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第6章 お披露目祭り
主人公と皇女の宣誓
しおりを挟む「______皆様、お忙しい中、御足労感謝致します」
ダンスのお披露目_アミィール様のキスにより途中で中断されてしまったが_が終わり、俺とアミィール様はラフェエル皇帝様と、集まった人間達にそう言って頭を下げるアルティア皇妃様の後ろに控えている。
………………アミィール様は本当に自由というか、破天荒というか…………こんな沢山の人達に見られながらも自分からキスをするなんて………………淑女としてだめだろ…………う、嬉しくないわけないけれど、それでも恥ずかしすぎて前を向けない。
顔を真っ赤に染め上げるセオドアを他所に、アルティアは続けた。
「皆様もご周知の通り、我が娘は____近々、結婚します。政略結婚などではございません。我が娘、アミィール・リヴ・レドルド・サクリファイスは自ら皇配を選びました。
今日はその皇配をご紹介させていただきます。………………皇帝様」
いつもの軽い調子ではないものの、アミィール様同様淑女のような口調ではない堂々とした振る舞いでそう述べてからラフェエル皇帝を見る。
ラフェエル皇帝は静かに、低い声を出した。
「______アミィール、そしてセオドアよ。
前に出ろ」
「はい」
「………………は、い」
もうガチガチで自分の思うように動けない身体に鞭を打って、アミィール様と共に前に出る。
見てる………………この場にいる人全員こっちを見てる……………みんな偉そうだ…………ああ、胃が痛いよ………………俺やっぱりこの場にいるのは不相応ではないか……………?
今にも泣きそうになっている俺の背中に、もうすっかり馴染んだ柔らかい手が添えられる。横を見るとアミィール様が優しく微笑んで、小さく頷いた。
……………そうだ、怯えてばかり居られない。俺はアミィール様の皇配になるんだ。慣れなければ………ちゃんと、1人の男として………………
セオドアはぐ、と涙を抑えてドミノマスクを外して、大衆に顔を晒した。
群青色の髪、緑の瞳、それらが映えるように整頓されたような顔の美男子に大衆は息を飲む。アミィールと並んでも見劣りのしない美しい男は静かに口を開いた。
「____私はヴァリアース大国、オーファン公爵家の次男に生を受けたセオドア・ライド・オーファンと申します。
この度は私事にお集まり頂き、誠に感謝致します。
私は、アミィール・リヴ・レドルド・サクリファイス様の皇配として、この国の繁栄に尽力致します。
何卒よろしくお願い致します」
丁寧な口調でありながら、堂々とするセオドアの言葉に大衆はそれぞれ感嘆の声を漏らす。そんな中、アミィールはその堂々とした美しい男の腕を抱き、口を開いた。
「____わたくし、アミィール・リヴ・レドルド・サクリファイスの名において、この御方だけを愛すると誓います。
この御方と共に、このサクリファイス大帝国の繁栄を齎すことをお約束致しましょう」
凛々しく美しい女は、そう言って眼下の者達に尊き笑みを向ける。
その言葉を受けた大衆はワアッ!と歓声を上げた。口々に『サクリファイス大帝国万歳!』と言い、セオドア・ライド・オーファンをサクリファイス大帝国の皇配として認めたのだった。
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