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戦国時代の冬
宴
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何はともあれ宴が始まった。
俺は並べられた料理を見て少しガッカリした声を出す。
「お節じゃない…?」
隣に座っている宗信が何の事か聞くと俺はビックリした声で言った。
「お節知らないの?正月に食べる料理だぞ。美味しいんだぞ」
俺が必死に言っても宗信は何の事か分からないみたいに言う。
「おせちって未来の料理ですか?聞いたことないですよ?」
宗信のこの言葉を聞き、昔観たテレビを思い出した。
確かお節が正月料理として食べる様になったのは江戸時代と言っていた。
どうやらこれは本当みたいだ。
お節が大好きな俺はガッカリしたが、目の前にある料理も十分旨そうに見える。
とりあえず俺は鹿の肉を食べる。
鹿の肉を口に入れて見たが味付けは良く美味しい。
戦国では肉料理は滅多に食べられないから十分ご馳走である。
料理を食べてしばらくした時に隣に眼鏡をかけた美人なお姉さんが来た。
川副久盛である。
顔を合わせるのは最初の顔合わせ以来である。
俺は少し緊張した顔で言う。
「川副さん、お久しぶりッスね…」
「うん、久しぶりね。それより聞いたわよ。犬猿の仲だった山名との同盟を成功させたのね。スゴいわぁ…」
エロい顔で俺の目を見つめて言う川副。
俺は緊張でガチガチである。
そんな状態を分かったのか川副は俺に酒を勧める。
「お姉さんとこのお酒飲まない?小次郎くんに興味持っちゃったの…。」
川副はそう言い俺に酒を注いだ。
俺は当初の目的の事を完全に忘れて流れに身を任せて酒を飲んだ。
川副と話ながら酒を飲むこと1時間。
俺はかなり酔っていた。
酒にそんなに弱いわけでは無いが、川副が注いだ酒はかなりアルコール度数がキツい酒だ。
川副は俺以上に飲んでいるのに全く酔っていない。
川副は楽しそうに話しているが酔い潰れた俺には何を話しているのか良く分からない。
その時である。
巨漢の男がやって来たのだ。
「川副の姐さん、ワシもその酒を飲んでみたいのう。」
「じゃあ飲んでみる?このお酒はキツいわよ」
妖しげな笑みをする川副の姐さんは飲んでいた酒を巨漢の男に渡す。
姐さんから渡された酒を男は酒を豪快に飲んだ。
「こりゃあ中々キツい酒じゃのう。そこの小僧はこれを何杯も飲まされたんか?」
俺は酔い潰れた状態で元気のない声で「はい」と言った。
「まだ若く酒に慣れてないのに凄いのう。小僧は酒好きか?」
男は大きな声で言う。
どうやらこの巨漢の男は元々声が大きいのだろう。
俺はとりあえず頷いた。
そうすると男はまた大きな声で言う。
「じゃあ今度ワシのお気に入り酒を飲ましてやる。」
男はそう言うと川副の姐さんと酒を飲み始めた。
俺は少し頭が痛くなってきたので少し横になった。
こんな時に女の子に膝枕をして貰えたら嬉しいんだが、誰も俺のこの状態に気付いてくれない。
そういえば酒宴が始まってから宗信に話し掛けられていない。
宗信は一体どこにいるのか周りを見てみると横道秀綱と鹿之助で酒を飲んでいた。
しかし、様子を見ると宗信も酔っているみたいで顔が赤く、変な言動が目立つ。
秀綱と鹿之助は酒に強いのか全然酔っている気配を感じない。
酔い潰れた俺を相手してくれる人がいなくて寂しがっていた時、俺と同じく酔い潰れた人に声を掛けられた。
「あなたも酔い潰れたんですか?」
男は俺より少し年上と見られる優男だ。
酔い潰れた割には声に元気がある。
「ああ、川副の姐さんの酒がキツくてな…。」
「そうですか…。私は兄に無理矢理飲まされて…。あ、兄はいま川副さんと飲んでいる人です」
さっきの巨漢の男がこの優男の兄貴か。
「ところで君は名前はなんて言うんだ?」
何となく気になったので俺は名前を聞いてみた。
「あ、申し遅れました。私の名は隠岐清家です。」
男は相変わらず酔い潰れているのに元気に言う。
俺は隠岐という名を聞いて目的を思い出す。
こいつの兄貴があの巨漢の男…隠岐為清か。
俺は並べられた料理を見て少しガッカリした声を出す。
「お節じゃない…?」
隣に座っている宗信が何の事か聞くと俺はビックリした声で言った。
「お節知らないの?正月に食べる料理だぞ。美味しいんだぞ」
俺が必死に言っても宗信は何の事か分からないみたいに言う。
「おせちって未来の料理ですか?聞いたことないですよ?」
宗信のこの言葉を聞き、昔観たテレビを思い出した。
確かお節が正月料理として食べる様になったのは江戸時代と言っていた。
どうやらこれは本当みたいだ。
お節が大好きな俺はガッカリしたが、目の前にある料理も十分旨そうに見える。
とりあえず俺は鹿の肉を食べる。
鹿の肉を口に入れて見たが味付けは良く美味しい。
戦国では肉料理は滅多に食べられないから十分ご馳走である。
料理を食べてしばらくした時に隣に眼鏡をかけた美人なお姉さんが来た。
川副久盛である。
顔を合わせるのは最初の顔合わせ以来である。
俺は少し緊張した顔で言う。
「川副さん、お久しぶりッスね…」
「うん、久しぶりね。それより聞いたわよ。犬猿の仲だった山名との同盟を成功させたのね。スゴいわぁ…」
エロい顔で俺の目を見つめて言う川副。
俺は緊張でガチガチである。
そんな状態を分かったのか川副は俺に酒を勧める。
「お姉さんとこのお酒飲まない?小次郎くんに興味持っちゃったの…。」
川副はそう言い俺に酒を注いだ。
俺は当初の目的の事を完全に忘れて流れに身を任せて酒を飲んだ。
川副と話ながら酒を飲むこと1時間。
俺はかなり酔っていた。
酒にそんなに弱いわけでは無いが、川副が注いだ酒はかなりアルコール度数がキツい酒だ。
川副は俺以上に飲んでいるのに全く酔っていない。
川副は楽しそうに話しているが酔い潰れた俺には何を話しているのか良く分からない。
その時である。
巨漢の男がやって来たのだ。
「川副の姐さん、ワシもその酒を飲んでみたいのう。」
「じゃあ飲んでみる?このお酒はキツいわよ」
妖しげな笑みをする川副の姐さんは飲んでいた酒を巨漢の男に渡す。
姐さんから渡された酒を男は酒を豪快に飲んだ。
「こりゃあ中々キツい酒じゃのう。そこの小僧はこれを何杯も飲まされたんか?」
俺は酔い潰れた状態で元気のない声で「はい」と言った。
「まだ若く酒に慣れてないのに凄いのう。小僧は酒好きか?」
男は大きな声で言う。
どうやらこの巨漢の男は元々声が大きいのだろう。
俺はとりあえず頷いた。
そうすると男はまた大きな声で言う。
「じゃあ今度ワシのお気に入り酒を飲ましてやる。」
男はそう言うと川副の姐さんと酒を飲み始めた。
俺は少し頭が痛くなってきたので少し横になった。
こんな時に女の子に膝枕をして貰えたら嬉しいんだが、誰も俺のこの状態に気付いてくれない。
そういえば酒宴が始まってから宗信に話し掛けられていない。
宗信は一体どこにいるのか周りを見てみると横道秀綱と鹿之助で酒を飲んでいた。
しかし、様子を見ると宗信も酔っているみたいで顔が赤く、変な言動が目立つ。
秀綱と鹿之助は酒に強いのか全然酔っている気配を感じない。
酔い潰れた俺を相手してくれる人がいなくて寂しがっていた時、俺と同じく酔い潰れた人に声を掛けられた。
「あなたも酔い潰れたんですか?」
男は俺より少し年上と見られる優男だ。
酔い潰れた割には声に元気がある。
「ああ、川副の姐さんの酒がキツくてな…。」
「そうですか…。私は兄に無理矢理飲まされて…。あ、兄はいま川副さんと飲んでいる人です」
さっきの巨漢の男がこの優男の兄貴か。
「ところで君は名前はなんて言うんだ?」
何となく気になったので俺は名前を聞いてみた。
「あ、申し遅れました。私の名は隠岐清家です。」
男は相変わらず酔い潰れているのに元気に言う。
俺は隠岐という名を聞いて目的を思い出す。
こいつの兄貴があの巨漢の男…隠岐為清か。
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