【完結】異世界転生でギャルゲーの主人公になったけど攻略対象外キャラにここまで熱烈に溺愛されるなんて聞いてない!

Ask

文字の大きさ
上 下
156 / 469
第10章 新婚旅行は海がいい

主人公は魔剣を手にする

しおりを挟む
 



 ダーインスレイヴ様は静かにそういった。『サクリファイス皇族』と言う言葉を強調して。………というか、質問の答えになってない!



 「質問の答えは"ソレ"だよ。そのピアスは"俺"だ」



 「?」


 まるでわからないセオドアは首を傾げる。ダーインスレイヴははあ、と大きな溜息をついて『面倒くさいな』と言ってから言葉を重ねる。



 「アミィールもアルティアもラフェエルもそのピアスがついている。………それはな、俺を呼び出す為なんだ。

 そのピアスを付けながら"ダーインスレイヴ"と呼んでみろ。敬称はいらない」



 ダーインスレイヴ様はそう言って凄む。珍しく真剣な、怒った顔だったから震えた。これは逆らったら殺されるのではないか…………?


 セオドアは震えながら、か細い声で言う。


 「え、え、っと…………ダーインスレイヴ?


 ____!」




 俺がそう言うと、目の前にいたダーインスレイヴ様が消えて、アミィール様がよく使っている刃も柄も青紫色に染まったかっこいい剣が出た。それが俺の目の前でふわふわしていて、いかにも手にとれと言わんばかりだ。


 恐る恐る、その剣を握る。


『…………こういうこったな』


 「うわぁ!」


 突然、ダーインスレイヴ様の声がした。耳から聞こえたんじゃない、脳内に響く声。思わず剣を捨ててしまいそうになるけれど、手放せない。脳内に響く声がまた言う。



『ビビりすぎだ。俺だよ、ダーインスレイヴだ。この声は脳内に直接語りかける。…………俺はな、20年前に"友との約束"を果たしてからサクリファイス皇族を守る"魔剣"になったんだ。


 お前、自分で言ってたろ、サクリファイス皇族だと。なら、俺を使う資格はあるんだよ』


 「え、でも、私は………アミィール様やアルティア皇妃様、ラフェエル様より弱いです………」


 自分で言ってて情けなくなってきた。何が主人公だ俺。こんな俺がこんなかっこいい魔剣を操れるとは思えない……………


 剣を持っただけで泣きそうになるセオドアに、魔剣が声だけで溜息をついた。


『絶対使えるさ。俺だって1年もお前を見てたんだ。俺はお前と違って良い奴じゃないからな、誰にでも俺の体に触らせねえよ。…………で、俺はお前を認めたから使わせてやるんだ』


 「そっ、それは光栄ですが…………」



 未だに動揺している俺。かっこ悪いのはわかるけど!この魔剣は!ヒロインしか使えない設定だよな!?俺は!男だ!


『設定とかヒロインとか分からないな…………お前の脳内元気すぎるだろう。アルティアといい勝負だわ。

 信じられねえならほれ、使ってみろ。丁度リーブが来たから』



 「え?…………あ、リーブ様」



 ダーインスレイヴ様に言われて前を見ると____茶髪茶瞳の燕尾服のリーブ様が目を見開いていた。


 「セ、セオドア様……………!その、ダーインスレイヴ様に認められたのですか………!?」



 「え、いや、それは……………その…………」



 それはもう餌を見つけた犬のように目をキラキラとさせている。どう答えればいいかわからなくてモジモジしてしまうセオドアを他所に、リーブは剣を手に持った。


 し、真剣………!?俺は真剣を使ったことどころか今日まで持ったことすらないのに…………!?



 「あ、あの!わ、私は…………………!」


 「大丈夫です!ダーインスレイヴ様を持った御方に私は勝ったことがございませんので!」



 そう嬉しそうに言うリーブ様、それは喜んでいいことではないよ?だめじゃないか?おかしい、おかしいぞ………!?



 「では!行きます!」



 「ま、待ってくださ___ッ!」



 言うが早いか、リーブ様が突っ込んできた。もう目が本気、マジのマジで殺しに来てる!無理無理無理!


『無理じゃない、ほら、行くぞ____』


 「うわあっ!」



 俺は半ば強制的にリーブ様と剣を交えた。











しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。

新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、

身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】 妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。

異世界で王城生活~陛下の隣で~

恋愛
女子大生の友梨香はキャンピングカーで一人旅の途中にトラックと衝突して、谷底へ転落し死亡した。けれど、気が付けば異世界に車ごと飛ばされ王城に落ちていた。神様の計らいでキャンピングカーの内部は電気も食料も永久に賄えるられる事になった。  グランティア王国の人達は異世界人の友梨香を客人として迎え入れてくれて。なぜか保護者となった国陛下シリウスはやたらと構ってくる。一度死んだ命だもん、これからは楽しく生きさせて頂きます! ※キャンピングカー、魔石効果などなどご都合主義です。 ※のんびり更新。他サイトにも投稿しております。

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

処理中です...