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閑話~絶望の先に①~ sideヒースヴェルト
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文章中、残酷な表現があります。ご注意ください
******
真っ暗な森に、たった一人。
風で木々がざわめく度に、僕の鼓動が速くなる。
ここにいたくない。
でも、どっちが出口?
もし出られても、家には帰れない。あの女や、村長だっている村になんて、帰れない。
弱々しい足取りで、何となく獣道を辿る。
がさっ。
「ッ!!な、に?」
突然、真っ暗な茂みから音がして、
真っ赤な目が二つ、こっちを見た気がした。
怖い、怖い、怖いっ!!!
いやだ、ここにいたくない!!
真っ赤な目が、一瞬消えたと、思ったら。
僕の目の前に、居て。
ばくんっ!!
僕の、肩でそんな音がした。真っ暗なのに、僕の目の前が真っ赤に染まった。
痛い、熱い、怖い!!
ものすごく痛くて、熱い何かが身体中駆け巡ってる。
「う、アアアァアーーー!!!!!」
痛みと熱に耐えきれず、叫んだら、今度は喉が焼けるみたいに熱くなって、ごぷり、と音がして鉄の味が口の中で広がった。
もう、嫌だ。痛い。死ぬのかな。コイツに食べられてしまうのかな。
どさり、とバランスを崩して地面に倒れた。
そこに、小さな石を見つけたから。
とっさに、手を伸ばしてその小石を握って、化け物に投げつけた。
バァァァン!!!
投げつけたとき、何故か石が爆発して。
僕の腕は、化け物と一緒に弾け飛んでしまった。
『ギャアァーーー!!!!!』
耳が壊れそうなほど、大きくて恐ろしい咆哮に、僕は固まった。
「な、に・・・?」
なにが、起きたの?僕の腕、なくなっちゃった。
いたい。いたい。
もう、痛くてたまらない。
こわい。いたい。だれか、助けて。
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真っ暗な森に、たった一人。
風で木々がざわめく度に、僕の鼓動が速くなる。
ここにいたくない。
でも、どっちが出口?
もし出られても、家には帰れない。あの女や、村長だっている村になんて、帰れない。
弱々しい足取りで、何となく獣道を辿る。
がさっ。
「ッ!!な、に?」
突然、真っ暗な茂みから音がして、
真っ赤な目が二つ、こっちを見た気がした。
怖い、怖い、怖いっ!!!
いやだ、ここにいたくない!!
真っ赤な目が、一瞬消えたと、思ったら。
僕の目の前に、居て。
ばくんっ!!
僕の、肩でそんな音がした。真っ暗なのに、僕の目の前が真っ赤に染まった。
痛い、熱い、怖い!!
ものすごく痛くて、熱い何かが身体中駆け巡ってる。
「う、アアアァアーーー!!!!!」
痛みと熱に耐えきれず、叫んだら、今度は喉が焼けるみたいに熱くなって、ごぷり、と音がして鉄の味が口の中で広がった。
もう、嫌だ。痛い。死ぬのかな。コイツに食べられてしまうのかな。
どさり、とバランスを崩して地面に倒れた。
そこに、小さな石を見つけたから。
とっさに、手を伸ばしてその小石を握って、化け物に投げつけた。
バァァァン!!!
投げつけたとき、何故か石が爆発して。
僕の腕は、化け物と一緒に弾け飛んでしまった。
『ギャアァーーー!!!!!』
耳が壊れそうなほど、大きくて恐ろしい咆哮に、僕は固まった。
「な、に・・・?」
なにが、起きたの?僕の腕、なくなっちゃった。
いたい。いたい。
もう、痛くてたまらない。
こわい。いたい。だれか、助けて。
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