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第6章 お披露目祭り
早く、早く。 #主人公視点
しおりを挟む「…………………………」
アルティアが去った後、セオドアは呆然としていた。
なんというか、嵐のように、と言えばいいのか…………アルティア皇妃様はRPGゲームに出てきそうな生き物に乗って飛んでってしまった。
というか、エリアス、と言ってたけどそれってヴァリアース大国の女王陛下か?いや、確かにサクリファイス大帝国の皇妃なのだから面識があってもおかしくは無いが、…………それでもあんな軽いノリでアポなしで行ってもいいものなのだろうか……………
破天荒、というか、奔放というか…………そんな言葉では表現出来な___「……………セオ様」………?
アルティア皇妃様の奇行について考えていると、アミィール様がぎゅう、と抱き着いてきた。見ると、凄く嬉しそうな顔をしている。さっきの険しい顔はどこへやら、穏やかな笑顔で再び口を開いた。
「……………やっと、二人きりになれました。わたくし、ずっとこうしたかったのです」
「ッ…………」
そう言ってすり、と擦り寄ってくるアミィール様。もうその仕草が可愛い。……………でも、確かにアルティア皇妃様が一緒に居る時、アミィール様は俺に抱きついたりはしなかった。
アルティア皇妃様が居なくなるのは夜だけで、俺が寝てしまっていたり、アミィール様が寝てしまったりとこうして触れ合うことがなかったから、とても久しぶりだ。
そう思うと…………俺も、アミィール様不足だったのかもしれない。
セオドアは改めてアミィールを抱き締める。小さな体、甘くていい匂い、柔らかい肌……………全部、落ち着く。
「アミィ、私もそうだったようだ。アミィとこうして触れ合うのを忘れるなんて、私は馬鹿だな」
「そんなことありませんわ。…………いえ、やっぱりそんなことありますね。
なので、……………お母様がいない間、沢山セオ様補給、させてくださいませんか?」
「…………ッ」
そう言って挑発的に笑うアミィール様。
俺からのキスを所望する時はこういう顔をする。そして、………俺はこの顔に弱くて。
「アミィ______好きだよ」
俺は意を決して唇を重ねる。アミィール様がぎゅう、とか細い腕で抱き着いてくる。本人曰く『抱き着いていないととろけてしまうから』らしい。
久しぶりだからか…………………アミィール様の蕩けた顔が、見たくて。
「ん、っ、ふ………………」
何度も角度をつけながら唇を交わし、舌を這わせる。…………いつも俺が乙女過ぎて攻めきれないけれど、これも久しぶりだから、止められない。いやらしい音を立てて舌を絡め取るとアミィール様のお顔が更に赤くなって、涙目になっていく。
_____やばい。俺、乙女とか言ってるけど、ちゃんと男で。
_____アミィール様はいくら強くて挑発的でも、ちゃんと女なんだ。
俺にしか見せない"女"の顔。これがもう堪らないのだ。甘い蜜を舐めながら、熟れた果実を触っている気分。
この御方は、俺を"男"にしてくれる唯一の人なんだ。
「ッ、ふ………………」
唇を離すと、銀の糸が引く。それさえも勿体なくてアミィール様の口元の蜜も舐めとる。
紅銀のサラサラとしたストレートヘア、光を失うことの無い黄金色の大きな瞳、全てが綺麗に整頓された顔を、涙と唾液で汚して、荒い息遣いで熱い視線で俺を見上げている。
_____この御方の全て、俺のモノだ。
髪の毛1本まで、爪先まで全部、俺だけが触れていいんだ。
……………………内気な自分が、こんなにも醜く浅ましい想いを抱くなんて、一年前だったら考えられなかった。
他の攻略対象キャラには抱けなかったこの熱い気持ちが、凄く心地よかったりする。
結婚したら______俺はどうなってしまうのだろう。
公言したら、この人は全部全て何もかも俺のものになってくれるのだろうか。
早く、早く結婚したい。
そう切に思った。
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