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第28章 不安要素と新たなる決意
龍神と元龍神と魔剣と
しおりを挟む「ダーインスレイヴ様!何故ここに……!」
「ん、ああ………ここは俺のお気に入りの場所だからな」
ダーインスレイヴはそう言って空を見上げた。もう夕方である。オレンジ色の空が広がっていて、綺麗だった。
「それより、ガーランドはいないのか?」
「いませ___『や、少年』うわあっ!?」
またまた驚いた。上を見上げると、黒髪、黄金の瞳のアルティア皇妃様によく似たガーランドが浮いていた。
『おお~子供がいる!曾孫か!おい青年~!』
「が、ガーランド様!」
「!」
「!」
「あっ」
思わず名前を読んでしまった。
アルティア皇妃様とダーインスレイヴ様が目を見開いている。まずい、言ってしまった。
セオドアが口を塞ぐが、アドラオテルが首を傾げてガーランドを指さした。
「だーれ?」
「えっ、アド、お前も見えるのか……?」
「うん、だって、居るじゃん」
『ほほお、我を見れるか~。中々に優秀、流石青年の息子だなあ』
そんなことを言っているガーランドを他所に、アルティア皇妃様とダーインスレイヴ様がアドラオテルが指さした方を見る。
「ガーランド………いえ、お父さん。居るんでしょう?姿を現しなさいよ」
『やなこった』
「ガーランド、何故ここに居る?」
『我がどこにいようが勝手だろ』
「………………」
なんというか、………シュールである。
2人は見えてないし、ガーランドは空中でゴロゴロして口を返しているし。アルティア皇妃様とダーインスレイヴ様はちらちらとこっちを見てるし。通訳しろって?これを?俺はまだ死にたくない。
しかし、恐れ知らずのアドラオテルは止まらない。
「やなこったー!どこにいようがかってだろー!」
「「……………」」
「あ、アド!」
「もがっ」
俺は慌ててアドラオテルの口を塞ぐ。
うわー!余計なこと言い過ぎだろ!いや2歳だもんね!?考えられないよな!?けれどだめだ、この人達を怒らせたら塵も残らな___「………ふふっ」
「ははは!」
「…………?」
ビクビクと震えているセオドアを他所に、アルティアとダーインスレイヴは笑った。その顔は怒りとは程遠く………優しく、明るい顔だった。
「いやあ、お父さんは変わらないねえ。腹が立つくらいよ。
____アンタは昔から、私の話なんて聞いてくれなかったもんね」
『___そうだな。我はお前の話を聞かなかったな』
「なにかに縛られて、というわけでもなさそうだしな」
『我はここにいたくて居るだけだよ。心配症だなあダーインは』
「いい加減成仏しなさいよ」
『今日は気分じゃない』
「____偶に、ここにきてもいいか?」
『来るなっつっても来るんだろ。なら酒を持ってこいよな。手ぶらでくるな』
………会話は出来ていないと思う。
けれども、2人の話し方は___まるで、懐かしむような、それでいて語り合っているような……そんな雰囲気だった。
その場で俺だけ喋らないのは嫌で。
「…………あの、ガーランド様、アルティア皇妃様、ダーインスレイヴ様」
セオドアは一人一人名前を呼んだ。
全員がこちらを向いたのを感じてから、意を決したように言った。
「___私は、強くなります。強く、強くなって…………必ず、『呪い』をどうにかします。
ワールドエンドに行き…………必ずや、あなた方の懸念を、取り除きましょう」
セオドアがそう言うと、アルティアは目を伏せた。
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