シカノスケ

ZERO

文字の大きさ
上 下
66 / 131
尼子再興軍挙兵

毛利が動き始める

しおりを挟む
二人の喧嘩を収めた輝元は新たに届いた書状を読む。


「えっとー、さっきお祖父様から新たに届いた書状によると、浦上・宇喜多が三村領土ある備中に攻めてきたから三村軍を撤退させよと…との命令です。」



それを聞いた元春は機嫌が悪くなる。

「三村軍をだと…?それに対尼子に出雲の豪族を帰還させると九州に置ける兵が僅かではないか!」


怒鳴る元春に輝元が言う。

「その為に大友にバレないように撤退させるんでしょ?それに秋月の残党と手を組めば少しは兵を多く見せることも可能ですよ。」



珍しく良い作戦を考えた輝元。


毛利輝元は祖父毛利元就の様な謀略家では無く、武勇にも優れていない、いわゆる凡人である。


だが、毛利輝元はその穏やかな性格で家臣の心を掴んでいた。




「珍しく良い作戦を考えましたね。輝元の作戦を使えば九州でも、まだ優位戦えるのでは無いですか?」


隆景は元春を見る。


元春はその作戦を悪くは思わなかった為、仕方なく頷く。


「仕方ないな…。珍しく輝元が良い考えを出したから、それに従おうじゃないか。」



「やった!あたしの作戦を採用すんの久しぶりだから嬉しいなー。」

無邪気にはしゃぐ輝元。


それを見た隆景は輝元を叱る。


「コラッ。当主たる者がはしゃいだりしないの。当主は常に堂々と振る舞いなさい。それから女の子なんだからもう少し落ち着いた喋り方をしなさい。」


小早川隆景は輝元の教育係りである。



輝元は早くに父隆元を亡くした為、幼い輝元の面倒を隆景が見ているのだ。



ここでは隆景は家臣の目がある為、軽く叱る程度にしているが、家臣がいないところでは輝元に厳しく躾をしている。


そして輝元は普段からそれを嫌がっている。



だが、輝元がみんなの前で無邪気にはしゃいだりするのは厳しく躾をする隆景に対する反抗である。










数日後、出雲勢と三村軍が兵を本土に帰還させた。


だが、小早川隆景は不安を感じていた。


浦上や宇喜多は隣国の別所・赤松と争っている状態で、三村攻めには本気を出せない。

むしろ怖いのは尼子軍。

尼子軍は出雲・石見以外にも中国地方全土に求心力がある。

反乱がすぐに鎮圧できないと大変なことになるだろう。


隆景は最悪の事態を想定し、その時の為にすぐに本土に帰れるように予め準備をする事にした。




そして隆景とは別に吉川元春は大友との決戦に備えていた。


決戦に備える事によって士気を上げ、大友に兵を本土に帰還させた事を悟られないようにしたのだ。





だが、毛利軍が兵を本土に帰還させた事は大友軍にはバレていた。




現在の大友家は毛利の九州討伐で明らかに押されており、滅亡の危機に晒されている。

小競り合いに勝利しても戦局を逆転させるほどには至らず、大友軍の総大将吉岡長増は局面打開の策を考えていた。




そして閃いたのが滅亡した大内家の一族大内輝弘に本土で反乱を起こさせることだ。


その為、本土で毛利の情報を調べに行っていた家臣が、毛利軍が尼子攻めと宇喜多・浦上討伐の為に兵を撤退させたとの情報を得たのである。





これを契機に中国地方は戦乱の嵐に巻き込まれていくのであった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

続・歴史改変戦記「北のまほろば」

高木一優
SF
この物語は『歴史改変戦記「信長、中国を攻めるってよ」』の続編になります。正編のあらすじは序章で説明されますので、続編から読み始めても問題ありません。 タイム・マシンが実用化された近未来、歴史学者である私の論文が中国政府に採用され歴史改変実験「碧海作戦」が発動される。私の秘書官・戸部典子は歴女の知識を活用して戦国武将たちを支援する。歴史改変により織田信長は中国本土に攻め入り中華帝国を築き上げたのだが、日本国は帝国に飲み込まれて消滅してしまった。信長の中華帝国は殷賑を極め、世界の富を集める経済大国へと成長する。やがて西欧の勢力が帝国を襲い、私と戸部典子は真田信繁と伊達政宗を助けて西欧艦隊の攻撃を退け、ローマ教皇の領土的野心を砕く。平和が訪れたのもつかの間、十七世紀の帝国の北方では再び戦乱が巻き起ころうとしていた。歴史を思考実験するポリティカル歴史改変コメディー。

四代目 豊臣秀勝

克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。 読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。 史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。 秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。 小牧長久手で秀吉は勝てるのか? 朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか? 朝鮮征伐は行われるのか? 秀頼は生まれるのか。 秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?

織田信長IF… 天下統一再び!!

華瑠羅
歴史・時代
日本の歴史上最も有名な『本能寺の変』の当日から物語は足早に流れて行く展開です。 この作品は「もし」という概念で物語が進行していきます。 主人公【織田信長】が死んで、若返って蘇り再び活躍するという作品です。 ※この物語はフィクションです。

織田信長 -尾州払暁-

藪から犬
歴史・時代
織田信長は、戦国の世における天下統一の先駆者として一般に強くイメージされますが、当然ながら、生まれついてそうであるわけはありません。 守護代・織田大和守家の家来(傍流)である弾正忠家の家督を継承してから、およそ14年間を尾張(現・愛知県西部)の平定に費やしています。そして、そのほとんどが一族間での骨肉の争いであり、一歩踏み外せば死に直結するような、四面楚歌の道のりでした。 織田信長という人間を考えるとき、この彼の青春時代というのは非常に色濃く映ります。 そこで、本作では、天文16年(1547年)~永禄3年(1560年)までの13年間の織田信長の足跡を小説としてじっくりとなぞってみようと思いたった次第です。 毎週の月曜日00:00に次話公開を目指しています。 スローペースの拙稿ではありますが、お付き合いいただければ嬉しいです。 (2022.04.04) ※信長公記を下地としていますが諸出来事の年次比定を含め随所に著者の創作および定説ではない解釈等がありますのでご承知置きください。 ※アルファポリスの仕様上、「HOTランキング用ジャンル選択」欄を「男性向け」に設定していますが、区別する意図はとくにありません。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

生残の秀吉

Dr. CUTE
歴史・時代
秀吉が本能寺の変の知らせを受ける。秀吉は身の危険を感じ、急ぎ光秀を討つことを決意する。

梅すだれ

木花薫
歴史・時代
江戸時代の女の子、お千代の一生の物語。恋に仕事に頑張るお千代は悲しいことも多いけど充実した女の人生を生き抜きます。が、現在お千代の物語から逸れて、九州の隠れキリシタンの話になっています。島原の乱の前後、農民たちがどのように生きていたのか、仏教やキリスト教の世界観も組み込んで書いています。 登場人物の繋がりで主人公がバトンタッチして物語が次々と移っていきます隠れキリシタンの次は戦国時代の姉妹のストーリーとなっていきます。 時代背景は戦国時代から江戸時代初期の歴史とリンクさせてあります。長編時代小説。長々と続きます。

大東亜戦争を有利に

ゆみすけ
歴史・時代
 日本は大東亜戦争に負けた、完敗であった。 そこから架空戦記なるものが増殖する。 しかしおもしろくない、つまらない。 であるから自分なりに無双日本軍を架空戦記に参戦させました。 主観満載のラノベ戦記ですから、ご感弁を

処理中です...