高!貴族夫人の自由気ままな生活

ゆる
恋愛
前世では、仕事に追われる日々を送り、恋愛とは無縁のまま亡くなった私。 「今度こそ、のんびり優雅に暮らしたい!」 そう願って転生した先は、なんと貴族令嬢! そして迎えた結婚式――そこで前世の記憶が蘇る。 「ちょっと待って、前世で恋人もできなかった私が結婚!?!??」 しかも相手は名門貴族の旦那様。 「君は何もしなくていい。すべて自由に過ごせばいい」と言われ、夢の“働かなくていい貴族夫人ライフ”を満喫するつもりだったのに――。 ◆メイドの待遇改善を提案したら、旦那様が即採用! ◆夫の仕事を手伝ったら、持ち前の簿記と珠算スキルで屋敷の経理が超効率化! ◆商人たちに簿記を教えていたら、商業界で話題になりギルドの顧問に!? 「あれ? なんで私、働いてるの!?!??」 そんな中、旦那様から突然の告白―― 「実は、君を妻にしたのは政略結婚のためではない。ずっと、君を想い続けていた」 えっ、旦那様、まさかの溺愛系でした!? 「自由を与えることでそばにいてもらう」つもりだった旦那様と、 「働かない貴族夫人」になりたかったはずの私。 お互いの本当の気持ちに気づいたとき、 気づけば 最強夫婦 になっていました――! のんびり暮らすつもりが、商業界のキーパーソンになってしまった貴族夫人の、成長と溺愛の物語!

選ばれたのは私ではなかった。ただそれだけ

暖夢 由
恋愛
【5月20日 90話完結】 5歳の時、母が亡くなった。 原因も治療法も不明の病と言われ、発症1年という早さで亡くなった。 そしてまだ5歳の私には母が必要ということで通例に習わず、1年の喪に服すことなく新しい母が連れて来られた。彼女の隣には不思議なことに父によく似た女の子が立っていた。私とあまり変わらないくらいの歳の彼女は私の2つ年上だという。 これからは姉と呼ぶようにと言われた。 そして、私が14歳の時、突然謎の病を発症した。 母と同じ原因も治療法も不明の病。母と同じ症状が出始めた時に、この病は遺伝だったのかもしれないと言われた。それは私が社交界デビューするはずの年だった。 私は社交界デビューすることは叶わず、そのまま治療することになった。 たまに調子がいい日もあるが、社交界に出席する予定の日には決まって体調を崩した。医者は緊張して体調を崩してしまうのだろうといった。 でも最近はグレン様が会いに来ると約束してくれた日にも必ず体調を崩すようになってしまった。それでも以前はグレン様が心配して、私の部屋で1時間ほど話をしてくれていたのに、最近はグレン様を姉が玄関で出迎え、2人で私の部屋に来て、挨拶だけして、2人でお茶をするからと消えていくようになった。 でもそれも私の体調のせい。私が体調さえ崩さなければ…… 今では月の半分はベットで過ごさなければいけないほどになってしまった。 でもある日婚約者の裏切りに気づいてしまう。 私は耐えられなかった。 もうすべてに……… 病が治る見込みだってないのに。 なんて滑稽なのだろう。 もういや…… 誰からも愛されないのも 誰からも必要とされないのも 治らない病の為にずっとベッドで寝ていなければいけないのも。 気付けば私は家の外に出ていた。 元々病で外に出る事がない私には専属侍女などついていない。 特に今日は症状が重たく、朝からずっと吐いていた為、父も義母も私が部屋を出るなど夢にも思っていないのだろう。 私は死ぬ場所を探していたのかもしれない。家よりも少しでも幸せを感じて死にたいと。 これから出会う人がこれまでの生活を変えてくれるとも知らずに。 --------------------------------------------- ※架空のお話です。 ※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。 ※現実世界とは異なりますのでご理解ください。

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ
恋愛
 政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。  喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。  そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。  その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。  閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。  でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。  家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。  その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。    まずは亡くなったはずの旦那様との話から。      ご都合主義です。  設定は緩いです。  誤字脱字申し訳ありません。  主人公の名前を途中から間違えていました。  アメリアです。すみません。    

記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした 

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。

処理中です...