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第4章 太陽の神と土の精霊と次期龍神
土の精霊と初対面
しおりを挟む______神様というのは、思っていたよりもずっと強欲な生き物のようだ。
鬼のような形相で襲いかかってきている。
難しい話は、やっぱりわからない。
けど、火の精霊を自分の私欲の為に喰らったということだけはわかった。
別にそれを責める気は無い。
私だって人間を殺した事があるし、ラフェエルが人を殺してるのを止めすらしなかった。
だけど_______すっごく、不愉快。
私は静かに__誰にも聞こえない小さな声で、私が前世の漫画やアニメを思い出してわざわざ創ったのにも関わらず、1度使って封印していた魔法の名前を呟いた。
「禁魔法・世界沈黙」
その瞬間世界が灰色になった。空中で固まる太陽神、結界の中で目を見開いているラフェエル。
____この魔法は、一定の空間内の全ての"時間"を止める。
動けるのは、私だけ。
こんな色気のない世界、楽しくないでしょう?
だから、早く終わらせよう。
私は掌を太陽神の前に出した。
そして、もう1つの嫌いな魔法を口にした。
「______禁魔法・黒穴」
そう呟いたアルティアの掌に黒い穴が出現する。太陽神の額から赤とオレンジの光が吸い込まれていく。この魔法は他人の魔力を吸う魔法。全ての魔力を吸うから、身体に大きな負担がかかる。ガーランドに試した時は失神した。
けど_____この神の魔力は私の身体に収まる程度みたいね。ものの3分で全ての魔力を吸い取った。
私は太陽神から離れて、パチン、と指を鳴らした。
世界に色が戻っていく。止まっていた物が動き出す。
『なっ……………………!?』
太陽神は先程私が立っていた所に瞬時に着地した。そして4つの掌を見ている。
『魔力が………………ない、だと!?おい!!この俺に何をした!?!?何が起きたんだ!?身体が固まって動けなくなって………掌から穴が……!』
流石神、視界までは止められなかったみたい。まあ成功したからいいけど。
「アンタの魔力を全部吸ったのよ。こんなに上手くいくのなら最初からやれよ!って思うかもしれないけど………………ただの"亜人"になった気分は、どうかしら?」
『きっさま………………!とことん舐めやがって……………!
だが、これで終わらせねえぞ!』
太陽神はこの劣勢状態で、笑った。そして、地面を2回叩いた。
「……………!」
ゴゴゴ、と揺れる建物。丁度私の後ろから聞こえてきて、私は振り返った。地面が動いて_____先程の太陽神と同じように壁に磔にされた、焦げ茶の髪を1つに纏め、髭を生やし、村人のような服にマントを羽織ったボロボロの見窄らしい男が現れた。
誰……………………………………?
呆然とする私を他所に、太陽神は怒鳴り声を上げた。
『土の精霊・グランド!!この太陽神に魔力を寄越せ!!』
「グランド!?」
『ぐぁあっ……………!』
私が駆け寄るより先に、男の体から太陽神に向かって薄い茶色___カーキー色の光が流れ込む。
それと同時に太陽神は笑う。
『ハハッ、やはり精霊の魔力は身によく馴染む!さあ!第2ラウンドだッ!』
再び炎を纏う太陽神。…………いや、今はそんなのどうでもいい。目的土の精霊の確保が最優先だ。
そう判断したアルティアは向かってくる太陽神に再び片手を向けて叫んだ。
「結界魔法・全遮断!」
私はグランドと思しき人物からラフェエルまでの大きさ_ギリギリ太陽神が入れない範囲_の結界を張った。
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