シカノスケ

ZERO

文字の大きさ
上 下
42 / 131
戦国時代の冬

そして・・・

しおりを挟む
この時、小次郎はもうすでに戦い方を思い付いていた。


しかしこの事は宗信には言わない。

言ったら間違いなく反対されそうだし、残酷な戦術である。


尼子のみんなも反対するだろう。



だが、この山には警戒した方が良いだろう。


「毛利がこの山を拠点にするとなると大規模な作業が始まりそうだな…。」


「じゃあこれから、ここの山を警戒した方が良いですね。それに作業の規模でどれだけ出雲の防衛に力を入れるつもりか分かりますし。」



宗信の言う通りだ。

出雲を軍事的拠点として重く考えているならこの山を要塞にするだろう。


だが毛利の連中は尼子の反乱なんて全く想像していないだろう。

毛利の連中は今は大友、山名、浦上に気を取られている。


特に九州の大友宗麟は毛利と互角いやそれ以上の国力を誇る。


そんな強国を相手にしている為、毛利は主力の殆どを九州に送らなければならない。

その為、手薄になった出雲に山名が攻めて来ないように南条宗勝に警戒させている。




だが毛利も山名といつかは決戦をしなければならない。

そう考えるとこの山は恐らく大規模な要塞となるだろう。




その日の夜、小次郎と宗信は優の元に行った。


人気のない神社で女の子を一人に出来ない為、たまに優の神社で寝泊まりをする。




宗信は夕飯の支度しており、料理が下手くそな小次郎と優は宗信の邪魔にならないように別の部屋で待機中だ。



その小次郎が待機しているところの部屋には色んな医学の本や薬などがある。


その時小次郎は「そういえば優は医者としての才能があったな」と思い出す。


「なあ、ここにある薬って優が全部作ったのか?」

小次郎は薬が置いてある棚を指を差す。


「そうだよ。全部あたしが作ったよ。」


小次郎は「へぇ?」と言いながら棚にある薬を見る。


だが中に1つ、とても薬に見えない黒いものが入ってあるビンがあった。


小次郎は黒い何かが入ってあるビンを取り言う。

「これも薬なのか?」


「ああ、それは南蛮町で手に入れた無臭の毒だよ。夏にそれを庭に蒔いたら害虫が寄って来なくなるらしいんだよ。ちなみに人間の体に少しでも入ると死んじゃうから扱いには気を付けなきゃダメだよ。」




その時優から説明を聞いた小次郎は閃いた。

邪魔な奴を始末するのにこの毒は良いかもしれない。




だが、尼子を再興させる為に人を殺して良いのだろうか?

現代社会で生まれ育った小次郎には殺す事を決心できない。




だが、このままでは尼子再興軍は負ける。

負けたら俺は戦国の世で独りぼっちだ。


俺の様な現代社会で生まれ育った人間を他の人達は恐らく受け入れてはくれないだろう。


不気味に思い殺されるのでは無いだろうか?



そう考えると自分の手を汚してでも殺らなきゃ。


俺は生きるために自分の手を汚さなきゃダメだ。



ここは戦国の世。俺が生まれ育った平成の世ではない。


現代社会の考えでは戦国では生き残れない。



この戦国世界で生きると言うことは屍を越えていくこと。



生きて行くために敵を殺し、その屍を越えていく。



泥を被る事を覚悟しろ本城小次郎!


生きなきゃ…生きなきゃダメなんだ!

それもこの尼子再興軍と共に生きなきゃ…!





小次郎はそう自分に言い聞かせた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ

朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】  戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。  永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。  信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。  この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。 *ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。

織田信長 -尾州払暁-

藪から犬
歴史・時代
織田信長は、戦国の世における天下統一の先駆者として一般に強くイメージされますが、当然ながら、生まれついてそうであるわけはありません。 守護代・織田大和守家の家来(傍流)である弾正忠家の家督を継承してから、およそ14年間を尾張(現・愛知県西部)の平定に費やしています。そして、そのほとんどが一族間での骨肉の争いであり、一歩踏み外せば死に直結するような、四面楚歌の道のりでした。 織田信長という人間を考えるとき、この彼の青春時代というのは非常に色濃く映ります。 そこで、本作では、天文16年(1547年)~永禄3年(1560年)までの13年間の織田信長の足跡を小説としてじっくりとなぞってみようと思いたった次第です。 毎週の月曜日00:00に次話公開を目指しています。 スローペースの拙稿ではありますが、お付き合いいただければ嬉しいです。 (2022.04.04) ※信長公記を下地としていますが諸出来事の年次比定を含め随所に著者の創作および定説ではない解釈等がありますのでご承知置きください。 ※アルファポリスの仕様上、「HOTランキング用ジャンル選択」欄を「男性向け」に設定していますが、区別する意図はとくにありません。

四代目 豊臣秀勝

克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。 読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。 史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。 秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。 小牧長久手で秀吉は勝てるのか? 朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか? 朝鮮征伐は行われるのか? 秀頼は生まれるのか。 秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?

ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり

柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日―― 東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。 中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。 彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。 無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。 政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。 「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」 ただ、一人を除いて―― これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、 たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。

織田信長IF… 天下統一再び!!

華瑠羅
歴史・時代
日本の歴史上最も有名な『本能寺の変』の当日から物語は足早に流れて行く展開です。 この作品は「もし」という概念で物語が進行していきます。 主人公【織田信長】が死んで、若返って蘇り再び活躍するという作品です。 ※この物語はフィクションです。

天竜川で逢いましょう 起きたら関ヶ原の戦い直前の石田三成になっていた 。そもそも現代人が生首とか無理なので平和な世の中を作ろうと思います。

岩 大志
歴史・時代
ごくありふれた高校教師津久見裕太は、ひょんなことから頭を打ち、気を失う。 けたたましい轟音に気付き目を覚ますと多数の軍旗。 髭もじゃの男に「いよいよですな。」と、言われ混乱する津久見。 戦国時代の大きな分かれ道のド真ん中に転生した津久見はどうするのか!?

海道一の弓取り~昨日なし明日またしらぬ、人はただ今日のうちこそ命なりけれ~

海野 入鹿
SF
高校2年生の相場源太は暴走した車によって突如として人生に終止符を打たれた、はずだった。 再び目覚めた時、源太はあの桶狭間の戦いで有名な今川義元に転生していた― これは現代っ子の高校生が突き進む戦国物語。 史実に沿って進みますが、作者の創作なので架空の人物や設定が入っております。 不定期更新です。 SFとなっていますが、歴史物です。 小説家になろうでも掲載しています。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

処理中です...