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第18章 新しい家族と新しい生命
執事は願う
しおりを挟む「ふふふふふふ」
セオドアの自室にて。
奇妙な笑い声が響いている。勿論、その笑い声を発しているのはベッドで横たわり枕を抱き締めているセオドアである。
_____子供、本当にできた。
しかも2人だぞ、2人!一気に2人もアミィール様との間の子が出来たんだ!………たしかにまだ二人の時間を楽しみたかった気持ちはある。けれども、これが幸せでなくて何を幸せだという?
家族が増えるんだ。
血の繋がらない家族ではなく、正真正銘俺の子供達だ。
「____もしかしたら別の男の子供かもな」
「な、そんなはずない!……………って、レイ」
突然の声に反論して飛び起きた。そこには、俺の執事兼友のレイが腕を組んでにやにやしていた。
「もしかしたら子種は別の男かもな~。セオドアが無駄打ちしてたからな」
「…………レイ、それ以上言ったら怒るぞ」
セオドアの声が低くなる。おっと、茶化しすぎたな。これ以上はまじで怒るから辞めておこう。
そんなことを考えるレイに、セオドアは問うた。
「というか、なんでお前が知っている?この話はまだ機密だとラフェエル皇帝様は言っていたぞ」
そう。子供が出来たことは内緒なのだ。国民達に知らせるのは後日という話だとアルティア皇妃様が言っていた。皇位争いの可能性がある双子だということもあり、もう少し様子を見てから言うかどうか決めようなどと言っていた。
しかし、レイは『わかってないなあ』とあきれるように言う。
「俺は一応お前の執事で側近だぞ?知らされるに決まってるじゃないか。そうじゃなくともアミィール様の周りを安全なものに変えるためにラフェエル皇帝様が色々しているんだ、察せない者などいないさ。
食事も身体にいいものに変えるとシェフが張り切っていたし、お前がお菓子ばかり食わせないように監視するようにとも言われたぞ俺は」
「う……………」
お祝いに特大ケーキを作ろうとしていたセオドアは怯む。お菓子くらい食べていい様な気がするけれど、アミィール様の悪阻などを考えると、たしかに良くないかもしれない。
そう考え難しい顔をするセオドアに、レイはくつくつ、と喉を鳴らして笑う。
「まあなんだ、…………おめでとう、セオドア」
「…………ッ、馬鹿、突然のマジレスはやめろよ………」
珍しく優しいレイの言葉に、涙が込み上げてきた。今すごく実感した、俺は親になるんだ。
乙女男子でヘタレでビビリな俺が、とうとう人の親になる。愛する妻を守らなければならない。1人の男として。
「レイ」
「なんだ?」
「_____俺、もっと強くなる。
子供達も、アミィも、皇帝夫婦も全部まるごと守れるように、なりたい。いや、なるんだ。
俺は____父親だからな!」
セオドアはそう言って、泣きながら笑う。
それを見てレイはふ、と笑う。
16歳までのセオドアならこんなこと言えなかっただろう。そもそも、誰かを好きになるということはなかっただろう。
こうしてセオドアが逞しく、前だけを見ようとすることが出来たのは、間違いなくアミィール様のお陰だ。
感謝してるぜ_____どうか、この乙女を幸せにしてやってくれ、皇女様。
……………とはいえ、コイツをいじめる役目を横取りさせないが。
「アミィール様が妊娠したし、お前どうするんだ?」
「?何がだ?」
「____性処理」
「……………ッ!俺は!そんなに性欲強くない!」
「嘘つくなよ、浮気はダメだからな。俺はこの城のメイドはエンダー以外コンプリートしたからすぐバレるぞ。そして俺はアミィール様の味方だ。覚えておけ」
「浮気なんてするか!俺はアミィール様一筋だ!
というかメイドを手当たり次第弄ぶな!チャラ執事!」
「ハンッ!アミィール様しか抱いたことないお前にはわからないよ」
「~ッ、そういうことは好きな人とやるんだよ!」
セオドアはそう言ってクッションをレイに思い切り投げた。が、レイは簡単にキャッチしたとさ。
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