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尼子再興軍挙兵

毛利の両川

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毛利には毛利両川と呼ばれる二人の毛利一門の武将がいる。


1人は毛利家屈指の猛将として知られる吉川元春。

彼は父・毛利元就に『戦では元春に遠く及ばぬ』と言わしめた毛利軍最強の武将である。


生涯76回戦って64勝し、一敗もしなかった為、不敗の名将と言われている。(ただし、近年の検証では結果的に敗北した戦いも幾つかあるとされている)



そしてもう1人は毛利の才女・知将と言われた『瀬戸の鷹 小早川隆景』である。


彼女は兄・元春とは正反対で『勇において兄・元春にやや劣るが、いつも危険な戦いを慎み、謀をもって敵を屈服させる事において非常に優れていた。次世撫民の跡深くして、愛和をもっぱらとする仁将』と評されている。



この二人を毛利の両川と言い、若い当主・輝元を補佐していた。






そして鹿之介ら尼子再興軍が出雲において挙兵した時、毛利軍は立花山城の帰属を巡る大友宗麟と戦っていた。

世にいう多々良浜の戦いである。



戦況は大友の立花山城を取った毛利が優位…に見えるが先日の戦いで小早川隆景軍が立花道雪との戦いで小早川軍が大敗。



結果、多々良川の防衛線の一部が崩れ毛利軍は防衛線と立花山城の連絡が断たれる可能性が出たことから立花山城に撤退した。。


つまり両軍互角の戦いをしている。



この状況下で長門国に陣を敷いて九州攻略の指揮を執っていた毛利元就から小早川隆景へ密書が来た。



出雲で挙兵した尼子を討つため、大友にバレない様に少し部隊を撤退させよと。




書状を読んだ小早川隆景は兄の吉川元春に書状の事について相談をする事にした。

「兄上、父上から書状来たのですが…。」

隆景は書状を元春渡す。

そして、元春は書状を読む。

だが元春は特に何とも思わないのであろう。


「尼子の挙兵か。だが落ち目の尼子が率いる兵はたかが知れているだろう。兵を3000人くらい撤退させれば良かろう。」



吉川元春は父の命令だからしたかなく兵を3000撤退させる事にしようとしたが、本来は一兵も九州から撤退させたくなかったのである。


しかも滅亡した尼子が率いれる兵がたかが知れていると思い、撤退させる兵をあえて少な目にしたのである。


「たったの3000で尼子を倒せるとは思いません!6000、7000の兵を撤退させなければ尼子を倒せるとは思いません!」


これに対して小早川隆景は兵を少しでも多く撤退させようと考えた。


これから間違いなく勢いに乗って兵の数も増え、強大な勢力になるのが目に見えているからだ。



だが、それの意見に元春は反論する。

「駄目だ!わしらは今、大友と対陣しているのだぞ?あの大友を相手にしているんだ、兵はできる限り九州に置いておきたい。」



「ですが兄上、我々は今積極的に大友と戦っていないですし、もう少し尼子攻めに使えば良いとは思いませんか?」


隆景のセリフに元春はキレる。


「積極的に戦えないのはお前がこの前、立花に負けたからだろっ…!あの敗戦が無かったら今頃大友の支城を攻めているわっ…!」


元春が感情的になり、声を荒げて怒る。

そうなると隆景も腹が立ちキレる。

「あの戦いは兄上に言われて戦った合戦ですっ…!兄上に言われたように戦ったら負けたんですよっ!?そもそも私は立花道雪が相手で兵の士気もどん底だからアンタに言われなければ戦う気は無かったし…!」



この二人は仲が悪い訳ではないが、考え方や価値観が正反対の為、こういった喧嘩は日常茶飯事である。



近くにいた兵士達も「また喧嘩しているのか…」と言っている。




そんな喧嘩の中に1人の女性が止めに行く。


「まぁまぁ、二人とも落ち着いてくださいよー。九州方面の大将はあたしなんですからー。」


その女性は水色の髪をしており、そしてボンヤリとしている雰囲気であった。


彼女が謀将毛利元就の孫娘であり、毛利家の現当主毛利輝元である。


まだ16歳と幼い為、元就・元春・隆景が補佐をしている。
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