【完結】転生したらヒロインでも悪役令嬢でもなく世界征服してる龍神の後継者だったのでこの世界の常識をぶっ壊してみようと思います!

Ask

文字の大きさ
上 下
49 / 270
第2章 水の精霊、海の妖精神と次期龍神

生贄皇子の側近は観察する

しおりを挟む
 





 私の名前はリーブ。

 サクリファイス大帝国第1皇太子であらせられるラフェエル・リヴ・レドルド・サクリファイス様に幼少期からお仕えさせて頂いている側近です。





 ラフェエル様は幼き頃から優秀でした。頭脳明晰でサクリファイス大帝国一の知識を持ち、それは執務に置いても発揮され、サクリファイス大帝国の繁栄を更に彩られました。また、剣を握ればサクリファイス大帝国随一の兵士長でさえ跪き、魔法を使えば魔導師達を感銘させ、皇族の中でも色濃く美しい紅銀の御髪、紅い瞳が映える御顔………………容姿端麗であらせられます。地位も申し分ない。夜会に出れば間違いなく女共が言い寄るような御方です。




 ですがサクリファイス大帝国第1皇子は20歳を迎えると同時にお隠れになる存在。生贄と言われておりました。誰もがそれを惜しみました。それでも気高く使命を全うしようとしておられた姿に何度私は涙を流したでしょう。



 しかし、それは杞憂に終わりました。
 何故なら龍神様はラフェエル様を生かしたのです。龍神様でさえラフェエル様は魅了した。………詳しい話は存じ上げませんが、生きていらっしゃるだけで嬉しいです。



 そして。



 その隣には______





 「っぷはーーーーー!」




 「…………!」




 私の思考を止めたのは、大きな声だった。声のした方を見ると__川の水を飲んで満面の笑みを浮かべる少女。見たことも無いくらい混ざり毛のない黒色の長髪、金よりも美しい光を放つ黄金色の瞳、___美しい、龍神・アルティア様。




 サクリファイス大帝国に降り立った時の事をよく覚えている。こんなに大きな生き物がいるのかと驚愕した。その大きな生き物がこのような美女になった時は失神した。ラフェエル様は何かをお隠しになっているから深くは聞いておりません。ですが、彼女絡みでしょう。





 「ん?おお!リーブ、ちょっとこっちにきて」


 「?はい」


 アルティア様に呼ばれて歩み寄ると、しーと指先を自分の唇に押し立て川を指さす。


 そこには魚が泳いでいた。ただそれだけだ。なのにアルティア様は目をキラキラさせながら小声で言う。



 「魚、凄く可愛い!気持ちよさそうじゃない?」



 「……………」




 …………………とても、不思議な方です。
 このような些事に笑みを零されるアルティア様。無邪気というか、天真爛漫というか。とても明るくフレンドリーで使用人に優しい方です。




 「………綺麗ですね」


 「でしょ?ラフェエルの所に連れていこうかしら」



 「いえ、ラフェエル様はきっと殺しますので」




 「……………でしょうね。想像に固くないわ」





 アルティア様は呆れたように言う。一応婚約者という肩書きをお持ちになられる彼女には、ラフェエル様の事など手に取るようにわかるのでしょうね。




 「アルティア様」



 「ん?ああ、クリスティド………いいえ、クリスですか」



 クリス___クリスティド・スフレ・アド・シースクウェア様の事です。先日滞在していたシースクウェア大国_此処もシースクウェア大国の領土ですが_の第3王太子であられる御方です。シースクウェア大国王族特有の金髪青瞳を持ち、噂では海の妖精神と水の妖精神に愛されている、国の重要人物です。ですが、今はサクリファイス大帝国の兵士に扮して兵士の振る舞いをしている奇特な方でもあります。


 ラフェエル様の幼少期からの親友でもある彼の扱いを未だに掴めずにいます。誰にでも優しい模範的な王子であらせられるため苦痛では御座いませんが……………



 「ラフェエル……殿下がもう出立したいと言っております。馬車に戻りましょう」



 「ふふ、私とリーブだけの時は無理して畏まらなくてもいいのに」


 「日頃から身につけていないとならないのです」


 「まあ、いいわ。行きましょう、リーブ」



 「は」



 私は返事をして、アルティア様に続く。
 ……………………果たしてこの旅はどうなるのだろうか。



 そんなことを思いながら、空を見上げた。













しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました

さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。 王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ 頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。 ゆるい設定です

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ
恋愛
 政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。  喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。  そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。  その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。  閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。  でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。  家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。  その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。    まずは亡くなったはずの旦那様との話から。      ご都合主義です。  設定は緩いです。  誤字脱字申し訳ありません。  主人公の名前を途中から間違えていました。  アメリアです。すみません。    

旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】 ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

初耳なのですが…、本当ですか?

あおくん
恋愛
侯爵令嬢の次女として、父親の仕事を手伝ったり、邸の管理をしたりと忙しくしているアニーに公爵家から婚約の申し込みが来た! でも実際に公爵家に訪れると、異世界から来たという少女が婚約者の隣に立っていて…。

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

悪役令嬢?いま忙しいので後でやります

みおな
恋愛
転生したその世界は、かつて自分がゲームクリエーターとして作成した乙女ゲームの世界だった! しかも、すべての愛を詰め込んだヒロインではなく、悪役令嬢? 私はヒロイン推しなんです。悪役令嬢?忙しいので、後にしてください。

誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。

木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。 彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。 こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。 だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。 そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。 そんな私に、解放される日がやって来た。 それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。 全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。 私は、自由を得たのである。 その自由を謳歌しながら、私は思っていた。 悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

処理中です...