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仇敵との同盟
再び山名領へ
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次の日、秀綱と宗信は朝早く館を出発し、集落へと向かう。
秀綱は眠たそうな顔をして言う。
「まだ夜が明ける前なのに帰るとは…。私はもう少し寝たいぞ。」
「そう言う訳にもいきません。朝食の準備をしないと。もちろん秀綱さんにも朝食をご馳走しますよ。」
いつもより早く起きたというのに宗信は元気である。
しばらくして二人は集落に到着する。
「さきに家に入ってください。」
宗信はそう言い、馬に餌を与える。
家の中に上がった秀綱は一緒固まる。
そして宗信の方を向き言う。
「おい…。なんだアレは。」
「アレって何ですか?」
宗信は笑顔で家の中に入る。
そこで宗信の目に入ったのは小次郎と優が一緒に寝ているところだ。
しかも服が乱れている。
この状況を見た宗信は小次郎を叩き起こす。
「何してるんですか!女の子と一緒に寝るなんて!」
宗信は明らかに怒っている。
そして声も普段は小さいのに、今回は大きい。
「うるさいな…。もう少し寝させてくれよ…。」
あまりにも声が大きい為、小次郎は目を覚ました。
「昨日優ちゃんを神社まで送るように言いましたよね!なんでこの家で二人で寝ているのですか!」
起きたばかりの小次郎はさすがに宗信が怒っているのに気付いた。
「え?あ、昨日帰るとき徒歩で時間かかったから。神社に送るの面倒になったから、ここで寝ただけで…。」
「ちゃんと送るように言ったでしょ!」
これは端から見ていた秀綱は言う。
「本気で怒っているな…。」
その後、小次郎はなぜかそのまま家の外に出された。
「なんで俺は朝っぱらから家を追い出されたのか、よく分からん。」
宗信によって家から追い出された小次郎はブツブツと文句を言っている。
「心を許した同居人が他の女と寝ていたんだ。そりゃあ怒るだろう。」
秀綱は小次郎と一緒に外に出ていた。
秀綱は小次郎と話があるので一緒に外に出ている。
「私は宗信と幼なじみで付き合いも長いが、あんなに怒るのは初めて見た。たぶん心を許した人にだからこそ出る怒りだろう。」
小次郎は溜め息をつき言う。
「そんで?俺に話があるんだろ?」
「ああ、そうだったな。実は…。」
秀綱は昨日宗信に話した内容を小次郎に言う。
「南条宗勝か…。無名ではないけど史料が乏しい戦国武将だから詳しくは知らないが…。ただ、国人勢力だから毛利に対する忠誠心は無いだろうな。」
南条宗勝は国人勢力である。
毛利元就に従っている家臣では無く、勢力なのである。
これは中国地方を支配していた毛利家の特徴である。
毛利とは沢山の国人勢力を束ねている大名なのである。
代表的な国人勢力の名をあげるなら東伯耆では南条宗勝、備中では三村家親、備前では宇喜多直家、播磨では別所長治である。
だがこの国人勢力は状況が1つ変わるとすぐ裏切ってしまうリスクがある。
例えば南条宗勝の息子である南条宗続や中国三大梟雄の一人と言われている宇喜多直家は羽柴秀吉の中国征伐に当初は毛利方に属していたが、毛利が不利になると共に織田方に属したのである。
国人勢力と言うのは毛利と言う強大な勢力に怖くて従っているだけ。
「南条は恐れることはない。南条とか宇喜多とかは不利と見たらすぐ裏切る連中だ。」
小次郎は冷静に考えて言った。
この冷静さには秀綱も頭が下がる。
歴史を知っているとはいえ決断するのは難しいからだ。
「じゃあ山名にこの事についてどう伝える?」
「家臣団の切り崩しについては気を付けるように言うしかないよな。後は尼子再興軍が挙兵した時は信頼のおける者を守りに使う様にしてもらおう。」
『信頼のおける者を守りに使う』という理由は、尼子が毛利領を攻めたら恐らく山名も毛利攻めを開始するだろう。
その時に怖いのが家臣の裏切りである。
主力を毛利攻めに使っていると守りが薄くなる。
そんなところに家臣の裏切りが起きると山名は南条の攻撃を防ぎつつ毛利を攻める事など出来ないのである。
「とにかく山名祐豊に会って報告はしておいた方が良いだろうな。じゃあさっさと山名領へ行こうぜ。」
小次郎は早く山名領に行ってこの事を伝えたいと思っている
未来から来た小次郎にはこの先が分かるのだ。
山名は家臣団が揺らいで衰退していく。
家臣団の揺らぎが早すぎると信長が機内を平定する前に滅んでしまう。
それは尼子再興軍にとっても痛すぎる。
「よし、では私の馬に乗せてやるから来い。」
そして秀綱は馬を連れてくる。
その時だ。後ろから声がした。
「小次郎さん!あなたは私の後ろです。」
怒っている声がしたので小次郎が後ろを振り向くと宗信が馬に乗り、出発の準備が完了していた。
「宗信、お前は来なくても良いんだぞ。」
秀綱は呆れたように言う。
だが、宗信は言う。
「いえ、私も行きます。秀綱さんも小次郎さんに襲われちゃいますよ!」
どうやら宗信はまださっきの事で怒っているみたいだ。
「好きにしろ。外交の足手纏いはするなよ。」
そう言い秀綱はゆっくりと馬を走らせて出発する。
「じゃあ私達も行きますよ。」
小次郎は宗信の後ろに乗り、馬を走らせた。
秀綱は眠たそうな顔をして言う。
「まだ夜が明ける前なのに帰るとは…。私はもう少し寝たいぞ。」
「そう言う訳にもいきません。朝食の準備をしないと。もちろん秀綱さんにも朝食をご馳走しますよ。」
いつもより早く起きたというのに宗信は元気である。
しばらくして二人は集落に到着する。
「さきに家に入ってください。」
宗信はそう言い、馬に餌を与える。
家の中に上がった秀綱は一緒固まる。
そして宗信の方を向き言う。
「おい…。なんだアレは。」
「アレって何ですか?」
宗信は笑顔で家の中に入る。
そこで宗信の目に入ったのは小次郎と優が一緒に寝ているところだ。
しかも服が乱れている。
この状況を見た宗信は小次郎を叩き起こす。
「何してるんですか!女の子と一緒に寝るなんて!」
宗信は明らかに怒っている。
そして声も普段は小さいのに、今回は大きい。
「うるさいな…。もう少し寝させてくれよ…。」
あまりにも声が大きい為、小次郎は目を覚ました。
「昨日優ちゃんを神社まで送るように言いましたよね!なんでこの家で二人で寝ているのですか!」
起きたばかりの小次郎はさすがに宗信が怒っているのに気付いた。
「え?あ、昨日帰るとき徒歩で時間かかったから。神社に送るの面倒になったから、ここで寝ただけで…。」
「ちゃんと送るように言ったでしょ!」
これは端から見ていた秀綱は言う。
「本気で怒っているな…。」
その後、小次郎はなぜかそのまま家の外に出された。
「なんで俺は朝っぱらから家を追い出されたのか、よく分からん。」
宗信によって家から追い出された小次郎はブツブツと文句を言っている。
「心を許した同居人が他の女と寝ていたんだ。そりゃあ怒るだろう。」
秀綱は小次郎と一緒に外に出ていた。
秀綱は小次郎と話があるので一緒に外に出ている。
「私は宗信と幼なじみで付き合いも長いが、あんなに怒るのは初めて見た。たぶん心を許した人にだからこそ出る怒りだろう。」
小次郎は溜め息をつき言う。
「そんで?俺に話があるんだろ?」
「ああ、そうだったな。実は…。」
秀綱は昨日宗信に話した内容を小次郎に言う。
「南条宗勝か…。無名ではないけど史料が乏しい戦国武将だから詳しくは知らないが…。ただ、国人勢力だから毛利に対する忠誠心は無いだろうな。」
南条宗勝は国人勢力である。
毛利元就に従っている家臣では無く、勢力なのである。
これは中国地方を支配していた毛利家の特徴である。
毛利とは沢山の国人勢力を束ねている大名なのである。
代表的な国人勢力の名をあげるなら東伯耆では南条宗勝、備中では三村家親、備前では宇喜多直家、播磨では別所長治である。
だがこの国人勢力は状況が1つ変わるとすぐ裏切ってしまうリスクがある。
例えば南条宗勝の息子である南条宗続や中国三大梟雄の一人と言われている宇喜多直家は羽柴秀吉の中国征伐に当初は毛利方に属していたが、毛利が不利になると共に織田方に属したのである。
国人勢力と言うのは毛利と言う強大な勢力に怖くて従っているだけ。
「南条は恐れることはない。南条とか宇喜多とかは不利と見たらすぐ裏切る連中だ。」
小次郎は冷静に考えて言った。
この冷静さには秀綱も頭が下がる。
歴史を知っているとはいえ決断するのは難しいからだ。
「じゃあ山名にこの事についてどう伝える?」
「家臣団の切り崩しについては気を付けるように言うしかないよな。後は尼子再興軍が挙兵した時は信頼のおける者を守りに使う様にしてもらおう。」
『信頼のおける者を守りに使う』という理由は、尼子が毛利領を攻めたら恐らく山名も毛利攻めを開始するだろう。
その時に怖いのが家臣の裏切りである。
主力を毛利攻めに使っていると守りが薄くなる。
そんなところに家臣の裏切りが起きると山名は南条の攻撃を防ぎつつ毛利を攻める事など出来ないのである。
「とにかく山名祐豊に会って報告はしておいた方が良いだろうな。じゃあさっさと山名領へ行こうぜ。」
小次郎は早く山名領に行ってこの事を伝えたいと思っている
未来から来た小次郎にはこの先が分かるのだ。
山名は家臣団が揺らいで衰退していく。
家臣団の揺らぎが早すぎると信長が機内を平定する前に滅んでしまう。
それは尼子再興軍にとっても痛すぎる。
「よし、では私の馬に乗せてやるから来い。」
そして秀綱は馬を連れてくる。
その時だ。後ろから声がした。
「小次郎さん!あなたは私の後ろです。」
怒っている声がしたので小次郎が後ろを振り向くと宗信が馬に乗り、出発の準備が完了していた。
「宗信、お前は来なくても良いんだぞ。」
秀綱は呆れたように言う。
だが、宗信は言う。
「いえ、私も行きます。秀綱さんも小次郎さんに襲われちゃいますよ!」
どうやら宗信はまださっきの事で怒っているみたいだ。
「好きにしろ。外交の足手纏いはするなよ。」
そう言い秀綱はゆっくりと馬を走らせて出発する。
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