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第1.5章 次期龍神と生贄皇子の契約
一方的に契約されちゃいました
しおりを挟む堅物王子の言っていた、"神"との契約の仕方。
それは_____唇を重ねること。
神の唇を通して自分の魔力を送り込む。
馬鹿げたやり方ではあるが____嘘では無いらしい。
キスをした瞬間、手枷はボロボロに崩れ空中に消える。それだけじゃない。
「___ッ!」
魔法陣が現れた。黒と金の魔法陣。見たことの無い、色。
____通常、魔法陣の色は分けられている。水なら水色、森なら緑、……上位魔法には必ず魔法陣が出るからそう珍しいことではない。だが、この色は___初めて見た。
自分たちを囲むように次々と展開される魔法陣。描かれている文字も見たことがないもの。黒色の文字は自分の右目に滑り込む。熱く痛いが、騒ぐほどではない。金色の文字はアルティアの首筋に張り付いた。小さな魔法陣が咲いた。
そこで、唇を離す。アルティアはそれと同時に大きく息を吐いた。
「ぷはぁ、って、は!?アンタなにやっちゃってんの!?私のファーストキスに!というかさっきのなに!?説明しなさいよ!」
騒ぎ出すアルティアを他所に堅物王子の手紙を思い返す。
____
契約印の現れた所に力を込めるんだ。それでなにをして欲しいかを名前を呼んで、叫ぶんだ。
力を込めた分だけ強制力があがる。
_____
もう地面も見えてきた。落ちる前に右目に魔力を込め_____叫んだ。
「龍神・アルティア!私を抱えて飛べ!」
「え?____っわ!!!!」
アルティアがポカンとするのも束の間、戸惑いながらも私を抱えてフライのような魔法で浮いた。
_____契約は、上手くいったようだ。
そこまで考えて……………意識を手放した。
* * *
何が何だかわからない。
私の頭は混乱の最頂点に達していた。
突然キスをされた。その時点で思考回路が仕事を放棄した。そしたら、魔法陣が沢山現れた。
黒い文字がラフェエルの瞳に吸い込まれたと思ったら金色の文字が胸元に張り付いた。で、ラフェエルがまたもや突然叫んだと思ったら身体が勝手に動いた。
地面スレスレでキャッチし、乱れていた魔力が一気に落ち着いて____気づいたらラフェエルをお姫様抱っこして抱えてるんだもん。
全く持って意味のわからないまま、ラフェエルは目を閉じた。死んだ?と思ったけど寝息が聞こえる。とりあえず生きてる……………………
「ってなんじゃそりゃぁぁぁぁあ!?ちょっと!起きてよ!意味わかんない!なにそれ!?説明してよ!せめて説明してから寝て!?ちょっ___「アルティア!」……!」
名前を呼ばれた。この声は生まれた時からずっと聞いている、もう聞き飽きた位…………大好きな声。
見ると____人間の姿をしたガーランドが、慌てた顔で浮遊してた。
「アルティア!大丈夫か!痛い所はないか!?何があったんだ!?なんで裸なんだ!?」
「………ッ」
……………泣きそうになった。
私の知ってる、私の親___ガーランドだ。
でも、言うのは恥ずかしい。私は顔を逸らしながら言う。
「来んな変態!クソガーランド!」
「なんで切れるんだよ!昔は一緒に風呂に入ってただろ!?」
「そういうことじゃない!!!
こんのくそガーランドおおおお!!」
涙が零れないように、私は大声で大好きな父親の名前を叫んだのだった。
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