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第25章 成長する子供達と主人公
皇女の教育方針
しおりを挟む「父上が騒いでいたから嫌でも耳に入るんだよ。毎日『アドラオテルちゃんとセラフィールちゃんに会いたい………』とグズグズ泣いているからな。お前みたいに。
それはともかく、だ。
この子は私の息子のセフィロトだ」
「あう?」
セフィロトと呼ばれた男の子は首を傾げる。……………悔しいけど可愛い。目元は兄上のようにタレ目で可愛い。ムカつくけど。
「ふふ、可愛いですわ。………ここは寒いですし、中に入りましょう。皇帝も会いたがっておりましたので、お疲れでなければ挨拶を」
「ああ。…………サーシャ、セフィロト、行くぞ」
「は、はぃ………」
「うー!」
こうして、俺達は城内に入った。
* * *
「では、改めまして。
男の子がアドラオテル・リヴ・レドルド・サクリファイス。
女の子がセラフィール・リヴ・レドルド・サクリファイスでございます」
ラフェエル皇帝様とアルティア皇妃様の謁見_いつも通りアルティア皇妃様がはしゃいでラフェエル皇帝に罰を落とされた_が終わり、応接室に通してから改めて子供達の紹介をする。本当はバシッと決めて『俺の息子と娘の方が可愛いだろう!』と言いたかったのだが…………
「あは~♪」
「あぁぁぁぁ、あの………」
「………………」
「………………」
「……………」
アドラオテルはアハアハと笑いながらサーシャの膝にいる。サーシャは怯えて震えている。何度も言うが、俺の息子・アドラオテルは重度の"女好き"なのだ。
頭を抱えていると、兄上がにやにやといやらしい笑みを浮かべて俺を見てきた。
「おい、セオ、お前の息子は俺の嫁に気があるみたいだが?」
「う、うるさいです………お姉様、失礼致します」
「は、はい!」
セオドアは立ち上がり、アドラオテルのそばに来て腰を持つ。しかし、アドラオテルは即座にぐっ、とサーシャのドレスを握った。
「アードー!離れなさい………ッ!」
「ふぐぅ………!」
「…………………」
美男子親子の顔がとても崩壊している。それはもう2人の戦いである。アミィールは苦笑いしながらセラフィールの頭を撫でた。
「御足労感謝致しますわ、お兄様、お姉様、そしてセフィロト様」
「ああ、いや、勝手に来てしまいすまないな。本当はもっと早くあわせたかったんだが、仕事や育児に手が回らなくてな」
「いいえ、それはお互い様でございます。挨拶が遅れて申し訳ございません」
「それこそ気にしないでくれ。今こうして会えているのだから。
なあ、セフィ」
「うー!」
セフィロトは可愛く小さな両手で万歳をして笑う。その可愛らしい笑顔にアミィールはふふ、と笑みを零した。それを見ていたセラフィールはくい、と母親の服を引っ張る。
「ママ、だあれ?」
「ママのお兄様とお姉様、貴方の従兄弟ですよ」
「おお、セラフィール嬢はもう話せるのか」
セフィアは驚いた声をあげた。アミィールは困ったように笑って『まだ少しだけですけど』という。
「せら、ちょと、しゃへりゅ」
「………この通り、少しだけですわ」
「いやでも、凄い。セフィロトはまだだもんな」
「む、……ぱー!」
セフィロトはむう、と膨れて口を動かす。とても可愛いです。
「アードー!」
「ぎぎぎぎ…………」
「おいおい、セオ、私の奥さんを困らせないでおくれ」
「はあ………はあ………ご、ごめんなさいお姉様………」
「い、いいえ、その、申し訳ございません………」
謝り合うセオドア様とお姉様。不思議な構図に笑みが溢れてしまいます。ですが、これ以上困らせるのはよろしくありませんね。
「アド」
「む………う!?」
アミィールはアドラオテルのお気に入りの美人な女性が映った肖像画を見せる。そして、指先に炎を浮かべている。
「アド、今すぐ離れないとこれを燃やしますわよ?」
「うう、……あい…まま」
アドラオテルはそれを見て泣きそうになりながらもぱ、とサーシャの服から手を離す。セオドアはやっと自分の胸に戻ってきたアドラオテルを抱きしめてほっとする。
この育て方ははたしていいのだろうか…………正真正銘脅しなんだよなあ……………
セオドアは溜息をついた。
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