【完結】転生したらヒロインでも悪役令嬢でもなく世界征服してる龍神の後継者だったのでこの世界の常識をぶっ壊してみようと思います!

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第3章 森の妖精神と次期龍神

次期龍神の甘い一言

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 緑を基調とした素朴な部屋の窓が静かに開く。すると、サァ、と風が部屋にはいる。揺れるカーテンの隙間から漏れ出していた月光を黒い影が遮った。



 黒い影の正体は_____紅銀の髪を揺らし、暗闇の中でも怪しく光る紅い瞳を持つ美しい顔、スラリとした体躯のラフェエル・リヴ・レドルド・サクリファイスだった。





 「………………………………」





 ラフェエルは過去最大に不機嫌だった。
 理由は腕の中。鋭い眼光で腕に抱える乱れた黒髪、美しい女を睨みつける。


 この女は____アルティア=ワールド=ドラゴンだ。私の契約相手であり、次期龍神として教育している。表向きには婚約者である。



 ヴァリアース王国の用意した歓迎パーティに参加した。王族が他国の王族を招き入れる時必ず行われる行事で、あろう事かこの馬鹿龍は目を離した隙に酔い潰れたのだ。貴族と話をしている時にアルティア様が突然消えた!と騒がしくなった。また何かをやらかしたか?と会場内を探していたらエリアスに呼ばれた。



 話を聞けば会場にいたアルティアは影武者で、本物のアルティアはテラスで酒を飲んでいたら倒れたと言う。巫山戯ている。しかし放置しておくこともできず_数分放置しておこうか悩んだが_歓迎パーティを抜け出して、空を飛び、部屋までもどってきたのだ。



 何故この私がそんな下賎な真似をせねばならないのか。未だに納得できていない。


 だが、会場でくだらない貴族どもの戯言を聞いているのも面倒くさくなっていたのも事実。この馬鹿をさっさとベッドに放って、先程エリアスから借りた森の妖精神についての本を読も____



 「んぅ……………?」


 そこまで考えたところで、アルティアが目を開けた。黄金色の瞳が覗いている。


 「貴様、自分が何をしたか「ラフェエル………」___ッ!」


 突然身体が浮いたと思ったら、ベッドに押し付けられた。同じく浮いていたアルティアは私に覆い被さった。




 「ラフェエル」



 「____起きていたのか、貴様は」


 「……………………」



 「…………………?」




 アルティアは無言で顔を近づけてくる。

 小さな細い指が私の頬を撫でている。


 目の焦点があっていない。頬がほんのり赤みがかっているのがわかるのは、肌がそれだけ白いからだ。………酔っているのか?



 いつもの五月蝿さがないアルティアは、月光に照らされ美しかった。今まで抱いてきたどの女よりも美しい。


 だが、私はこいつを女として見ていない。



 「___離れろ」



 「……………嫌」



 「罰を落とすぞ」



 「落とせばいい。…………そんなことよりラフェエル。ラフェエルは……………私の事、好き?」



 「___好きでは、ない」



 「そっかぁ……………………でも、私は___好き、だよ」



 アルティアは鼻先が触れ合うほど近くまで来て言った。


 ____コイツは、龍神だ。


 _____今まで自分の人生を縛り付けてきた龍神の娘だ。


 _____ただ契約しただけの関係だ。




 頭ではわかっているのに、それでも…………………突き放せない。まるで自分の身体じゃないようにぎこちなく、龍神を抱きしめようと___



 そこで、アルティアの顔が目の前から消えた。代わりにぼふ、と顔の横から聞こえた。 




 「…………………………ぐぅ」




 「……………………………」




 アルティアは、寝ていた。あろうことか私に覆い被さったまま寝息を立てている。


 私は無言でそれを引っペ返し、部屋に備え付けられたバスルームに来た。さっさと服を脱いでシャワーを浴びる。




 「………………ッ、クソ」


 そう毒づいたラフェエルの顔は耳まで赤かった。























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