上 下
393 / 469
第27章 冬はイベント盛り沢山!?

執事も巻き込む

しおりを挟む
 




 「なあ、レイ、このドレスはどう思う?」



 「いいんじゃないか?」



 「テキトー言うなよ」


 「…………それよりも、なんだこれは?」




 執事のレイは会話を切って部屋を見る。部屋には___沢山のドレス。結婚式の時よりは少ないが、それでも多い。様々な色の、様々な柄のドレスが沢山ある。ところどころ小さいドレスもあるから大方アミィール様とセラフィール様のだろうとは思ったのだが…………



 ふと、違和感。
 レイは近くに落ちていた黄色のドレスを手に取って聞く。



 「これ、アミィール様が着るには大きすぎないか?ウエストもゆるい。珍しいな、セオドアが間違うなんて」



 「?いいや、着るのは私だから」



 「………は?」


 レイは思わずドレスを手放す。
 何を言っているんだこいつ?セオドアは小さな緑色のドレスを手に持ちながら言う。


 「これはアドラオテルのだ。今作っているのは俺とアドラオテルのドレスなんだ」


 「…………いやいやいやいや、何をやっているんだお前は?」


 「何度も言わせるなよ、ドレスを作っているんだ」

 「だからなんでドレスを作って___っわ」

 セオドアと話している途中、近くにいたアドラオテルがレイの足にくっついてきた。片足を抱きながらに、と笑う。


 「俺はじょそーたいかいでじょそーするんだッ!

 1番のビ、ジ、ン♪になるんだぞ!」


 「………………アドラオテル坊っちゃま、どういうことですか?」


 「えっとね、ばーばがね、じょそーたいかいするからでろーって!

 だから俺は女の子にモテモテなドレス姿をみせるんだッ!」


 「…………………」



 アドラオテルはそう言って近くに落ちていた水色のドレスを手に持ちクルクルと回る。そのまま宙に浮いてアハアハと笑っている。セオドアはミシンを止めた。



 「………そういうことだ」


 「お前、とうとう、心まで女になったのか?」


 「は?」



 「いやあ、お前ならいつかはそうなると思っていた。やっぱり乙女心が行きすぎだもんな。

 いやでも、お前が女だろうが男だろうか俺はお前の友達で居続けてやるからな………」


 そう言って口元を抑えて涙目になるレイ。…………勘違いもここまで行けば清々しいな。

 とはいえ。
 自分のドレスを作っているなんて知ったらそんな反応もする、か。


 セオドアは触り心地のいいドレスの生地に触れる。そりゃあ、女装はしたくないさ。けど、アミィール様が楽しみにしているんだ、やらない訳にはいかないだろう?


 「アミィール様がお喜びになるなら俺は喜んで女になるさ。それよりレイ、お前もだからな?」


 「は?やだよ」


 「いや、これはアルティア皇妃様のご命令だ。男側近一同は全員女装だ。『笑いのネタになる』と大爆笑して為さったぞ 」



 「…………いや、俺は男だし…………」


 「実はもうお前の着るものは出来ているんだ、ほら」



 セオドアは意地悪な笑みを浮かべて、バニーガールの服を見せた。レイはさ、と顔から血の気を引かせる。


 「ふ、巫山戯るな!俺はお前と違って男だよ!」


 「俺も男だ!たまには俺と同じ気持ちになれ!そして国民の前で恥を晒せ!」


 「絶対やだ、俺がそんなことしたら娼婦処に行けないじゃないか!お前だけしろ!お前は似合うから!かわいいかわいい!」


 「お前も道連れだ~!」

 「巫山戯んな~!」


 レイとセオドアは掴みかかりあいの喧嘩をする。沢山のドレスが舞う中、アドラオテルはやれやれ、と呆れながらドレスの山に埋もれたのだった。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。

新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、

【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました

八重
恋愛
※発売日少し前を目安に作品を引き下げます 修道院で生まれ育ったローゼマリーは、14歳の時火事に巻き込まれる。 その火事の唯一の生き残りとなった彼女は、領主であるヴィルフェルト公爵に拾われ、彼の養子になる。 彼には息子が一人おり、名をラルス・ヴィルフェルトといった。 ラルスは容姿端麗で文武両道の次期公爵として申し分なく、社交界でも評価されていた。 一方、怠惰なシスターが文字を教えなかったため、ローゼマリーは読み書きができなかった。 必死になんとか義理の父や兄に身振り手振りで伝えようとも、なかなか伝わらない。 なぜなら、彼女は火事で声を失ってしまっていたからだ── そして次第に優しく文字を教えてくれたり、面倒を見てくれるラルスに恋をしてしまって……。 これは、義理の家族の役に立ちたくて頑張りながら、言えない「好き」を内に秘める、そんな物語。 ※小説家になろうが先行公開です

異世界で王城生活~陛下の隣で~

恋愛
女子大生の友梨香はキャンピングカーで一人旅の途中にトラックと衝突して、谷底へ転落し死亡した。けれど、気が付けば異世界に車ごと飛ばされ王城に落ちていた。神様の計らいでキャンピングカーの内部は電気も食料も永久に賄えるられる事になった。  グランティア王国の人達は異世界人の友梨香を客人として迎え入れてくれて。なぜか保護者となった国陛下シリウスはやたらと構ってくる。一度死んだ命だもん、これからは楽しく生きさせて頂きます! ※キャンピングカー、魔石効果などなどご都合主義です。 ※のんびり更新。他サイトにも投稿しております。

王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました

さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。 王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ 頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。 ゆるい設定です

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

「お前を愛するつもりはない」な仮面の騎士様と結婚しました~でも白い結婚のはずなのに溺愛してきます!~

卯月ミント
恋愛
「お前を愛するつもりはない」 絵を描くのが趣味の侯爵令嬢ソールーナは、仮面の英雄騎士リュクレスと結婚した。 だが初夜で「お前を愛するつもりはない」なんて言われてしまい……。 ソールーナだって好きでもないのにした結婚である。二人はお互いカタチだけの夫婦となろう、とその夜は取り決めたのだが。 なのに「キスしないと出られない部屋」に閉じ込められて!? 「目を閉じてくれるか?」「えっ?」「仮面とるから……」 書き溜めがある内は、1日1~話更新します それ以降の更新は、ある程度書き溜めてからの投稿となります *仮面の俺様ナルシスト騎士×絵描き熱中令嬢の溺愛ラブコメです。 *ゆるふわ異世界ファンタジー設定です。 *コメディ強めです。 *hotランキング14位行きました!お読みいただき&お気に入り登録していただきまして、本当にありがとうございます!

せっかく転生したのにモブにすらなれない……はずが溺愛ルートなんて信じられません

嘉月
恋愛
隣国の貴族令嬢である主人公は交換留学生としてやってきた学園でイケメン達と恋に落ちていく。 人気の乙女ゲーム「秘密のエルドラド」のメイン攻略キャラは王立学園の生徒会長にして王弟、氷の殿下こと、クライブ・フォン・ガウンデール。 転生したのはそのゲームの世界なのに……私はモブですらないらしい。 せめて学園の生徒1くらいにはなりたかったけど、どうしようもないので地に足つけてしっかり生きていくつもりです。 少しだけ改題しました。ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願いします。

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

処理中です...