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第28章 不安要素と新たなる決意
褐色肌は夏の醍醐味
しおりを挟むそして、この御三方も一緒である。
「はっ、はっ、ラフェエル……そろそろ降参だろう?」
「巫山戯るな、私はまだいける」
「うきゃ~!」
「あっ、アドラオテル殿!浮遊魔法はずるいぞ!」
「赤ん坊に負けるなど、赤ん坊以下だなお前は」
「~ッ!今すぐ抜いてやるからなっ!」
「…………………」
夕方は、ラフェエル皇帝と金髪青瞳のシースクウェア大国国王陛下、クリスティド・スフレ・アド・シースクウェア様とダーインスレイヴ様が泳ぎ競争をしている。子供たちと一緒に、だ。
最近ずっと夕方に来るというルールが出来ている。で、俺も呼ばれるというスパイラル。子供達ははしゃぎ回り、大人達は暴走しているのだ。
確かに大人でもプールには浮かれるだろう、それを悪いとは言わない、言わないけれど、………複雑過ぎる。国王達のどちらを応援しても角がたつ。見ていることしか出来な__「セオ、貴様もこい」…………
……………こういう飛び火も毎日で俺は筋肉痛です。勿論、順位はいつもビリだ。心身ともに疲れる。
セオドアは重い体を使って泳いだのだった。
* * *
「アミィ、焼けたね」
「え?」
夜、甘いひとときを過ごした後、セオドアはアミィールの体を見ながら言う。
プール、プールの毎日だったから、焼けるのは当然である。
褐色のアミィール様も美しいし、なにより…………水着の跡がエロい…………
「セオ様?………やはり、醜いでしょうか?」
「そ、そんなことないよ!私は肌が黒いアミィも新鮮で好きだ」
「!………ふふ、セオ様は相変わらずわたくしに甘いですね」
アミィールはちゅ、と頬に唇を落とす。セオドアは『いっ』と声を漏らし顔をゆがめた。
「?痛かったですか?」
「ううん、その、………私は肌が黒くならない代わりに、ヒリヒリと痛むんだ」
「まあ!だ、大丈夫ですか………」
「___ッ 」
月明かりに照らされた褐色の肌、紅銀の乱れた髪に煌めく黄金の瞳………スチルを解放した気分である。尊い……尊すぎる……ッ!
「…………セオ様?」
「あ、いや、な、なんでも…………」
「セオ様____いいえ、セオ、いやらしい目で見てましたね」
「ッ、それは___」
ちゅ、ちゅ、と首筋にキスを落とされる。アミィール様の男前モードだ……!
顔をイチゴのように染め上げ、緑色の瞳に僅かに涙を称える愛おしい男に、女は目を細めて言う。
「____セオ、貴方の痛い肌をわたくしの身体で癒して差し上げます」
「うっ……………!」
____この後、セオドアは肌の痛みよりも汗を気にするくらい動いて、軽く熱中症を起こしたのだった。
* * *
「~♪」
「…………次は何をやっているんだ?セオドア」
「決まっているだろう?アルティア皇妃様がくれた水着にアレンジを加えているんだ。今はアドのトランクスに狼の刺繍をしている」
「………………」
執事・レイはそれを聞きながら部屋を見た。部屋にはたくさんの水着、と呼ばれる露出の高い、撥水性のある着物。
プールが出来て、使用人たちも非番の日は入るようになった。国民達も来るし、先日は孤児院の子供達が遊びに来た。みんな楽しんでいるが____1番楽しんでいるのは、セオドアだろうな。
レイはこの水着を自分が片付けるのを考えて溜め息が出た。
「ぱぱ、俺、りゅーがいい」
「わたくし、うさぎさん!」
「ふふ、わかったよ。少し待っててね」
「わーい!」
「わーい!」
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