上 下
3 / 38

【2時間目】魔王様、説明のお時間です‼︎

しおりを挟む

「いやさ、一話目にして早々糞尿ふんにょうまみれた話はどうなんだろうね。あ、いやあれはエイプリルフールだったし、その上春だからちょっと浮かれてたっていうのもあるしさ、てか僕主人公だからトイレとかいかないし。ぷらす魔王だし、トイレとか本当にしないから、あれほんと幻影だから。幻◯旅団だから」


「のっけから何言い訳してるんですか逢魔様。それはドッキリ◯クスチャーで隠そうとしても無駄ですよ」


新品のズボン(制服で入学式なのになんでズボン二つ持ってんだっていうツッコミはNG)に身を包み、心も新たに学校に向かう僕らであったが、早速様々なトラブルが起こり正直言って僕はもう辟易へきえきしていた。
どうせならトラブルだけにToL◯VEる的なラッキースケベでも起きてくれないかと考えるばかりである。


「残念ながらこの小説はR15設定なので露骨ろこつな性的描写はありえませんよ逢魔様、それとそこ伏字ふせじにしても丸わかりでは?」


「いやまあそうだよね~~。てかちゃっかり僕の独白どくはくにさも当たり前のようなツッコミ入れてくるのやめてもらえません?怖すぎて心中おだやかじゃないんですよね…」


てかToL◯VEるだって割と露骨な描写あるけどあれまだ少年ジャンプだから。まあダークネスになってからスクエアに変わったけどさ。

なんてことをやり取りしている間についに目的の場所である私立黒瀬川学園に着いた。
一話目はあたかも遅刻しそうな勢いだったが割と普通に間に合ったのはなんでなんですかね?


「そういえば僕ら魔王の力を取り戻そうとこの世界に来たわけなんだけど、なんで学校に通う事になってんの?」


かねてからの疑問を聖良にぶつける。
そうだよね。なんで当たり前のように学校通うハメになってんだか不思議になるよね。


「逢魔様…それはもう散々説明したはずでは?あなたの頭はハッピーセットなんですか?」


「いやほら説明しないと読者様が分からないじゃん?ここまでだけだったら普通に脱糞しただけだよこの話。てか悪口のエッジさよ」


聖良がやれやれとため息をつく。
いやそんな「仕方ないなぁ」的な感じ出せれても困るんだよね。てかこれ正門の前でする話じゃなくない?すげぇ他の人に見られてますけど大丈夫なんですかね…?


「いいですか、逢魔様。私達の目的は先程逢魔様がおっしゃった通り、魔王様の固有魔法である七つの能力を取り戻す事です」


固有魔法。
それすなわち、僕ら魔族が生まれながらにもつ能力であり、魔族のアイコニックと言っても過言ではない。僕らがいた世界、メイベルではその固有魔法の強さによって得られる階級や名誉が異なり、より強ければ強いほど良いとされてきた。
つまり、そんな世界でただ一人、魔王族と呼ばれる家系である僕の固有魔法は数いる魔族の中で最多の7つ、最強最悪とうたわれる所以ゆえんである。


「それは嫌というほど分かってるんだけど、なんでそれでこの学校に通わなくちゃならないのよ?」


exactlyいぐざくとりー至極しごく真っ当な質問ですね。それはこの私立黒瀬川学園に所属する生徒に能力が渡ったと判明したからです」


聖良は黒髪をなびかせながら悠々と答える。
いちいち絵になんなこの子。美少女が過ぎるだろおい!
てかそのセリフはダー◯ーのセリフだろやめろ。


「なんたるご都合設定。いいのかこんな適当で…」


「まあジャンル的にはおもっくそギャグコメディになってますから…」


「確かに……いやだけど誰が能力を持っているか分かんないしょ?どうやって判断するのよ?」


僕がいぶかしげに聖良にたずねると聖良はここぞとばかりにドヤ顔をする。
かわいい。
ごそごそと片手のカバンから何か取り出す。


「それはですね、この聖良作、ドラゴ◯レーダーで分かるのです!!!!!」


「いやちょっと待てそれはドラゴ◯ボール探すやつだろおい!てか今の子は多分それの存在知らないでしょ!う~~んジェネギャっ!!!!」


「まあ造形や名前は置いといて、実際このマシンで誰が能力を持っているのか分かるのですよ」


まあ見た目まんまだけど小説だからセーフだよね。
にしてもこの学校確か総生徒数1000はくだらないはず。どうやってこの人数から7人探して当てればいいんだろうか。
こんなんサハラ砂漠の中で日焼けしたインリ◯オブジョイトイを探すより難しいわ。


「あ、ちなみに先程逢魔様に脱糞させて子が能力持ちです」


「あ~~~そうだったんだ……。て、おいいいいいいいい!!!それ早くyeah!!!」


なんだよおい!僕らし損じゃねえか!
てか一話目からもう目的達成一つしちゃったよ!この小説あと5話ぐらいで終わんじゃねぇか!!!


「いやだったらさっきの子さっさと見つけて能力返してもらおうよ。そうすれば後はなし崩し的にどんどん能力返ってきて故郷に帰れるでしょ」


「いやそれがですね逢魔様…一つ問題がありまして。それとなし崩しは元々お金を徐々じょじょに返す事ですよ?」


「いやそこで急に冷静な指摘されても困るわっ!で、問題って何よ!?」


聖良が一息つく。
あ、これなんかすげぇ嫌な予感する。


「能力返還の条件がですね……その、つまりは……相手を好きにさせ、恋仲になる事なんですよ……」


「えっ………?」


あ、2カメこっちか。


「えっ……………!?」


☆ついに始まるどたばた青春ラブ・ギャグ・コメディ、ここに──────



─────────────────


【登場人物紹介】

躑躅森つつじもり 逢魔おうま

主人公で魔王の息子。
奪われた魔王の力を取り戻すため現代日本に降臨する。意外とナイーヴ。1話目から脱糞し、2話目では終始ツッコミと多忙なため、早く新キャラ出してもらって隠居したいと考える。


躑躅森つつじもり 聖良せいら

逢魔のお付きのメイドさんで幼馴染で美少女。
基本冷静沈着だが逢魔が絡むと少し頭がおかしくなる。
キャラがまだ全然出てこないので今はまだボケ役に徹する空気の読めるいい子。


しおりを挟む

処理中です...