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第14章 ダブル誕生イベント!
子供からのプレゼント
しおりを挟む「ふふ、ラフェー、あーん」
「……………はしたないからやめろ」
「セオ様もわたくしが食べさせましょうか?」
「う、い、いや、私は………その………」
家族団らんの場、それぞれがそれぞれの愛する者と2人の世界に入っている。
今日は愛する人達の誕生日。イチャイチャするなと言うのが無理だ。
けれど、俺にはやらなければならない使命がある。
そこまで考えて_意を決してアミィールの手からパンを食べてから_立ち上がる。そして、ラフェエルの近くまで来た。ラフェエルはやっとアルティアから目を離し、不思議そうな顔をしてみた。
「………?なんだ、セオドア」
「ッ、その、えっと……………」
セオドアは顔を赤くして、モジモジとしている。まさに、女子がやるそれだ。顔が整っている分女にも見えなくもない。…………男色趣味の男には好かれるような男だな。
そんなことを思いながら、ラフェエルは厳しい瞳でセオドアに言う。
「セオドア。用があるならしっかり目を見ろ。サクリファイス皇族たるもの、自身が考えて動いた事に躊躇をするな」
「う、……は、はい。では…………
その、お誕生日おめでとうございます!」
「ッ!?」
セオドアはバッ、と頭を下げて小さな袋を渡してきた。女子のプレゼントするような可愛らしいラッピングではあるが、皇帝に差し出すものではない。それは分かっているさ。けれど、………皇帝の前に、俺のもう1人の父親だから。枯れる声で、必死に言葉を紡ぐ。
「お、恐れ多くも………勝手にプレゼントを用意させて頂きました………男手ですし、気に入らなければ捨ててもらってもよろしいので、受け取ってください」
「…………………」
そう言って耳まで赤くし、涙目で見てくるセオドアに、ラフェエルは少し驚いていた。
アミィールからでさえプレゼントを貰ったことがないのに、血の繋がらない皇帝にプレゼントなど男子がするか?このような時、私はどうすれば…………?
そう思うラフェエルの背をぽん、とアルティアは叩いた。そして、心を読んだようにいう。
「…………こういう時はありがとう、と受け取ってその場で見るものよ」
「………………」
ラフェエルはそれを聞いて、何度か戸惑いながら、それを受け取った。覚束無い手で包装紙を解くと_____赤と金の煌びやかで精緻なタイと、アルティアの髪と同じ、黒色の石のついたブローチ。ブローチからはアルティアの魔力を感じる。
「これは…………?」
「えと、タイは手作りで……………ラフェエル皇帝様はよく、タイをつけていらっしゃいますし…………ブローチは、アルティア皇妃様の魔力を少し頂いて、魔法を吸収する珍しい石を嵌め込んで作ってみました……………」
自信なさげにそう答えるが、2つとも職人が作ったように美しく、きめ細かい物で。所々に見える気配りが…………胸を熱くした。
初めて、子供からプレゼントを貰って…………どのような顔をすればいいのかわからない。ラフェエルは眉間に沢山のシワを寄せて口元を抑えて、声を咬み殺す。
「…………ッ」
「………………」
セオドアはそんなラフェエルを見る。………凄く喜んでもらえる自信がなくて、ビクビクしていたけれど…………沢山、シワがよっている。
これは、ラフェエル皇帝様が美味しい物を食べた時の顔だと知っている。
だから、それを見て___俺は胸が熱くなった。
作ってよかった、って思ったんだ。
セオドアは笑みを浮かべる。ラフェエルは___しばらく、プレゼントを見て固まっていた。
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