【完結】異世界転生でギャルゲーの主人公になったけど攻略対象外キャラにここまで熱烈に溺愛されるなんて聞いてない!

Ask

文字の大きさ
上 下
174 / 469
第12章 様々な愛の形

聖女にとってのハッピーエンド

しおりを挟む
 

 _____私は、聖女でヒロインだ。
 そう思ってたしそう疑ってなかった。

 けど、それはアルティア先輩との出会いで180度変わった。私はモブだったのだ。最初こそは?ってなったけれど…………今はちゃんと、それを受け入れられている。



 フランは空を見ながら、思う。



 それは____ダーインスレイヴ様の言葉だった。
 アルティア先輩のデートを盗み見ている時に、お前もヒロインだ、と言ってくれたから。


 そう思うと…………心が軽くなって、当時は認めたくなかったけど、私はダーインスレイヴ様をその時に好きになった。



 少女漫画や転生小説が好き。ハッピーエンドは大好き。


 けどね。


 結婚したり、身体を重ねたり、愛を囁きあったり…………そういうのも好きだけど、それ以上にね。



 _____好きな人の心に、永遠に住み続ける方が素敵だと思ったの。


 ダーインスレイヴ様は死なない。 

 なら、その心に居座る私も死なないじゃない。



『こんな女がいた』、『俺を愛してくれた女が居た』、『うるさい女だった』…………なんでもいいの。好きな人に思われる感情は全て甘くて素敵だから。



 私は結ばれないことに絶望していない。


 諦めたくないから言い続けている。


 それで結ばれるならラッキー、結ばれなくても私はあの人の中に居続ける。



 どっちもハッピーエンドでしょう?



 それにね。私が結ばれなくても____私達が生み出した希望に、そして希望が愛したこの子に、幸せをお裾分けしてもらっているから。



 フランは目の前にいる男の子を見る。
 女のようにか弱く、女々しいイケメン。…………これを不幸だと感じてしまうほど、心の綺麗な男の子。



 「____ねえ、セオドアくん。

 泣かないで、悲しまないで。


 アミィールちゃんと、貴方が幸せなら…………それだけで、私も幸せになるんだから、さ!」




 フランは、やっぱり笑顔を作って笑った。





 *  *  *





 ダーインスレイヴ様も、フラン様も、幸せそうに笑って『俺達の幸せ』を願っている。笑顔を、向けてくれている。



 俺がアミィール様を好きでいること、アミィール様が俺を好きでいること。

 それが幸せだと言ってくれている。


 ならば。



 男として、アミィール様を愛する者として___それに応えるのは。



 「_____当たり前です。

 私は、必ず、アミィール様をもっと幸せにします」



 セオドアは涙を拭いてから、それでもはっきり言い切った。フランはそれを見て『よし!』と言って指を鳴らした。


 すると_____魔法陣が生まれて。
 驚かなかったのは、その魔法陣は聖の精霊・カーバンクル様を呼ぶ時のものだと知っているから。



 案の定、リスの姿をしたカーバンクル様が現れた。



『フラン?どうしたの………って、セオドア様!?泣いたの!?』


 「あ、えと、その…………」



 素直に泣いた、というのは恥ずかしくて。俺は言葉を詰まらせる。そんな俺をよそに、フラン様はとんでもないことを言った。



 「カーバンクル、貴方、セオドアくんとキスしなさい」


『「……………は?」』



 カーバンクルとセオドアは目を見開いた。しかし、フラン様は止まらない。



 「チューしなさい、ほら、人型になって」


 「い、いやいやいやいや!フラン様!?何を仰ってるんですか!?」


『そ、そうだよ、フラン、ぼ、僕……』


 「2人とも5分以内にやらないとセオドアくんはアミィール様の前で女物のド派手な下着を着させるし、カーバンクルには………そうね、大好きな聖の魔法を1週間使ってあげないわ」




 「『……………………』」




 いい雰囲気がぶち壊された瞬間だった。






しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?

歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。 それから数十年が経ち、気づけば38歳。 のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。 しかしーー 「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」 突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。 これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。 ※書籍化のため更新をストップします。

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!

桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。 「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。 異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。 初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

異世界で王城生活~陛下の隣で~

恋愛
女子大生の友梨香はキャンピングカーで一人旅の途中にトラックと衝突して、谷底へ転落し死亡した。けれど、気が付けば異世界に車ごと飛ばされ王城に落ちていた。神様の計らいでキャンピングカーの内部は電気も食料も永久に賄えるられる事になった。  グランティア王国の人達は異世界人の友梨香を客人として迎え入れてくれて。なぜか保護者となった国陛下シリウスはやたらと構ってくる。一度死んだ命だもん、これからは楽しく生きさせて頂きます! ※キャンピングカー、魔石効果などなどご都合主義です。 ※のんびり更新。他サイトにも投稿しております。

処理中です...