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第2章 水の精霊、海の妖精神と次期龍神
次期龍神VS海の妖精神 #1
しおりを挟む「アルティア!」
そう呼んだのは、眼下に居るラフェエルだ。
どうやら何もされていないらしい。びちゃびちゃだけど、生きている。
あの後すぐさま海の妖精神の部屋に行ったとき居なかったから焦ったけど、クリスティドが水の妖精神の方かもしれない、と言われ忍び込んだらビンゴだった。………とはいえ、クリスティドの記憶はうろ覚えであやふやだったから辿り着くまでに時間が結構かかってしまったんだけど。生きてるならなんでもよかった。
火の玉は挨拶代わり。これでやられるならラッキーぐらいに思ってたんだけど、そこはやっぱり神だ。RPGのように相性の善し悪しはあるらしい。
そんなことを思いながら、地面に降り立つ。クリスティドを下ろしてラフェエルに駆け寄った。
「ラフェエル!大丈夫!?」
「………見ればわかるだろう。タイミングの悪いヤツだ」
ムッカチーン。こんな状況でもこんなこと言えるんだから大したもんだ。怒ってないよ。怒らない。怒らない。ひっひっふー。何事もなくてよかったおーけー。
そんな感じで自己完結をして、改めて敵らしき相手を見る。
藍色の髪、黄金色の瞳、セーラー服…………性別と髪型が違うぐらいでどっからどうみても双子の子供だ。道中クリスティドからどんな奴なのか聞いてたけど中々ファンシーな見た目してるじゃないの。神のくせに。
「…………アンタ達、自分達が何をしたかわかってるわよね?」
『あら、一丁前に怒ってるの?出来損ないの龍神めが。図が高くなくて?』
「………………"ひれ伏せ"」
『きゃっ!』
『マリン!?』
アルティアの言葉に、海の妖精神マリンは地面に叩き付けられた。
これは____言霊呪文!?悪魔が得意とする呪文を何故………………………!?
『っぐぅ……………!!』
『マリンッ……………貴様ァ…………ッぐあ!!』
『アクア……………!』
アクアの苦しげな声が聞こえるが、顔を上げることすら出来ない。
アクアは空中で金縛りにあっていた。何が起きているのかわからない。ただ目を合わせただけなのに。
動けない2人を他所に、アルティアは腕を組みながら静かに言う。
「___私はね、子供を痛めつけるのは大嫌いなの。それがたとえ"神"でもね。
悪い事は言わないわ。もう屈服してくれない?屈服のさせ方、わからないんだけど、神様なら知ってるでしょ。
ね、お願い聞いてくれない?」
『ッ、な、め、る、なぁ!』
『ま、……リン………!』
「…………!」
マリンはその言葉に怒り狂った。
言霊呪文に抗い、立ち上がる。心配するアクアを無視して子どもの姿から立派な鮫になった。
『殺してやる………絶対殺してやる…………ッ!!アクア!!』
『ッ、もう!どうなっても知らないからね!』
鮫となったマリンはアクアを呼ぶ。アクアは水色の光を灯した。部屋に水が入り込んで足元を濡らす。それを見やりながらアルティアは言う。
「……………ラフェエル、クリスティド、一旦空飛んでてくれる?」
「危険だ、アルティア嬢!君も逃げるんだ!」
クリスティドの言葉を横目にラフェエルは静かに聞く。
「…………何をするつもりだ?」
「………………屈服、させないと行けないんでしょう?とりあえず黙らせるわ。
私、物凄くムカついてるからさ」
アルティアはいつになく真剣な顔でそう言った。………まだ海の妖精神との会話が途中だが仕方がない。
死なないことを祈ろう。
そう思いながら、騒ぐクリスティドを連れてフライと唱えた。
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