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第18章 新しい家族と新しい生命
デジャヴな馬車の旅
しおりを挟む最近、大人達がなにかと俺達の甘い時間を邪魔をしてきているような気がする。
群青色の短髪、緑色の瞳のセオドア・リヴ・ライド・サクリファイスはぼんやりそう考える。
彼はギャルゲー『理想郷の宝石』の主人公に転生したが、攻略対象とは結婚せず、サクリファイス大帝国の皇女に見初められ結婚、執務を行いながら愛し合い幸せな日々を過ごしているのだが、若干不満を持つことだってある。
例えば、今。
セオドアはそこまで考えて、目の前を見る。
「…………………」
目の前には紅銀の短髪、紅い瞳の美丈夫が悠々と座りながら書類を読んでいる。___この御方は俺の義父でありサクリファイス大帝国皇帝でもあるラフェエル・リヴ・レドルド・サクリファイスだ。何でもできるスーパー皇帝で、最近は何かと絡むことも多い。それ自体は良いんだ。家族と認められていると思えば全然嬉しいんだ。
けれど…………
「……………お父様、流石に過保護が過ぎていると思われますが」
俺の妻であり次期皇帝の紅銀の長髪、黄金色の瞳、美しすぎる皇女、アミィール・リヴ・レドルド・サクリファイス様が隣で極めて不機嫌な声でそう言った。
何故こんなに不機嫌なのかと言うと____俺達はこのメンツで馬車に乗り、ヴァリアース大国に向かっているからだ。
…………って!呑気に状況説明など出来ない!
セオドアは1人心の中で突っ込んだ。
_____俺の兄、セフィア・ライド・オーファンが結婚するから来い、と言う言伝を貰っていた。そして手紙も来た。俺も兄上が大好きだし勿論それに応じて、アミィール様と山のような執務をこなしてなんとか時間を取ってヴァリアース大国に向かうという時間が取れた。
まあ、取れなくてもアミィール様は『転移魔法を使いますわ』と言っていたけれど、実家に向かう時くらい1ヶ月かけて甘いひとときを過ごしたいと思っていたから死ぬ気で時間を作ったのだ。
俺達サクリファイス皇族は国にまつわる重大な事柄全てを全員で力を合わせてやっている。だから朝と夜以外安定して共にいる時間が無い。けれど、馬車の旅であれば密室で長く2人でいられると思ったんだ。それはもうドキドキと緊張しつつも甘い甘い空間でいつもより愛し合えるとこの馬車の旅を楽しみにしていたのだ。
なのに、だ。
ヴァリアース大国に行く直前に、なんとなんとラフェエル皇帝様が直々に『私も行こう』なんて爆弾発言をしたのだ。
一国の、ましてやユートピアで1番力を有し、発言力も影響力も半端ない御方が!平凡な皇配である俺の実家に共に行くと!言ったのだ!それで、側近のリーブと皇妃であるアルティア様に仕事を任せ、こうして半ばお忍びでついてきたのだ。
…………おかしすぎるだろう?
そして滅茶苦茶だと思う。ツッコミどころは沢山ありすぎて俺は未だに現実を受け止められていないのだ。
もう困惑しかしていない俺を他所に、ラフェエル皇帝は書類から目を離さずに言う。
「……………仕事を殆ど片付けてここに居るのだからなんの問題もないだろう?」
「大ありですわ。サクリファイス大帝国の皇帝が国を出ている時点で由々しき事態です。
そもそも、わたくし達は2人で行きたいと何度も言いました。なのに何故ついてくるのですか」
「サクリファイス大帝国の皇帝の前にセオの義父だ。挨拶を怠るなど人としての礼儀に欠けるだろう?
2人で行って先日の城下町のように騒ぎを起こしたらたまったもんじゃないからな」
「…………も、申し訳ございません………」
そう言ってふい、と顔を背けられるラフェエル皇帝様。………先日の城下町デートの一件を未だに根に持っていらっしゃる…………あの時あんなに怒ったのに…………
これは紛うことなきデートの一件で更に過保護に拍車がかかったラフェエル皇帝様の暴走であるのだ。
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