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第26章 ドキドキ?ハラハラ?家族旅行!

乙女男子と夢の国

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 ガロしか開けられない?
 どういうことだ?


 疑問に思うセオドアを他所に、フランは言う。


 「ガロちゃん、やっておしまい!」


 「ええ、わかりました」



 ガロはにっこりと笑って結界に触れた。
 その瞬間、パァ、と銀色の魔法陣が生まれた。



『"人狼"の血を受け継ぎし者、通行を許可する』


 「____!」


 突然そんな声が聞こえて、魔法陣が消えていくと同時に人1人入れる穴が生まれた。ガロはその入口の傍に立ち、やっぱりにっこり笑った。


 「これで、入れます。どうぞ、アミィール様、セオドア様、フランさん、アドラオテル様、セラフィール様」


 「ありがとう、ガロ」

 「………………」


 アミィール様がアドラオテルを抱き抱え、笑みを浮かべてから颯爽と入っていった。なんというか………やはりこのギャルゲーはギャルゲーではなくRPGゲームの世界なのでは?と思った。



 *  *  *



 「____凄い」


 セオドアは、呟くようにそういった。
 小さな町、全てが白い建物で、雪が舞っている。それだけではなく……………歩いている亜人達が、俺の目を奪った。


 耳のとんがったエルフ、様々な動物の姿をした獣人、小さな妖精、空飛ぶユニコーンの馬車……………とてもとてもメルヘンに見えたのだ。グレンズス魔法公国にも獣人はいると聞いたことあるが、俺は行ったことがないから知らない。


 けれど、アイスバーンには人間よりも亜人の方が圧倒的に多いのだ。呆然としているセオドアに、アミィールは静かに言う。


 「セオ様?どうなさいましたか?」


 「あ、いや、えっと…………亜人、初めて見て、それに街も白くて、雪が………」 



 俺の語彙力はどうやらご臨終なされたらしい。全く呂律も回らない。なんだここ。素晴らしすぎて涙まで出てきたぞ…………?

 言葉の代わりに涙を流すセオドアに、アミィールはくすくすと囀るように笑った。


 「アイスバーンは、私が1番綺麗だと思う国ですわ。そして、この通り、絶滅危惧種と呼ばれる亜人達が古くから住む人間と身を寄せ合い、暮らしています。

 星の妖精神・ゼグス様と氷の精霊・シヴァ様はこの国を守る為にあのような大掛かりな結界を張っているのです」


 「そうなのか…………」


 確かに、こんなに亜人達が居れば、未だに蔓延っているという奴隷売買を行う人間は目をつけるだろう。そうでなくとも、研究をしたいと言う人間、異形と罵る人間達はこの亜人達の国を襲うのは容易に想像できた。それがないこの国は___大きくなくとも平和に思えた。


 「ひぐっ………」


 「………?セラ?」



 不意に、泣き声が聞こえて胸元を見る。抱っこしているセラフィールが涙目である。あんなに来る前は『ゆきがみれる!』と楽しみにしていたけれど、やはり新しいものを見るのは怖いのだろう。落ちてくる雪にさえ体を揺らしている。………こういうのを見ると自分の娘だなあ、と実感する。


 そんなことを考えているとフラン様がこそ、と珍しく小声で話しかけてきた。


 「いいから早く馬車に乗るわよ。見つかったら厄介だから」


 「ええ、そうですわね。早めにユニコーン馬車を捕まえましょう」


 「私が手配してまいります」



 ガロはそう言って走っていく。
 ………妙だ。なんでフラン様がこんな不思議な国を見て騒がない?なぜ小声?

 首を傾げていると、アミィール様の腕の中にいたアドラオテルがバタバタと暴れ、するりと腕の中から抜けて口を大きく開けた。


 「あーん」


 「…………アド、何をやっているんだい?」


 「ゆき、って美味しいのかなって、ばーばが言ってた、かきごおりなんでしょ!ゆきって!」


 「え」


 かき氷という言葉に思わず真顔になってしまう。………あの人はなんでそう余計なことを言うのだろう。それを真に受けて口を大きく開けている息子も息子なのだが。


 頭を抱えていると、アドラオテルの被っていたフードがぽろり、と落ちた。それを見たアミィール様が目を見開いた。



 「アド、やめてくださいまし!お顔を隠して!」


 「なんでー?邪魔だからいー」


 「だめなのです!この国で目を晒したら……!」


 「………?」


 アミィール様が珍しく焦っている。疑問に思ってセオドアは声をかけた。


 「アミィ、どうしたんだい?」


 「ッ、この国は、その、少し特殊なのです………だからお顔を隠さねば………」


 「それはどういう___「あの黄金色の瞳に紅い瞳___龍神様と第一皇太子様の血筋ではないか!?」へ?」









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