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第26章 ドキドキ?ハラハラ?家族旅行!
『呪い』の原因は
しおりを挟む涙ぐむセオドアを見て、ゼグスは『ふむ』とひとつ声を上げてからセオドア以外の全員に言う。
『なあ、シヴァ、久しぶりの子孫だ。少し話しておいでよ。
アミィール、君も転移魔法を使ったのだろう?子供達は私とセオドアくんで見ているから寝ておいで』
『?おお、わかった。いこう、ガロ』
「はい」
「わたくしは、大丈夫ですわ。___セオ様に、なにか御用ですか?」
アミィールはぎゅう、とセオドアの腕を抱き締める。ゼグスは柔らかい笑みを浮かべて言った。
『アミィール。男はね、男同士で話したいこともあるんだ。
君もわかっていると思うが、私は子孫が全員好きだ。子孫がどういう配偶者を選ぶか気になるんだよ。
大丈夫、何もしないと約束する。……信じて』
「…………は。セオ様、申し訳ございません。わたくしは席を外します」
「あ、うん。………ゆっくり、やすんで」
「はい」
アミィール様はひとつ笑みを浮かべてから、ガロ達と共に部屋を出ていった。俺とゼグス、子供達の4人となった。
ゼグスは1番近くにいたセラフィールを抱き寄せる。びくり、と肩を揺らすが、セラフィールは泣かず、素直にそれを受けた。
『ん、とてもいい子だね。賢い子だ』
「せら、かしこい?」
『ああ。…………ねえ、セオドアくん』
「は、はい!」
セオドアは勢いよく返事をする。
き、急に二人きりになってしまった…………いや、子供達は居るけど、子供達は動物に近いからな……………けど、話って何をすればいい?おれ、転生してからコミュ障になったのかな?ううん、話題、話題………
『____君に、謝りたかったんだ』
「……………え?」
ゼグスはぽつり、そう言った。
俺は顔を上げた。ゼグスは___今にも泣きそうな顔をしていた。
その顔で、セラフィールを撫でながら続ける。
『さっきも言っただろう?___呪い、のこと。
あれの全ての元凶は____私なのだ』
「ッ………どういう、ことですか?」
俺はその言葉に背筋を伸ばし、真っ直ぐゼグスを見た。ゼグスは『まずは龍神のことについて話そう』と言った。
『10万年前は人間同士の戦いが各地で繰り広げられていた。沢山の人間が死に、沢山の生き物が死んだ。
生き物には"魂"がある。人間は勿論だけど、動物にも、草木にも、この世界にある全てのものが魂を持っているんだ。この魂は___"思い"とも"心"ともいえる。
死にたくない、生きたい、戦いたくない、強くなりたかった、………沢山の、沢山の"思い"が溢れかえったんだ。その思いは、本来このユートピアのエネルギーとして巡り、新たな生き物を生み出す力に使われる…………はずだった。無念な"思い"を抱えて死んでいった沢山の魂は、輪廻転生の輪を乱し___新たな生命を生み出した。
それが………………"初代龍神"だ』
「…………………」
こうして、ちゃんと説明を聞いたのは初めてだった。大方はラフェエル皇帝が話した通りの内容。人が人を殺し合い、戦をし、人間や生き物の沢山の魂が、思いが生み出した___生き物。
ゼグスは続ける。
『初代龍神はこの世界が作り出した"亡霊達の思い"なんだ。
____人間達はその初めて見る生き物を見て恐れ戦いた。龍神は暴れた。沢山の人が、生き物が殺されていく中___1人の"男"は立ち上がった。人間同士で争っている場合じゃない、と。
男は自分の持つ全ての権力を使って争っていた国々と和解し、妖精神、精霊に懇願した。"力を貸してくれ"と。妖精神も精霊も突然現れた龍神に恐れていた。"その男"に力を与え、妖精神、精霊自身も戦いに出た。それが"終末戦争"と呼ばれる。
結果として"その男"達は負けた。そして、その代償として___妖精神、精霊、そして"その男"の命を差し出した。
けれど____それでは、終わらなかったんだ』
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