【完結】異世界転生でギャルゲーの主人公になったけど攻略対象外キャラにここまで熱烈に溺愛されるなんて聞いてない!

Ask

文字の大きさ
上 下
384 / 469
第26章 ドキドキ?ハラハラ?家族旅行!

『呪い』の原因は

しおりを挟む
 




 涙ぐむセオドアを見て、ゼグスは『ふむ』とひとつ声を上げてからセオドア以外の全員に言う。


『なあ、シヴァ、久しぶりの子孫だ。少し話しておいでよ。

 アミィール、君も転移魔法を使ったのだろう?子供達は私とセオドアくんで見ているから寝ておいで』


『?おお、わかった。いこう、ガロ』


 「はい」


 「わたくしは、大丈夫ですわ。___セオ様に、なにか御用ですか?」



 アミィールはぎゅう、とセオドアの腕を抱き締める。ゼグスは柔らかい笑みを浮かべて言った。



『アミィール。男はね、男同士で話したいこともあるんだ。

 君もわかっていると思うが、私は子孫が全員好きだ。子孫がどういう配偶者を選ぶか気になるんだよ。


 大丈夫、何もしないと約束する。……信じて』



 「…………は。セオ様、申し訳ございません。わたくしは席を外します」


 「あ、うん。………ゆっくり、やすんで」


 「はい」



 アミィール様はひとつ笑みを浮かべてから、ガロ達と共に部屋を出ていった。俺とゼグス、子供達の4人となった。


 ゼグスは1番近くにいたセラフィールを抱き寄せる。びくり、と肩を揺らすが、セラフィールは泣かず、素直にそれを受けた。


『ん、とてもいい子だね。賢い子だ』

 「せら、かしこい?」


『ああ。…………ねえ、セオドアくん』


 「は、はい!」



 セオドアは勢いよく返事をする。
 き、急に二人きりになってしまった…………いや、子供達は居るけど、子供達は動物に近いからな……………けど、話って何をすればいい?おれ、転生してからコミュ障になったのかな?ううん、話題、話題………



『____君に、謝りたかったんだ』


 「……………え?」



 ゼグスはぽつり、そう言った。
 俺は顔を上げた。ゼグスは___今にも泣きそうな顔をしていた。


 その顔で、セラフィールを撫でながら続ける。


『さっきも言っただろう?___呪い、のこと。

 あれの全ての元凶は____私なのだ』


 「ッ………どういう、ことですか?」


 俺はその言葉に背筋を伸ばし、真っ直ぐゼグスを見た。ゼグスは『まずは龍神のことについて話そう』と言った。



『10万年前は人間同士の戦いが各地で繰り広げられていた。沢山の人間が死に、沢山の生き物が死んだ。

 生き物には"魂"がある。人間は勿論だけど、動物にも、草木にも、この世界にある全てのものが魂を持っているんだ。この魂は___"思い"とも"心"ともいえる。



 死にたくない、生きたい、戦いたくない、強くなりたかった、………沢山の、沢山の"思い"が溢れかえったんだ。その思いは、本来このユートピアのエネルギーとして巡り、新たな生き物を生み出す力に使われる…………はずだった。無念な"思い"を抱えて死んでいった沢山の魂は、輪廻転生の輪を乱し___新たな生命を生み出した。


 それが………………"初代龍神"だ』



 「…………………」


 こうして、ちゃんと説明を聞いたのは初めてだった。大方はラフェエル皇帝が話した通りの内容。人が人を殺し合い、戦をし、人間や生き物の沢山の魂が、思いが生み出した___生き物。

 ゼグスは続ける。



『初代龍神はこの世界が作り出した"亡霊達の思い"なんだ。

 ____人間達はその初めて見る生き物を見て恐れ戦いた。龍神は暴れた。沢山の人が、生き物が殺されていく中___1人の"男"は立ち上がった。人間同士で争っている場合じゃない、と。


 男は自分の持つ全ての権力を使って争っていた国々と和解し、妖精神、精霊に懇願した。"力を貸してくれ"と。妖精神も精霊も突然現れた龍神に恐れていた。"その男"に力を与え、妖精神、精霊自身も戦いに出た。それが"終末戦争"と呼ばれる。

 結果として"その男"達は負けた。そして、その代償として___妖精神、精霊、そして"その男"の命を差し出した。


 けれど____それでは、終わらなかったんだ』












しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

異世界で王城生活~陛下の隣で~

恋愛
女子大生の友梨香はキャンピングカーで一人旅の途中にトラックと衝突して、谷底へ転落し死亡した。けれど、気が付けば異世界に車ごと飛ばされ王城に落ちていた。神様の計らいでキャンピングカーの内部は電気も食料も永久に賄えるられる事になった。  グランティア王国の人達は異世界人の友梨香を客人として迎え入れてくれて。なぜか保護者となった国陛下シリウスはやたらと構ってくる。一度死んだ命だもん、これからは楽しく生きさせて頂きます! ※キャンピングカー、魔石効果などなどご都合主義です。 ※のんびり更新。他サイトにも投稿しております。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!

桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。 「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。 異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。 初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。

新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、

処理中です...