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【19時間目】魔王様、揚げたてのポテトがいっちゃんうまいのお時間です‼︎
しおりを挟む「え、なによこの状況は………」
ここは私立黒瀬川学園の────ではなく、その学園の近くにあるMcD◯naldである。
時はすでに夕刻、具体的には短針が6時を過ぎたころに僕らは夕飯と親睦会を兼ねてここに来ていた。
そこに今しがた会合を終えた水原さんからのメッセージ(『ちょっとあんたたち大丈夫なの!?』というツンデレ特有の優しさが溢れる)に『近くのマ◯クでパーティーなう^ ^』という(不)愉快極まりない返信をして半刻、(おそらく急いで)駆けつけてきてくれた状況だ。
「ままま、とりあえず会合お疲れ様。あの後紆余曲折あってさ、4人目の人見つけたんだよね」
「その紆余曲折の部分を聞きたいのよ」と呆れた顔でため息を吐くと水原さんは素直に席に座った。
テーブル席ではあったが流石に6人(種田さんにもメッセを送って来てもらった。なんか友達に誘われるのは初めてなのですごい喜んでたよ。やっぱ一日一善は気持ちいいね!)では狭いので隣の空席から一席もらってくる。
「それで、このそこらへんの道路標識でもぶっこ抜きそうな女の子が例の『能力持ちの少女』だっていうのかしら?」
「まあ実際に道路標識ぶっこ抜いてここにくる前にみんなで戻してきたんだけど、そうなんだよね。彼女が4人目なんだ」
「え?ちょっと何よそれ!?」と猛る水原さんをよそに奈賀井さんが「私が説明するよ」と声をあげてくれた。
「さくら子ちゃんさ、ジ◯リの映画だと何が好き?私はもの◯け姫が好きなんだけど最近はマッ◯マックスも良いなって思って……」
「いやなんの話!?奈賀井さんと坂口さんのこれまでの経緯を話してくれるんじゃないの!?それにマッ◯マックスはジ◯リじゃないだろ!あんな世紀末なジ◯リ映画やだよ!」
「あーじゃあ風の谷のナ◯シカかぁ…」
「それは世紀末じゃなくて世界の終わりだよ!!」
「『AN◯I-HERO』、良いよね」
「SEKAI N◯ OWARIぃ!」
いやちゃうやん?
コントしにきたわけじゃないんだからさ。
ほら、水原さん呆れて普通に注文しに行っちゃったじゃん?あと種田さんは僕のポテト取らないで。そんで坂口さんはなんで空気イスしながらハンバーガーをかきこんでるの!?なんかの罰ゲームかな!?道路標識ぶっこ抜いた道交法違反の罰則受けてるのかなそれは!!公◯はいつからそんな肉体言語になっちゃったのかな!!
「それで、逢魔様。能力持ちの方々4人を一堂に集めたからには一度に、一斉に、私たちの事の経緯を説明すると、そういった訳なんですよね?」
「ん、あぁ。そうなんだよね。やっぱりこう奇跡の連続、なのかな…こうやってこの短期間に4人も僕の『固有魔法』を持った人たちに逢えたのはスゴイし、この先何があるか分かんないから早めに説明するのがとりあえずの得策だと思ってさ」
そう。
この先何があるのか分からないのだ。
僕が懸念する様々な不可解な点、これらが全くもって僕の杞憂であればそれで良いんだけど。
メイベルも今のところ僕の母上が取り仕切ってるとはいえタカ派の動きが無いのも怪しいし(一応、魔王の力が奪われた事は事件の関係者しか知らないし、事件後すぐに箝口令も敷いているので情報が漏れにくくはなってはいるんだけど、タカ派勢力についてはいまいち勢力図が分かっていないから多分、情報が漏れるのは時間の問題だろう。ただでさえ魔王に力が無い上にその魔王もメイベルにいないとなればタカ派からすれば政権交代や強行策を取るには絶好のチャンスである)、この世界にも"敵が居ない"とは言い切れない。否、おそらく敵は息を潜めて潜んでいるだろう。
だからこそ、僕は急がなくてはならない訳であって、でもこの短期間で4人も(正確には生徒会長も能力持ちなので5人だけど)出逢えたのは僥倖と言っていいだろう。
ただ、だからこそ裏で誰かが手を引いてるのでは無いかと勘繰るのも必然で─────
「あぁ、それはそうと私もあんたたちに話しておきたい──と、言うよりもお願いがあるんだけど聞いてもらってもいいかしら?躑躅森たちにはお願いばっかで申し訳ないわね」
「あ、あぁ。良いんだよ水原さん。僕らに快く協力してくれているんだから逆にどんどん頼ってよ」
「まあ会合の時はフォローが大変だったけどね」とくすりと笑う水原さんに苦笑混じりの謝罪をしたところで僕は改めて姿勢を直すとみんなの方に向き直った。
そんな僕の空気を察したのかさっきまで揚げたてのポテトを奪い合っていた坂口さんと種田さん(奈賀井さんはちゃっかり漁夫っている。せこい。てか種田さんと坂口さんさっき会ったばかりなのにもう仲良くなってんのかよ!!)も僕の方に向き直る。
いやなんか久しぶりのちゃんとした空気感だよ、これ。ギャグコメにあるまじき雰囲気だけど割と事態も急を要するから良いよね。
「みんな、なんかこう言うのはちょっと違うと思うけど、僕たちと"友達"になってくれてありがとう。改めて自己紹介しよう。僕は躑躅森 逢魔。こっちは一応僕の妹になってるけど躑躅森 聖良。本当は僕の付き人でまあ、幼馴染でもある。で、こっからが本題」
一呼吸置くとすっと、みんなの目線が、耳が僕の方へと向いている事に気づく。
さぁここからが本命中の本命。
僕らがこの何者なのか───そしてなぜこの世界に来たのか。それをみんなに話そう。
☆次回、明かされる魔王襲撃事件の経緯!!─────
───────────────────────
【登場人物紹介】
●躑躅森 逢魔
魔王の息子で主人公。
マ◯クはもっぱらダブチ一択。それにテリヤキなどの一品を頼む主義。でもやっぱりポテトがいっちゃんうまいのでできるならばLを頼む。そしてできるのであればポテトを安くして欲しい。
●躑躅森 聖良
逢魔の幼馴染でお付きのメイドさん。
マ◯クはもっぱら新バーガー一択。セットで頼むのだが飲み物はQ◯oの白ぶどう以外は頼まない。それ以外は邪道だと思っている過激派。でもやっぱりポテトが好き。
●種田 冬火
一人目の能力持ち厨二コミュ障ぼっちちみっこ少女。
鬼久しぶりの登場であるが相変わらずセリフがない。まあ5人もヒロインいたならしょうがないよね。
マ◯クよりもモ◯派。でもポテトは好き。
●水原 さくら子
二人目の能力持ちツンデレ貧相クラス委員少女。
会合での逢魔たちのやらかしの後始末を終えた上でこの会話に遅れず、混ざりにきてるいるのでめちゃくちゃ有能。でも本人は割とストイック。
マ◯クよりもファ◯キン派。
●奈賀井 風花
三人目の能力持ち奇想天外奇々怪界少女。
杏子と出会って来たはずだが未だその経緯は語られない。まああながち猫の◯返しの下りは間違えではないので割愛か。
マ◯クよりもサ◯ゼ派。
●坂口 杏子
四人目の能力持ちマッスル破天荒少女。
まだ逢魔たちと出会って3秒ぐらいしか経ってないがもう仲良くなっているコミュ力のバケモノ。あの冬火ですら秒で仲良くなるのが何よりの証拠である。
マ◯クよりSA◯AS派。
● SEKAI N◯ OWARI
超大人気バンド。
独特な世界観と艶美な歌声、まるで童話のように紡ぎ出される歌詞、至妙なテクニックで奏でられる音が強みのフォーピース。
個人的には『眠り姫』を強く推していきたい。
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