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第4.5章 次期龍神は魔剣を手にする
生贄皇子VS次期龍神+魔剣
しおりを挟む『思いのほか痛いな、雷を受けるのは』
キャーキャー騒ぐエリアスをよそにダーインスレイヴがあっけらかんとそういった。声と言葉が合っていない。私も初めて使った。上から落とすより掌から発現させればよかったと思うくらいには痛い。雷はだめね。
『雷以外もやめてほしいんだがね。水に濡れるのも燃えるのもいやだなあ』
それは私も同じよ、小説や漫画でよく見るから試してみたかったけど、すごく痛いのね。これなら片手離して魔法もどきを唱えた方がいい気もするわ。
『でも魔法剣ってかっこいいからなあ』
「わかる!」
「?アルティア様、どうなさいました?」
「あ、な、なんでもない」
危ない危ない、つい声が出てしまった。ダーインスレイヴの声が聞こえてるわけじゃないから盛大な独り言になっちゃうのよね。気をつけなきゃ……………
『おい、アルティア。ちとやばい事になったぞ』
え?なにが………………って。
ダーインスレイヴの言葉に前を見ると、ラフェエルが剣を持って悠然と立っていた。これはもしかしなくても……………
「あの、ラフェエル殿下?」
「なんだ?」
「もしかしなくても……………お手合わせですか?」
「ああ。教育者として貴様の力を知っておく必要があるからな」
そう言って笑うラフェエルさん。ここ最近で1番の笑顔です。このイケメンさんちょっと変わってまして、戦うのが大好きなんですよ。この前も身体が鈍るとか言ってリーブとクリスティドを呼んで2対1をしてあろうことかニコニコしながらボコッた人です。
つまり何が言いたいのかと言うと………………この人強いんです。
『だよね。全く隙がないよ。俺もどうすればいいかわからない』
そんなぁ!頑張ってよ!私の剣なんでしょ!?
「行くぞ」
「ひぇえ!」
勝手に始まってしまった。
リーブとクリスティドとは別格だとすぐにわかった。剣を受けるので精一杯。それだってたどたどしいのに蹴りまで来る。極めつけには、魔法だ。
「火魔法」
ボォオッ、と火の玉が私に向かってくる。私は急いで水魔法をぶつけた。水蒸気に紛れてラフェエルが突っ込んでくる。
「っく!」
キィン、キィン、と剣を受ける。ジリ貧だ。魔法使う?
『アルティア、ダメだ。魔法を使ったら詠唱中に突っ込んでくるぞ。距離を詰めろ、接近戦だ』
私は言われるがまま接近戦で勝負を掛ける。もう稽古というより殺し合いだ。
私はダーインスレイヴを強く握った。
* * *
「うぅ…………………………参りました」
「ああ」
数十分に渡る攻防の末、軍杯はラフェエルに上がった。ラフェエルが私の腹を蹴り飛ばし、岩場まで吹き飛ばして顔面スレスレに剣を向けたのだ。ここまでしますかね普通?
「いや~強かったねえ」
そんな私の横で、人型に戻ったダーインスレイヴがけらけらと笑っている。何が楽しいんだか全くわからない。
「貴様_ダーインスレイヴといったか_が剣なのはわかった。アルティアに何をした?」
「剣の使い方を教えた。ポテンシャルはまあ高いね。流石ガーランドの娘だ。あいつも剣の扱いが上手かった。俺と互角に渡り合うんだからな。
だけど実践が少なすぎるな。あと筋力と応用と…………課題は多いけど、ある程度は扱えるよ」
「そうか。………ならば、剣の稽古を増やし、私と鍛錬を重ねさせるとしよう。
ダーインスレイヴ、貴様も手伝え」
「勿論、喜んで」
「………………………」
そう言って笑い合う2人は悪魔のようでした。
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