【完結】異世界転生でギャルゲーの主人公になったけど攻略対象外キャラにここまで熱烈に溺愛されるなんて聞いてない!

Ask

文字の大きさ
上 下
146 / 469
第10章 新婚旅行は海がいい

※この世界に水着はありません

しおりを挟む
 


 セオドアは目を輝かせた。 
 目の前には_____エメラルドグリーンの綺麗な海。水中が透けて見えるほどの綺麗な、とても綺麗な海に、自分の歳も忘れて心を踊らせる。


 今世で初めて見た海はとても美しいもの。おまけにここはクリスティド国王陛下のご配慮で貸してくださったプライベートビーチなのだ。とても贅沢である。これを見るために皇配になった訳では無いけれど、それでも皇配でなければこのような素敵な場所には来れなかったと思うとやっぱり凄いことである。


 それに、楽しみなことはまだある。


 セオドアは自分の姿を見る。
 上半身裸で、藍色のボクサー型パンツの水着。この世界でこのような物はない。新婚旅行をしたい、と言った後に同じ転生者であるアルティア皇妃様とフラン様が俺の為に作ってくれたのだ。この世界に水着という風習は無いし、泳ぐことを半ば諦めていたからこの気遣いが嬉しかった。


 そして。



 実はアミィール様の分の水着もあるのだ。それはまだ俺は見ていない。けれど、だからこそ楽しみというもの。見るのが楽しみ過ぎてすぐに着替えて先に海に来たのだ。そして綺麗な海を見ながら考える。


 アミィール様はどのような水着を着ても似合うだろうな。スクール水着のようなものだろうか、ワンピース型も捨てがたい、しかしビキニ姿も見たい……………全部の形を着てくれればいいのに、どれかひとつしか見れないというのはこんなにももどかしくなるものなのだろうか……………



 水着姿どころか身体の隅々までもう見ているというのにそんなことを思うセオドア。その背に『セオ様』と愛おしい御方の声がした。勿論、呼ばれたセオドアは嬉嬉として振り返る。


 「_____ッ」



 しかし、その楽しそうな顔はアミィールを見るなり赤く染まり驚いた顔になった。アミィール様の水着は____黒のスクール水着のような水着、なのだが、胸元から秘部の手前まで大胆に裂け目があり、それをシンプルな群青色のゴムが肌を邪魔しないように細く編み込まれ、腰元にはヒラヒラのワンピースの様なフリルがついている物だった。



 「………………ッ」




 乙女的観点からも男的観点からも可愛くて色っぽい水着に言葉を無くす。これはもうアルティア皇妃様とフラン様の前世の知識と俺への嬉しい気遣いをふんだんに詰め込んだもので。


 そんな過激な水着を平然と着こなすアミィール様の堂々とした気持ちと着こなせるほどのスタイルの良さが際立っている。


 「セオ様?どうなさいました?………やはり、わたくしにはこのような可愛い衣類は似合わないでしょうか……………それに、このように肌を沢山露出するのは女としてはしたないですか…………?」



 「なっ、そんなことない!」



 セオドアはアミィールの自信なさげな顔に、少し大きな声で否定して優しく抱き寄せる。本心だ。似合わないとかはしたないとか思うわけがない。



 「あ、あまりに美しく水着を着こなすものだから…………言葉を失ってしまったんだ」


 「!……ふふ、お世辞でも嬉しいです」


 「お世辞なわけがない、事実だ」


 アミィールは顔を赤らめながらも紡がれた愛おしい男の言葉に破顔する。セオドアはそれを見るとさらに強く抱き締めた。


 ……………よかった、ここがプライベートビーチで。アミィール様のこのようなお姿を他の男に見せたくない。俺だけしか見てはダメだ。レイを連れてこなくて心の底から良かったと思う。




 「____セオ様の胸板が閨以外でも拝見出来るなんて、夢見たい。クリスティド国王陛下のプライベートビーチでよかったです。

 誰にも見せたくないですもの」


 そうとても嬉しそうに言うアミィール様に再び胸が熱くなった。同じ事を考えているんだ、俺達は。それだけなのにこんなにも嬉しくなるんだから俺は単純すぎる。


 「私も同じ事を思ったよ。………このお姿は私の前以外ではして欲しくない。他の男に見せたくないな」


 「わたくしはセオ様の前以外でこのような格好は致しませんわ。……………此処は今、わたくし達だけの世界です」



 そう言って、アミィール様は俺に唇を重ねた。たった2人の世界で綺麗な海をバックに俺達は深くて甘いキスをした。









しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。

新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!

桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。 「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。 異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。 初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

ちょっと不運な私を助けてくれた騎士様が溺愛してきます

五珠 izumi
恋愛
城の下働きとして働いていた私。 ある日、開かれた姫様達のお見合いパーティー会場に何故か魔獣が現れて、運悪く通りかかった私は切られてしまった。 ああ、死んだな、そう思った私の目に見えるのは、私を助けようと手を伸ばす銀髪の美少年だった。 竜獣人の美少年に溺愛されるちょっと不運な女の子のお話。 *魔獣、獣人、魔法など、何でもありの世界です。 *お気に入り登録、しおり等、ありがとうございます。 *本編は完結しています。  番外編は不定期になります。  次話を投稿する迄、完結設定にさせていただきます。

前世では美人が原因で傾国の悪役令嬢と断罪された私、今世では喪女を目指します!

鳥柄ささみ
恋愛
美人になんて、生まれたくなかった……! 前世で絶世の美女として生まれ、その見た目で国王に好かれてしまったのが運の尽き。 正妃に嫌われ、私は国を傾けた悪女とレッテルを貼られて処刑されてしまった。 そして、気づけば違う世界に転生! けれど、なんとこの世界でも私は絶世の美女として生まれてしまったのだ! 私は前世の経験を生かし、今世こそは目立たず、人目にもつかない喪女になろうと引きこもり生活をして平穏な人生を手に入れようと試みていたのだが、なぜか世界有数の魔法学校で陽キャがいっぱいいるはずのNMA(ノーマ)から招待状が来て……? 前世の教訓から喪女生活を目指していたはずの主人公クラリスが、トラウマを抱えながらも奮闘し、四苦八苦しながら魔法学園で成長する異世界恋愛ファンタジー! ※第15回恋愛大賞にエントリーしてます! 開催中はポチッと投票してもらえると嬉しいです! よろしくお願いします!!

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

できれば穏便に修道院生活へ移行したいのです

新条 カイ
恋愛
 ここは魔法…魔術がある世界。魔力持ちが優位な世界。そんな世界に日本から転生した私だったけれど…魔力持ちではなかった。  それでも、貴族の次女として生まれたから、なんとかなると思っていたのに…逆に、悲惨な将来になる可能性があるですって!?貴族の妾!?嫌よそんなもの。それなら、女の幸せより、悠々自適…かはわからないけれど、修道院での生活がいいに決まってる、はず?  将来の夢は修道院での生活!と、息巻いていたのに、あれ。なんで婚約を申し込まれてるの!?え、第二王子様の護衛騎士様!?接点どこ!? 婚約から逃れたい元日本人、現貴族のお嬢様の、逃れられない恋模様をお送りします。  ■■両翼の守り人のヒロイン側の話です。乳母兄弟のあいつが暴走してとんでもない方向にいくので、ストッパーとしてヒロイン側をちょいちょい設定やら会話文書いてたら、なんかこれもUPできそう。と…いう事で、UPしました。よろしくお願いします。(ストッパーになれればいいなぁ…) ■■

処理中です...