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大内輝弘の乱
更なる大戦の予感
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杉元相との戦いに勝利した小次郎達は休むこと無く出雲に向かっていった。
これは背後の吉川元春の軍が悪天候でしかも大軍で足並みが揃わず行軍を辞めている為、今の内に出雲に帰るのである。
この時の小次郎達はかなり運が良かった。
晴れていたら吉川軍が背後から攻めてきて壊滅するところである。
まさに狂ったほどツイている運…狂運である。
小次郎達は来るとき通った石見銀山の砦を通ることはせず、この悪天候を利用して毛利の領土である備後を通って出雲に帰る。
・・・と言うのも最初に通った石見銀山の砦を通れば最短で帰れるが、幾らなんでも大内軍を通らせてはくれないだろう。
その為、備後の端の方…山を越えて帰るのである。
備後の山は毛利軍の監視も緩く、毛利配下となっている尼子旧臣が多く、その人達は既に尼子と内通している。
その為、備後の端の方はほぼ安全圏なのだ。
そして5日後、遠回りをしながらだが無事に出雲に到着した。
命じられた通りに大内軍を守って出雲まで帰還したのだ。
そして小次郎達は更に歩き尼子再興軍の本拠地月山富田城まで行くのであった。
「ふぅ…やっと着きました。先に報告しに行って来ますです。」
月山富田城に着いた宗信は早速、主君尼子勝久に報告する。
宗信は侍大将という立場の為、『現時点』での尼子再興軍では発言力がそこそこ有り、尼子勝久から重用されている為、宗信を通せば簡単に他家の武将は勝久に会えるのだ。
これから大内輝弘は尼子勝久に会い、これからの事を話すのだろう。
輝弘の扱いについて、所領について、毛利を倒した後についてと話すことは沢山ある。
だが、恐らく輝弘の器量では良い扱いは受けないだろう。
杉元相との戦いでは殆ど本陣に引きこもっていたし、とてもじゃないが頼れるとは思えない。
使えるのは大内の名だけである。
それに今回の反乱で大内の名を使って集まったのは僅かである。
恐らく、今後大内の名を使っても大軍は期待できないであろう。
勝久は若いがしっかり政治的な事は勉強しており、その辺はしっかりと考えているだろう。
残念だが大内輝弘の扱いはかなり悪いだろう…。
そして帰還してから約一週間経った頃だった。
山中鹿之介から小次郎に書状が届いたのだ。
そこに書かれていたのは「尼子再興軍の最後の戦いがもうすぐ始まる。決戦に備えておけ」と書かれていた。
小次郎は部屋でその書状を読みどうするか考えた。
いきなり決戦に備えておけと言われてもどうすれば良いのか全く分からない。
いつ戦いが始まるのか書いていないから今兵糧や弾薬を集めて良いのか分からない。
恐らく決戦ということは尼子が毛利領を攻めるのだと思う。
しかし、それだと攻める日が書かれていないのが気になる。
「お兄ちゃん、入って良い?」
「おう、入って良いぞー。」
そう言うと優は部屋に入ってきた。
実は今回の大内輝弘の乱が終結し、大内輝弘の処遇を小次郎はまだ聞いていない。
だが、優は俺が治めている領土の政治を取り仕切り、必然的に外部の連中から色んな事を聞いているのだ。
「そんで大内輝弘の処遇ってどうなったんだ?俺達がアレだけ必死に頑張って出雲まで連れてきたんだ。ちゃんと領土は貰えたんだろうな」
小次郎はヘラヘラと何も考えずに言う。
だが優の暗い表情を見て察した。
「輝弘さんは領土どころか、ムネリンの…秋上の足軽にされたみたい。どうも輝弘さんの器量を鹿之介さんが疑問に感じているみたいなんだってさ。」
しかしよくよく考えてみれば仕方がないことなのかも知れない。
大内輝弘は前もって尼子と手を組む約束なんてしていない。
俺達が輝弘を一方的に助けただけであって、助けた際に輝弘と所領の約束何てしていないのだ。
「ヤッパリか…。何となくそんな感じがしたよ。アイツ、武将にしては頼りなかったし…。でも大内一族だし…本人も不満だろうよ…。」
小次郎は悔しい顔をする。
それもそのはず、命懸けで出雲に連れてきた武将なんだから、やっぱり優遇してもらいたい気持ちがある。
「確かに所領が貰えないのは残念だよね…。でもさ、輝っち意外と足軽を楽しんでいるって聞いたよ。たぶん足軽の方が気楽で良いんだと思う。」
その時、優は小次郎が持っている書状が目に入った。
「お兄ちゃん、その書状なんて書いてあるの?」
小次郎はダルそうな顔をする。
「あぁ?これか?コレには毛利との決戦が近づいているからそれに備えろだとよ。でもいつ攻めるのか書いてねぇし、備えように備えられないっての。」
その時、優はさっき行商から晩御飯のおかずを買うときに話していたことを思い出した。
「そう言えば最近毛利が商人から大量の武具を買っているって聞いたよ…。何か怪しいと思わない?」
しかし、小次郎は全く何とも感じなかった。
武具を買うのはこれからの戦いに必要だからだろうし、別に変に思わなかった。
だが、優だけは大戦の匂い…そんな雰囲気を感じていた。
これは背後の吉川元春の軍が悪天候でしかも大軍で足並みが揃わず行軍を辞めている為、今の内に出雲に帰るのである。
この時の小次郎達はかなり運が良かった。
晴れていたら吉川軍が背後から攻めてきて壊滅するところである。
まさに狂ったほどツイている運…狂運である。
小次郎達は来るとき通った石見銀山の砦を通ることはせず、この悪天候を利用して毛利の領土である備後を通って出雲に帰る。
・・・と言うのも最初に通った石見銀山の砦を通れば最短で帰れるが、幾らなんでも大内軍を通らせてはくれないだろう。
その為、備後の端の方…山を越えて帰るのである。
備後の山は毛利軍の監視も緩く、毛利配下となっている尼子旧臣が多く、その人達は既に尼子と内通している。
その為、備後の端の方はほぼ安全圏なのだ。
そして5日後、遠回りをしながらだが無事に出雲に到着した。
命じられた通りに大内軍を守って出雲まで帰還したのだ。
そして小次郎達は更に歩き尼子再興軍の本拠地月山富田城まで行くのであった。
「ふぅ…やっと着きました。先に報告しに行って来ますです。」
月山富田城に着いた宗信は早速、主君尼子勝久に報告する。
宗信は侍大将という立場の為、『現時点』での尼子再興軍では発言力がそこそこ有り、尼子勝久から重用されている為、宗信を通せば簡単に他家の武将は勝久に会えるのだ。
これから大内輝弘は尼子勝久に会い、これからの事を話すのだろう。
輝弘の扱いについて、所領について、毛利を倒した後についてと話すことは沢山ある。
だが、恐らく輝弘の器量では良い扱いは受けないだろう。
杉元相との戦いでは殆ど本陣に引きこもっていたし、とてもじゃないが頼れるとは思えない。
使えるのは大内の名だけである。
それに今回の反乱で大内の名を使って集まったのは僅かである。
恐らく、今後大内の名を使っても大軍は期待できないであろう。
勝久は若いがしっかり政治的な事は勉強しており、その辺はしっかりと考えているだろう。
残念だが大内輝弘の扱いはかなり悪いだろう…。
そして帰還してから約一週間経った頃だった。
山中鹿之介から小次郎に書状が届いたのだ。
そこに書かれていたのは「尼子再興軍の最後の戦いがもうすぐ始まる。決戦に備えておけ」と書かれていた。
小次郎は部屋でその書状を読みどうするか考えた。
いきなり決戦に備えておけと言われてもどうすれば良いのか全く分からない。
いつ戦いが始まるのか書いていないから今兵糧や弾薬を集めて良いのか分からない。
恐らく決戦ということは尼子が毛利領を攻めるのだと思う。
しかし、それだと攻める日が書かれていないのが気になる。
「お兄ちゃん、入って良い?」
「おう、入って良いぞー。」
そう言うと優は部屋に入ってきた。
実は今回の大内輝弘の乱が終結し、大内輝弘の処遇を小次郎はまだ聞いていない。
だが、優は俺が治めている領土の政治を取り仕切り、必然的に外部の連中から色んな事を聞いているのだ。
「そんで大内輝弘の処遇ってどうなったんだ?俺達がアレだけ必死に頑張って出雲まで連れてきたんだ。ちゃんと領土は貰えたんだろうな」
小次郎はヘラヘラと何も考えずに言う。
だが優の暗い表情を見て察した。
「輝弘さんは領土どころか、ムネリンの…秋上の足軽にされたみたい。どうも輝弘さんの器量を鹿之介さんが疑問に感じているみたいなんだってさ。」
しかしよくよく考えてみれば仕方がないことなのかも知れない。
大内輝弘は前もって尼子と手を組む約束なんてしていない。
俺達が輝弘を一方的に助けただけであって、助けた際に輝弘と所領の約束何てしていないのだ。
「ヤッパリか…。何となくそんな感じがしたよ。アイツ、武将にしては頼りなかったし…。でも大内一族だし…本人も不満だろうよ…。」
小次郎は悔しい顔をする。
それもそのはず、命懸けで出雲に連れてきた武将なんだから、やっぱり優遇してもらいたい気持ちがある。
「確かに所領が貰えないのは残念だよね…。でもさ、輝っち意外と足軽を楽しんでいるって聞いたよ。たぶん足軽の方が気楽で良いんだと思う。」
その時、優は小次郎が持っている書状が目に入った。
「お兄ちゃん、その書状なんて書いてあるの?」
小次郎はダルそうな顔をする。
「あぁ?これか?コレには毛利との決戦が近づいているからそれに備えろだとよ。でもいつ攻めるのか書いてねぇし、備えように備えられないっての。」
その時、優はさっき行商から晩御飯のおかずを買うときに話していたことを思い出した。
「そう言えば最近毛利が商人から大量の武具を買っているって聞いたよ…。何か怪しいと思わない?」
しかし、小次郎は全く何とも感じなかった。
武具を買うのはこれからの戦いに必要だからだろうし、別に変に思わなかった。
だが、優だけは大戦の匂い…そんな雰囲気を感じていた。
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