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第7章 主人公と皇女の結婚式前

集う古き英雄たちよ #1

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 セオドアが必死に顔が緩まないように抑えている時、かくん、と膝が揺れた。アミィールが抱きとめた。




 なんで、俺………倒れそうになったんだ?


 アミィール様に支えられながら首を傾げていると、アミィール様は目を伏せた。



 「…………この部屋は、特殊な人間しか入れないのです。セオ様も………特殊なお力がございますが、この部屋はまだお辛いようですね…………」


 「特殊…………?」


 「はい、魔力が異常にあったり、魔力を使いこなせたり、身体能力が高かったり…………その、強者でなくてはこの部屋に入ることすらままなりません。


 セオ様の特殊なお力があるお陰で、この部屋で意識を保てるのです」




 なんだか、RPGのような設定だな。………こんな部屋があると知っていたら、アルティア皇妃が以前言っていた『RPGゲームの世界』という発想も頷ける。


 「セオ様、お辛いのであれば部屋を出ても構いませんわ」


 「いや………私は、アミィの皇配になるのです。このくらい、耐えられるようにならなければ。

 ありがとう、アミィ」



 そうだ。
 俺は、アミィール様の皇配になるのだ。
 こんなことでめげてはいけない。

 お飾りの皇配ではなく、『アミィール様と共に国を守る、繁栄させる皇配』を目指すのだから。



 セオドアはそう結論づけ、アミィールの頭を撫でた。アミィールは心配そうに眉を下げて、『無理はなさらないでくださいまし』と言った。




 *  *  *



 「でも、まだ誰もいらっしゃってないようですね」



 アミィール様は俺を椅子に座らせてキョロキョロと見る。確かに、誰もいない。


 二人きりだと、なんというか、変な気持ちになる。キスとかした…………って、静まれ邪心!



 「!?セオ様!?」



 セオドアは煩悩を消すために思いっきり自分の頬をビンタする。彼流の戒めなのだが、初めて見たアミィールは驚きつつもセオドアの赤くなった頬に触れる。



 「だ、大丈夫ですか……………?」



 「あ、…………」



 この!心配そうな顔も美味しいんです!邪心を抑える為に叩いたのに、さらに状況が悪化したというか…………!


 セオドアは腫れてきている頬は勿論、顔面を赤く染めながら慌てて言葉を紡ぐ。



 「だ、大丈夫だ!ちょっと、邪心が…………!アミィと居ると変な気持ちになる私が悪いんだ!」



 「?変な気持ち………?それは、どのような気持ちですか?」
    


 アミィールはずずい、とさらに近づいて、鼻と鼻がくっつくらいの至近距離になった。状況悪化待ったナシ!キスを何度も交しているのに!俺はいつ慣れるんだ……………!?



 「…………ッ、ッ………」




 セオドア様はそれはもう熟れた苺よりもお顔を赤く染めている。突然の奇行に驚いていたけれど、どうやらいつも通りらしい。……………いつも通り、キスしたくなる、顔。




 少しくらいなら、いいかしら?




 アミィールはそ、と真っ赤なセオドアの顔を両手で包む。セオドアはそれを受けてこれからキスをされるんだと予期する。だめだ、誰か来たら…………とは思うものの、甘い蜜を舐めたい気持ちもあって、…………理性とは真逆に、自分もアミィールの唇に触れようと____「よ、っと」…………!?




 聞きなれない声が聞こえた。俺はハッ、と我に返りがば、と離れる。

 そして、声がした方を見ると____金髪青瞳の男が………………って!


 あの人、知っている。



『理想郷の王冠』に出てきた、隣国の王様____クリスティド・スフレ・アド・シースクウェアじゃないか!



 それに気づいたセオドアは先程真っ赤にしていた顔を真っ青にさせた。だって、アミィール様は多分『理想郷の王冠』のヒロインだし!結婚直前で邪魔するイベントがあってもおかしくない!




 ダラダラと汗を流すセオドアをよそに、アミィールは若干不機嫌になりつつも、頭を下げる。




 「____ようこそいらっしゃいました。クリスティド国王陛下様」



 「……………えと、なんか、ごめんね」



 「何がでしょうか?」


 「アミィール嬢、とても、その、いい雰囲気だった……から?」


 そう言いづらそうにしながら頬をかくクリスティド。…………本物の王様…………やっぱりスペックが違いすぎる………男の俺でも惚れかねない爽やか美形…………いや、俺はアミィール様一筋だけど!




 セオドアはそこまで考えて、地に膝をついて最上の礼を尽くした。










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