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不死鳥の如く
誰推しって言われても・・・
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秀綱が着替えをするからしばらく時間に余裕があるので小次郎は取り敢えず自分の陣に戻る。
小次郎の陣は秀綱の陣と比べると明らかに緩い。
秀綱の陣では無駄話をしている連中はいなかったが俺や宗信の陣はお喋りばかりで、とても部隊には見えない。
しかし、俺達の部隊はみんな仲良くて、手柄の横取りなんてする人はいないし、秀綱の陣みたいに変な緊張感は無い。
ただ、やはりもう少し部隊らしくしてもらいたい気持ちはある。
そんな事を考えていたら後ろからいきなり誰かが抱き付いて来た。
小さい体の感覚である。これはアイツしか居ない。
「優か…!いきなり抱き付くなってのっ!」
「あ、バレちゃった?」
そりゃこんだけ背も低いし、体も柔らかいんだからすぐバレるだろ…なんて考えたら少し興奮しそうになってきた。
小次郎はこの時代で出来た、血は繋がっていない妹の優にはそんな感情を抱きたく無いので必死に邪念を振り払う。
「俺はこれから用事が有るから源五郎さんの指示に従ってくれ。」
普段、小次郎の部隊を指揮しているのは岩見源五郎である。
小次郎は名ばかりの大将であるが、それでも小次郎なりに源五郎から部隊の指揮について色々と教わって学んでいる。
「えー。お兄ちゃんと一緒が良いなぁ。源五郎さんは厳しいしー。」
源五郎は若手には厳しく指示を出し、失敗を許さない。
これは強い部隊を作るためらしいが若い兵士からは非難の声を聞く。
そこへ、もう一人面倒な奴が現れた。
「アレ?兄貴と優ちゃん何してんスか?」
「別になにもしてねぇよ。」
ケン坊は「ふーん」と言い小次郎と優を見る。
「ところで前から気になっていたんスけど、兄貴ってムネリン推しなんスか?それともヒデ押し?」
「ヒデ推しって何だよ・・・」
何となく誰の事かは分かるが一応聞いてみる。
すると優が高いテンションで言う。
「ヒデは横道秀綱さんの事だよー。」
やはりお前が勝手に呼び名を付けたのか。
戦国武将をヒデ呼ばわりとかやり過ぎだろ。
「お前ら秀綱に『ヒデ』って呼んだら処されるぞ?アイツ、お堅いから冗談通じねぇぞ。」
さっき小次郎が冗談でデートと言っただけで物凄い殺気で睨んできたんだ。
雑兵に「ヒデ」呼ばわりされたら本気で処される。
「いやー、処されるんは嫌っスな。でも一度ヒデさんに処されたいっス…。」
こいつ何言ってんの。マジで気持ち悪いんですが。
「そうそう。さっきケン坊くんが言っていたけどお兄ちゃんは誰押しなの?」
「押しって何だよ?」
「誰が好きかって聞いているんスよ!ちなみにオイラはムネリンっス!」
あ、この雰囲気ヤバイな。
そう感じた小次郎は逆に聞き返す。
「宗信のどこが良いんだよ?」
「そりゃあ優しくて清楚でスタイル抜群で可愛い顔!しかも神職である巫女さんっスよ!頭良いし、料理も出来る万能な女の子っス!美人だけど貧乳のヒデなんかと比べたら天と地の差っスよ!」
すげぇ勢いで喋るケン坊。
この場にヒデ…秀綱がいたら間違いなく処されるだろう禁句を言いやがるし、こいつは命が惜しくないのか?
小次郎は。そう思いながら、寺での約束を思い出す。
「…おっと!話の途中で悪いが用事が有るからちょっと出るよ。ちゃんと源五郎の言うこと聞いとけよ。」
そう言い、何とかこの場を抜け出した小次郎は寺に向かい歩いていく。
小次郎の陣は秀綱の陣と比べると明らかに緩い。
秀綱の陣では無駄話をしている連中はいなかったが俺や宗信の陣はお喋りばかりで、とても部隊には見えない。
しかし、俺達の部隊はみんな仲良くて、手柄の横取りなんてする人はいないし、秀綱の陣みたいに変な緊張感は無い。
ただ、やはりもう少し部隊らしくしてもらいたい気持ちはある。
そんな事を考えていたら後ろからいきなり誰かが抱き付いて来た。
小さい体の感覚である。これはアイツしか居ない。
「優か…!いきなり抱き付くなってのっ!」
「あ、バレちゃった?」
そりゃこんだけ背も低いし、体も柔らかいんだからすぐバレるだろ…なんて考えたら少し興奮しそうになってきた。
小次郎はこの時代で出来た、血は繋がっていない妹の優にはそんな感情を抱きたく無いので必死に邪念を振り払う。
「俺はこれから用事が有るから源五郎さんの指示に従ってくれ。」
普段、小次郎の部隊を指揮しているのは岩見源五郎である。
小次郎は名ばかりの大将であるが、それでも小次郎なりに源五郎から部隊の指揮について色々と教わって学んでいる。
「えー。お兄ちゃんと一緒が良いなぁ。源五郎さんは厳しいしー。」
源五郎は若手には厳しく指示を出し、失敗を許さない。
これは強い部隊を作るためらしいが若い兵士からは非難の声を聞く。
そこへ、もう一人面倒な奴が現れた。
「アレ?兄貴と優ちゃん何してんスか?」
「別になにもしてねぇよ。」
ケン坊は「ふーん」と言い小次郎と優を見る。
「ところで前から気になっていたんスけど、兄貴ってムネリン推しなんスか?それともヒデ押し?」
「ヒデ推しって何だよ・・・」
何となく誰の事かは分かるが一応聞いてみる。
すると優が高いテンションで言う。
「ヒデは横道秀綱さんの事だよー。」
やはりお前が勝手に呼び名を付けたのか。
戦国武将をヒデ呼ばわりとかやり過ぎだろ。
「お前ら秀綱に『ヒデ』って呼んだら処されるぞ?アイツ、お堅いから冗談通じねぇぞ。」
さっき小次郎が冗談でデートと言っただけで物凄い殺気で睨んできたんだ。
雑兵に「ヒデ」呼ばわりされたら本気で処される。
「いやー、処されるんは嫌っスな。でも一度ヒデさんに処されたいっス…。」
こいつ何言ってんの。マジで気持ち悪いんですが。
「そうそう。さっきケン坊くんが言っていたけどお兄ちゃんは誰押しなの?」
「押しって何だよ?」
「誰が好きかって聞いているんスよ!ちなみにオイラはムネリンっス!」
あ、この雰囲気ヤバイな。
そう感じた小次郎は逆に聞き返す。
「宗信のどこが良いんだよ?」
「そりゃあ優しくて清楚でスタイル抜群で可愛い顔!しかも神職である巫女さんっスよ!頭良いし、料理も出来る万能な女の子っス!美人だけど貧乳のヒデなんかと比べたら天と地の差っスよ!」
すげぇ勢いで喋るケン坊。
この場にヒデ…秀綱がいたら間違いなく処されるだろう禁句を言いやがるし、こいつは命が惜しくないのか?
小次郎は。そう思いながら、寺での約束を思い出す。
「…おっと!話の途中で悪いが用事が有るからちょっと出るよ。ちゃんと源五郎の言うこと聞いとけよ。」
そう言い、何とかこの場を抜け出した小次郎は寺に向かい歩いていく。
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