シカノスケ

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尼子再興軍挙兵

その時の小次郎達

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尼子軍が挙兵をする二日前のこと。


横道秀綱は鹿之介の使者で秋上宗信を訪ねてきた。


秀綱が宗信の馬小屋に馬を止めに来たときに後ろから声をかけられる。


「あれ?秀綱じゃんか。久しぶりだなぁ。」

声の主は小次郎である。

「小次郎か。私は鹿之介さんに頼まれて使者でここに来たんだが宗信はいるか?」


「あぁ、いるけど…。もしかしてアレか?」

小次郎は直感で秀綱がなんで使者で宗信に会いに来たか悟った。


遂に尼子再興軍の挙兵が始まるんだろうなと。





俺は秀綱を家に上げた。

「今、宗信は神社に行っている。もう少ししたら帰って来ると思うから少し待っててな。」

そう言い、俺は秀綱にお茶と和菓子を出す。

秀綱は和菓子を見ると目の色が変わったかの様に和菓子を味わう。


甘い物が大好きなんだろう。この戦国の世界じゃあ、この甘い食い物以外の娯楽は殆どない。



「ところで今回の挙兵どう思う?鹿之介さんの策はなかなか良いと思うんだが。」

秀綱はお茶を飲み干し、聞いてきた。

「正直キツいな。未来から来た俺の策を使っても5割くらいか。1度でも敗北…つまり足止めを食らうと進軍に大きな影響が出る。そうなると九州から帰ってきた毛利本隊が出雲に来て尼子掃討しにくる。」


小次郎の話を聞き、「そうだよな」という感じで頷く秀綱。


「全てが噛み合わなきゃダメか…。しかし、その割りにはお前の表情は良いな。何か合ったか?」


小次郎はさっきからニヤニヤと笑っていた。それを秀綱は良い表情と思ったらしい。

まぁ、戦国時代の人間の感性は現代人とは少しズレているからな。


「実はすぐ近くにある毛利が作った大きな砦があるんだが…見たか?」


「あぁ、樹海の様な山を砦にしたところだったか?あそこは恐らく5000人の兵がいるぞ。」


小次郎はニヤけた顔から悪そうな顔に変えて言う。

「あの山さ、地元住民からも不気味な山と言われていて、誰も近寄らない山なんだ。つまりどう言うことか分かるか?」



「どう扱っても良いってことか?…まさかっ!」


秀綱は小次郎が考えている事が分かってしまい、少し落ち着く為に息を飲む。


だが、同時に小次郎の残忍さに感心する。


「小次郎。お前はとんでも無いことを平気で思い付く奴だな。恐ろしい男だな。」


秀綱は今まで小次郎の長所が全く見えていなかった。

だが今回初めて分かった。小次郎の長所、それは残忍な発想が出来るところだと。




しばらくすると宗信が帰ってくる。


そして話は本題に入る。

「実はだな。鹿之介さんの指示でこの先にある毛利の山城を攻めてもらいたい。城兵は約100人くらいだ。」


100人とは秋上小隊の約三倍近くである、


「数では私達のが不利ですよ?かなり厳しいと思います…。」

圧倒的不利な戦いになるのを感じて宗信はうつ向く。


「安心しろ。川副殿が遅れて援軍に来る。どれくらいの兵になるかは分からないがな。」


「それでも援軍が来るまで30人程度で戦わないとダメなんですよね…。すぐ負けそうな気がしますが…。」


宗信は相変わらず頭を使わないな。そう思った横道秀綱は仕方なく教える。


「なら募兵すれば良い。そもそもお前は民から絶大な支持があるんだから、すぐに兵が集まるぞ。」



しかし、宗信は民に痛い目を合わせるのが嫌みたいだ。


しかし、そんな考えでは戦国の世を生きられない。


「じゃあ民から募兵した兵は安全なところにいてもらおう。」


小次郎は策を考え言う。

「ぶっちゃけ兵なんてな。沢山いるだけで相手は驚異に感じるんだよ。ならさ、合戦を主にするのが小隊のメンバーで良いんじゃないか?多分、宗信が募兵すれば500人は集まるだろう。その500人は後方からの弓の援護射撃を頼めば良い。」



我ながら良い案だと思う。

数で相手にプレッシャーをかけて潰す。


小次郎の策に宗信は「その作戦良いですねっ」と言い、早速宗信は兵を募兵しようとする。


「宗信、募兵したらすぐに攻撃をしろよ。鹿之介さんが言うには行動が遅ければ遅くなるほど作戦の失敗の可能性が高くなるからな。」

秀綱は大事な事なので念を押して言った。


宗信は小次郎の手を掴む。

「それでは小次郎さん、これから私と募兵に行きましょう。」


「俺も手伝うのか?」


「私一人じゃあ不安だから着いてきてください。」

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